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2023.01.13
#腎臓内科 #対象疾患

加糖飲料と慢性腎臓病(CKD)のリスクについて

加糖飲料と慢性腎臓病(CKD)のリスク

今回は「加糖飲料の飲みすぎで慢性腎臓病(CKD)のリスクがあがる」という研究を紹介します。
加糖飲料とは、例えば清涼飲料水など、よくペットボトルなどで売られている、糖質の多い高カロリー飲料のことです。加糖飲料を長期間にわたって飲み過ぎている人は、腎臓病の発症が多いことが示されました。高カロリー飲料は多くの慢性疾患の原因になっていますが、中毒性もあることがわかっており、慢性腎臓病予防のためにも加糖飲料の飲みすぎをやめなければなりません。
米・Johns Hopkins Bloomberg School of Public HealthのCasey Rebholz氏らが実施した研究によると、コーラなどの炭酸飲料や砂糖などの糖分を加えた果汁飲料、さらに水を飲む量が多い人は、慢性腎臓病(CKD)を発症するリスクが高いことが明らかになっています。研究は腎機能が正常な米国の黒人の男女3,003例を対象に行われたもので、追跡期間は中央値で8年です。このうち炭酸飲料と加糖された果汁飲料の摂取が多い人では、慢性腎臓病リスクが有意に上昇していました。
さらに加糖飲料の摂取量によって3群のグループに分け、分析したところ、摂取量が一番少ない人たちに比べて、一番多い人たちは慢性腎臓病のリスクが約60%も上昇していたのです。

ジュースやコーラなど、清涼飲料の多くに「果糖ブドウ糖液糖」や「ブドウ糖果糖液糖」が甘味料として使われています。これらは果糖(フルクトース)とブドウ糖(グルコース)を主成分とする「異性化糖」と呼ばれる液状の糖です。異性化糖は工業的に安定して生産でき、価格が安いので、多くの食品に用いられています。
ごはんやパン、穀類、いも、カボチャなどの野菜に含まれる炭水化物が複合糖質であるのに対し、フルクトースやグルコースは吸収されやすい単糖類という種類の糖です。

高カロリー飲料と病気の関係

これまで糖の摂取とさまざまな病との関連を調べる研究が数多く行われていますが、ほとんどの研究では高カロリーな清涼飲料の摂取が、2型糖尿病や心臓病など、健康に深刻なダメージをもたらす病気に関連していることを示しています。高カロリーの清涼飲料を1日に1回以上飲んでいると血圧が上昇することもリスクの一つです。糖尿病にいたっては、週にたった2回飲むだけで罹患リスクが上昇し、毎日飲むとこのリスクは2.4倍に跳ね上がります。

腎臓によい食事のパターンは下記のページで詳しく解説していますので、あわせて参照してください。加糖飲料の摂取を控え、腎臓に優しい食事を摂ることで、慢性腎臓病への進行を予防しましょう。

「慢性腎臓病の予防と食事パターン」の詳細はこちら

著:医師 天野方一(eHealthclinic院長)


参考文献
・Clin J Am Soc Nephrol. 2019 Jan 7;14(1):49-56.
・Clin J Am Soc Nephrol. 2019 Oct 7;14(10):1441-1449.