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コラム
2024.10.07

コロナ後遺症と認知機能の低下:20年の老化に相当する深刻な影響とその対策

コロナ後遺症と認知機能の低下:20年の老化に相当する深刻な影響とその対策

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、私たちの生活様式を大きく変え、その影響は依然として続いています。特に、感染後の後遺症として注目されているのが「ブレイン・フォグ」と呼ばれる認知機能の低下です。

新たな研究が明らかにする、コロナと脳の深刻な関係性

最近の研究では、COVID-19が脳に与える影響が、従来考えられていたよりもはるかに深刻であることが明らかになってきました。

  • 入院患者の認知機能低下: 入院を必要としたCOVID-19患者の多くが、年齢や教育レベルを考慮しても、通常よりも認知機能が低下していることが判明しました。これは、急性神経学的合併症の有無に関わらず見られたことから、COVID-19が脳に直接的な影響を与える可能性が示唆されています。
  • 20年の老化に相当する脳のダメージ: さらに驚くべきことに、COVID-19感染後12~18ヶ月には、患者は20年分の老化に相当するほどの著しい認知機能低下を示すことが判明しました。MRI検査や血液検査の結果からも、脳の損傷マーカーや脳容積の減少が確認されており、COVID-19が脳の健康に永続的な影響を及ぼす可能性が非常に高いと考えられます。
  • 神経学的合併症のない患者にも影響: 従来は、神経学的合併症を伴う患者にのみ、このような深刻な脳への影響が懸念されていましたが、今回の研究では、神経学的合併症のない患者でも、COVID-19が脳にダメージを与える可能性が示唆されています。

コロナ後遺症が変える概念

これらの研究結果は、コロナ後遺症に対する私たちの理解を大きく変えるものです。

  • 不定愁訴の見直し: これまで不定愁訴とされてきた症状の中には、実は感染症の後遺症である可能性があることが示唆されています。例えば、慢性的な疲労感や集中力の低下などが、COVID-19の後遺症である可能性が考えられます。
  • 老化の再考: 老化は、単なる時間の経過だけでなく、感染症の罹患が積み重なることによって引き起こされる可能性も考えられます。つまり、COVID-19のような感染症を予防することで、老化を遅らせることができるかもしれません。

コロナ後遺症対策の重要性

COVID-19は、単なる肺の病気ではありません。脳を含む全身に影響を与える可能性があることを認識し、感染対策を継続することが重要です。特に、「ブレイン・フォグ」や認知機能の低下を防ぐためには、以下の対策が有効と考えられます。

  • ワクチン接種: ワクチン接種は、重症化予防だけでなく、後遺症のリスクを軽減する効果も期待できます。
  • 感染予防対策の継続: マスク着用、手洗い、換気など、基本的な感染予防対策を継続することが重要です。
  • 早期の医療機関受診: 症状が出たら、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
  • 生活習慣の改善: 規則正しい生活、バランスの取れた食事、適度な運動など、健康的な生活習慣を送ることも重要です。

まとめ

COVID-19は、私たちの健康に長期的な影響を与える可能性があることが明らかになってきました。新型コロナウイルス感染症は、5類感染症に移行したとはいえ、決して終息したわけではありません。特に、脳への影響は深刻であり、20年分の老化に相当する認知機能低下を引き起こす可能性があることが懸念されています。

特に、後遺症のリスクを考えると、感染対策は依然として重要です。ワクチン接種、マスク着用、手洗いなどの基本的な感染対策を継続し、自分自身だけでなく、周りの人々を守るために、引き続き注意を払うことが大切です。

イーヘルスクリニック新宿院の新型コロナ後遺症の治療

当院では

  1. 点滴・サプリメント
  2. 栄養相談・食事療法
  3. 漢方薬

を組み合わせて、新型コロナ後遺症にお悩みの患者さんが早期に回復できるよう、サポートしています。

新型コロナ後遺症に対しては、さまざまな観点から症状に対して有用と思われる対策を行うことが重要です。つらいと感じる症状のあるときはお気軽にご相談ください。

 

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参考文献

Latest insights into after effects of severe COVID-19 on the brain

Cognitive Impacts of COVID Equivalent to 20 Years of Brain Aging

Wood, G.K., Sargent, B.F., Ahmad, ZUA. et al. Post-hospitalisation COVID-19 cognitive deficits at one year are global and associated with elevated brain injury markers and grey matter volume reduction. Nat Med (2024). https://doi.org/10.1038/s41591-024-03309-8

 

記事作成:天野 方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2016年より帝京大学大学院公衆衛生学研究科に入学し、2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2022年4月東京都新宿区に「イーヘルスクリニック新宿院」を開院。複数企業の嘱託産業医としても勤務中。
日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。

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