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2022.09.30
#糖尿病内科(内分泌・代謝外来) #対象疾患

HbA1c

HbA1cとは

HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)とは赤血球に含まれるヘモグロビン(Hb)とブドウ糖が結びついたもので、血液内にブドウ糖が増えるとHbA1cも多くなり、逆に減るとHbA1cも減ります。また、一度HbA1cになると赤血球の寿命(約120日)が尽きるまで維持されます。そのため、赤血球にあるHbA1cの割合を調べることで、過去1~2か月間の平均的な血糖値を反映します。

血糖値は血液内に含まれるブドウ糖のことで、通常食事後は血糖値が高くなり、約2時間後には食事をする前と同程度まで下がるといわれています。つまり、食事などによって大きく変動することが特徴です。しかし、HbA1cは過去1~2か月間の平均的な血糖値を表しているので、食事の影響を受けないといわれており、検査前の数日だけ血糖をコントロールしようとしてもHbA1cには反映されないことが特徴です。

HbA1cの検査方法

採血によって行われます。

HbA1cの検査前のポイント

過去約1~2か月間のHbに結合していた糖の値を示すもののため、血糖値のように食事などの影響はほとんど受けません。また、採血によって調べるため、注射による痛みを感じることがあります。

検査前の過ごし方については、検査を受ける医療機関の指示に従うようにしましょう。

HbA1cの基準値と異常値

基準値

  • 4.6~6.2%

国際的に標準化された基準値としては、4.6~6.2%が正常範囲とされます。

異常値

  • 6.5%以上

6.5%以上になると、糖尿病がもたらす三大合併症、すなわち腎症、網膜症、末梢神経障害(まっしょうしんけいしょうがい)が進行しやすいとされます。また腎不全でも高値になります。

  • 基準値よりも低い値

溶血性貧血、肝硬変などで低値になります。また、ヘモグロビン異常症では、正確に測定できないこともあります。

異常が見つかった場合

HbA1c6.5%以上

これに当てはまれば、その段階で糖尿病が疑われます。健康診断や人間ドックで指摘された人は、取り敢えず糖尿病の専門治療を行っている医療機関を受診しましょう。

HbA1c6.0~6.4%

一部基準値内にはありますが、糖尿病の疑いを完全に否定できるわけではありません。糖尿病に典型的な症状、たとえば喉が渇く、何度も尿意を催す、体重が減るなどといった状態であれば、糖尿病が強く疑われます。専門の医療機関を受診しましょう。

HbA1c5.6~5.9%

将来、糖尿病を発症する可能性が比較的高いとされます。直ちに医療機関を受診する必要はありませんが、過食や運動不足といった日常生活を見直すきっかけと考えるとよいでしょう。

糖尿病の治療目標とHbA1c値

すでに糖尿病の治療を行っている人については、治療の目標ごとにHbA1c値が設定されています。ほかに併せ持っている危険因子によって目標値は変ってきますが、それに沿って治療を続けましょう。

HbA1c6.0%未満

血糖値の正常化を目指す際の目標値です。適切な食事療法や運動療法で達成可能な場合の値として、設定されています。

HbA1c7.0%未満

合併症予防のための目標値です。これによって、脳梗塞(のうこうそく)や心筋梗塞などを予防します。併せて血糖値についても、空腹時130mg/dL未満、食後2時間180mg/dL未満などが設定されています。

HbA1c8.0%未満

強い糖尿病治療が難しい場合の目標値です。低血糖を引き起こしてしまうなどの理由で、治療を強化できない場合の値として、設定されています。

糖尿病は、放置することでさまざまな合併症を引き起こします。前にあげた三大合併症(腎症、網膜症、末梢神経障害)は主に細い血管が冒されるものですが、透析が必要になったり、失明したり、下肢を切断したりと、いずれも重い障害に結びつきます。また太い血管の障害では、心筋梗塞や脳梗塞の危険もあります。健康に年齢を重ねるためにも、生活改善と定期的な検査を心がけましょう。