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コラム
2024.03.10

世界腎臓デーについて(腎臓病についての説明と予防について)

世界腎臓デーは、毎年3月の第2木曜日に、腎臓病の早期発見と治療の重要性を啓発する国際的な取組です。2024年の世界腎臓デーは3月14日で、日本各地で様々なイベントが開催されます。

今回は改めて腎臓とはどんな臓器なのか、腎臓の機能が低下するとどうなるのかを説明していきます。また、腎臓を守るために予防医療が必要なのかも説明していきます。

今回の記事内容は開業時にインタビューしていただいた2記事がとてもよい記事だったので、この2記事を参照して書かせていただきます。

 

医師に聞く“慢性腎臓病”の早期発見や病院探しのポイント~セルフケアの一環としても受診することが大切~

医師に聞く“慢性腎臓病”の治療のポイント~最新トピックスや日常生活での注意点とは~

 

 

8人に1人が罹患!沈黙の国民病、慢性腎臓病

慢性腎臓病(CKD)は、糖尿病や高血圧に次ぐ国民病であり、成人の8人に1人が罹患していると言われています。慢性腎臓病とは、何らかの腎臓の障害が3か月以上続くことを指し、かなり進行するまで自覚症状がないために、発見が遅れてしまうことも少なくありません。

自覚症状が乏しいため、気づかぬうちに進行し、腎機能が低下することで、透析療法や腎移植が必要になることもあります。

慢性腎臓病は早期発見が重要といわれる理由

慢性腎臓病は、腎臓の機能が低下すると透析療法が必要になることや、心臓や脳などの臓器にも悪影響を及ぼすことが知られています。しかし、慢性腎臓病は症状が出ないまま進行することが多く、気付いたときには手遅れになってしまうこともあります。

そこで、慢性腎臓病の早期発見が重要なのです。早期発見すれば、治療によって腎臓の機能を維持したり、透析療法を遅らせたり、他の臓器への影響を抑えたりすることができます。

では、どうすれば慢性腎臓病を早期に発見できるのでしょうか。それは、血液検査で“推算糸球体ろ過量(eGFR)”という数値をチェックすることです。この数値は、腎臓の機能を表す指標で、100点満点中60点以下になると慢性腎臓病が疑われます。透析療法が必要になるのは、この数値が20点以下になったときです。

また、CKDは、単に腎臓の機能が低下するだけでなく、全身に様々な悪影響を与えます。

  • 心臓病:腎臓は血圧を調整する役割を担っているため、CKDになると高血圧になりやすくなり、心臓病のリスクが高まります。
  • 脳卒中:腎臓は血液を浄化する役割を担っているため、CKDになると血液中の老廃物が蓄積し、脳卒中のリスクが高まります。
  • 認知症:CKDになると脳への血流が悪くなり、認知症のリスクが高まります。
  • 新型コロナウイルス感染症:CKDは、新型コロナウイルス感染症の重症化リスクを増加させることが分かっています。

慢性腎臓病は、年齢や性別に関係なく、誰でもかかる可能性があります。特に、高血圧や糖尿病などの持病がある方は、慢性腎臓病のリスクが高いといわれています。また、新型コロナウイルス感染症の重症化にも関係すると考えられています。このように、慢性腎臓病は、自分の健康や生活に大きな影響を与える病気です。しかし、早期発見すれば、その影響を最小限に抑えることができます。だからこそ、慢性腎臓病の早期発見は、あなたの人生を守るために必要なのです。

 

早期発見の鍵は「健康診断」

慢性腎臓病はかなり進行するまで無症状なので、多くの場合、学校や職場で受ける健康診断をきっかけに発見されます。健康診断を毎年受けている方の場合、比較的早期に異常を発見でき、食事療法や運動療法といった適切な治療を行うことにより、病気の進行を防ぐことが期待できます。慢性腎臓病の早期発見には、年1回の健康診断が欠かせません。

しかし、健康診断を受ける習慣のない方も少なくありません。そんな方には、今すぐにでも、自治体の健康診断や各クリニックの行う健康診断などを受けてみてください。そして、もし異常が見つかったら、すぐに医療機関に相談してください。それが、慢性腎臓病の進行を防ぎ、あなたの健康を守るための第一歩です。

慢性腎臓病は、年齢や性別に関係なく、誰でもかかる可能性があります。特に、高血圧や糖尿病などの持病がある方は、慢性腎臓病のリスクが高いといわれています。

慢性腎臓病は、自分の健康や生活に大きな影響を与える病気です。だからこそ、慢性腎臓病の早期発見は、あなたの人生を守るために必要なのです。

生活習慣の改善で進行を抑制

慢性腎臓病の治療には食事療法と運動療法が重要です。これらの治療だけでは効果が不十分な場合や、糖尿病や高血圧症などの合併症がある方、尿タンパクが多い方には、薬物療法も必要になる場合があります。ただし、慢性腎臓病の治療の目的は腎臓の機能を今より悪くしないことです。

前述のとおり、慢性腎臓病の治療の基本は食事・運動といった生活習慣です。そのため、忙しい方ですと「外食が多いので治療は無理だろう」などという漠然としたイメージを持って受診される方も少なくありません。しかし、外食の多い方や忙しい方でも工夫すれば生活習慣の改善は可能です。

食事療法 実際に当院では管理栄養士の指導の下、コンビニエンスストアで購入できる食品などを用いた、その患者さんにとって実現可能な範囲でのリアルな食事療法を提案しています。外食する際のポイントなどについても詳しく指導していますので、まずは食事療法の内容について一度、説明を聞いていただきたいと思っています。

 

薬物療法の進歩

薬物療法 また、近年は薬物療法も目覚ましい進歩を遂げています。腎臓に関する治療薬といえば、以前は腎臓の機能と関連のある血圧をコントロールする“降圧薬”しかありませんでしたが、近年は3つほど注目されている治療薬がありますので、今回はそれをご紹介します。

・HIF-PH阻害薬

腎性貧血に対する新たな治療薬として、HIF-PH阻害薬が2019年より処方できるようになりました。

腎臓には赤血球の産生を促すホルモンを作るはたらきがあるため、腎臓の機能が低下すると貧血に陥ることがあります。これまでは注射薬でそのホルモンを補うことにより腎性貧血を治療していましたが、HIP-PH阻害薬の登場によって飲み薬で腎性貧血を治療できるようになり、使用できる患者さんの幅が広がっています。

・SGLT2阻害薬

SGLT2阻害薬といえば、2型糖尿病の治療薬として以前からあったものですが、ここ数年の研究で糖尿病の有無にかかわらず腎臓病の進行を抑制し、尿タンパクを抑える効果も期待されています。また、SGLT2阻害薬は慢性腎臓病だけでなく脂肪肝、心不全など栄養の取り過ぎによって起こりやすい、さまざまな病気への効果が期待されています。

・ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬

ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬はもともと高血圧症の治療薬として使用されていた降圧薬です。中でもフィネレノンと呼ばれる新しいミネラルコルチコイド受容体拮抗薬は腎臓の機能低下を抑える効果があると考えられています。

腎臓の機能低下を抑える予防的な治療方法については、少しずつではありますが医学の進歩が伺えます。一方で、腎臓病の種類によっては機能低下を抑えることが難しいものもあるため、今後は透析・腎移植以外の選択肢として再生医療が発展することを期待しています。

 

イーヘルスクリニック新宿院の腎臓内科

健康診断でクレアチンが高い、尿蛋白や血尿が陽性の場合は、当院の腎臓内科を受診してください。基礎疾患や腎機能のリスク因子を検査し、最適な治療プランを提案します。治療オプションは理解しやすく説明し、患者様の了承を得た上で治療方針を共に決定します。当クリニックには管理栄養士もおり、食事に関する専門的なアドバイスも受けられます。健康な未来への一歩を踏み出すお手伝いをさせていただきます。

 

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