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2024.10.15
#糖尿病内科(内分泌・代謝外来) #対象疾患

リベルサス

リベルサスとは

リベルサス(一般名:セマグルチド)は、経口GLP-1受容体作動薬に分類される2型糖尿病の治療薬です。

通常は、食事によってアミノ酸やブドウ糖が小腸にたどり着くと、インクレチンというホルモンが分泌されます。インクレチンの一種であるGLP-1が膵臓すいぞうに存在するGLP-1受容体とくっついてインスリンというホルモンの分泌を促すと、血糖値が下がります。GLP-1受容体作動薬は、GLP-1のはたらきが続くようにつくられた薬であり、血糖値を下げたり、血糖値の上昇を抑えたりする効果が期待できます。

なお、空腹時には作用せず、食事によって血糖値が高くなったときに作用するため、低血糖が起こりにくいという特徴があります。

従来は注射で投与する方法が一般的でしたが、リベルサスは初めて経口投与の実現に至った錠剤タイプです。そのため、注射に抵抗がある方や注射をすることが難しい方でも飲みやすい点がメリットです。リベルサス錠3mg、7mg、14mgの3種類があります。

イーヘルスクリニック新宿院では、内服薬のみを処方しています。血糖値を適切にコントロールしながら合併症予防を目指して、患者さん一人ひとりに合わせた治療方針を提案いたします。

 

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肥満に対する作用

リベルサスには食欲抑制や胃排泄遅延(胃に食物が長時間とどまること)が期待できるため、肥満治療にも使用することがあります。

2型糖尿病患者さんに対して投与した試験では、投与から26週までの体重減少量が、3㎎で-0.5kg、7㎎で-1.0kg、14㎎で-2.4kgだったという結果が出ています。

参考:Dose-response, efficacy, and safety of oral semaglutide monotherapy in Japanese patients with type 2 diabetes (PIONEER 9): a 52-week, phase 2/3a, randomised, controlled trial.
Lancet Diabetes Endocrinol. 2020; 8: 377-391

また、前述のとおり、GLP-1受容体作動薬は注射で投与する方法が一般的でしたが、リベルサスは1日1回飲むだけでよい点が大きな特徴です。

 

参考論文の要約

背景

・日本人での糖尿病は他の国の人たちと少し違う特徴があるため、経口セマグルチドのような新しい薬の効果を調べる必要があります。 ・この研究では、経口セマグルチドの用量ごとの効果と、偽薬や注射薬のリラグルチドとの比較を調べました。

方法

・日本にある16の医療機関で、52週間にわたって行われた試験です。 ・20歳以上の日本人の方で、食事や運動療法だけでは血糖値がうまくコントロールできない方、または飲み薬による治療中の方を対象にしました。 ・参加者は5グループに分けられ、経口セマグルチド (3mg、7mg、14mg) を1日1回飲むグループ、偽薬を飲むグループ、注射薬のリラグルチド (0.9mg) を1日1回打つグループのいずれかにランダムに割り当てられました。 ・この試験の主な目的は、26週目までのHbA1c (ヘモグロビンA1c) の変化を調べることで、経口セマグルチドの効果を評価することでした。

結果

・経口セマグルチドを飲んだグループでは、飲む量が多いほどHbA1cが下がりました (3mgで-1.1%、7mgで-1.5%、14mgで-1.7%)。 ・偽薬を飲んだグループではHbA1cはほぼ変化せず (0.1%)、リラグルチドを打ったグループでは-1.4%下がりました。 ・経口セマグルチドは偽薬と比べてHbA1cを有意に下げる効果があり、用量を増やすほど効果が高まることも示されました。 ・リラグルチドと比較した場合も、経口セマグルチドは同等かやや効果が高いことが示唆されました。 ・経口セマグルチドを飲むと、便秘などの軽い胃腸の症状が起きることがありましたが、どれも軽いものでした。

結論

・この研究では、経口セマグルチドは日本人のタイプ2糖尿病患者さんにおいて、用量依存的にHbA1cを下げる効果があり、他のGLP-1 receptor agonistsと同様の安全性を有することが示されました。

 

 

リベルサスが処方される病気とは?

  • 2型糖尿病

糖尿病とは、インスリンというホルモンが十分にはたらかず、血糖値が高くなってしまう病気です。主に1型糖尿病と2型糖尿病に分類でき、2型糖尿病は遺伝と生活習慣(食べ過ぎや運動不足など)が原因でインスリンの分泌が低下したり、インスリンが効きづらくなったりすることで血糖値が高くなるとされています。

血糖値が高いままで長期間放置されると、血管が傷ついて心臓や腎臓に悪影響を及ぼしたり、失明や足の切断などにつながったりすることもあるため、早期発見・治療が大切です。

  • ダイエット(自費診療として)

GLP-1受容体作動薬は、血糖値を下げるインスリンの分泌を促進し、胃腸の動きを調整し、食欲を抑制する薬であり、3〜6か月で5〜10kgの体重減少が期待できます。海外では肥満症の治療薬として使用されています。日本国内では、リベルサスという唯一のGLP-1経口薬が2021年2月に発売され、当院ではこれを主に使用しています。

 

リベルサスの使用方法とは?

成人の場合は、通常1日1回7mg錠を1錠飲みます。ただし、1日1回3mg錠を1錠から始め、4週間以上続けた後に1日1回7mg錠を1錠に増量することが一般的です。
服用量は状況に応じて適宜増減することがありますが、7mg錠を4週間以上飲んでも効果が不十分な場合は、1日1回14mg錠を1錠に増量することがあります。

リベルサスは1日のうちで最初の食事または飲水の前に、空腹の状態でコップ約半分(約120mL以下)の水で飲みます。服用から最低30分は、飲食やほかの薬を飲むことは避けましょう。また、飲むのを忘れた場合はその日は飲まず、翌日飲むようにしましょう。

リベルサスの使用に注意が必要な方とは?

リベルサスの使用に注意が必要な方

  • 膵炎の既往歴がある方
  • 重度胃不全麻痺といった重度の胃腸障害がある方
  • 脳下垂体機能不全または副腎機能不全がある、栄養不良状態である、飢餓状態である、不規則な食事摂取をしている、食事摂取量の不足または衰弱状態にある、激しい筋肉運動をしている、過度にアルコールを摂取している場合のいずれかにあてはまり、低血糖を起こす恐れがある方
  • 胃摘出術を受けた方
  • 2か月以内に妊娠を予定する女性
  • 妊婦、妊娠している可能性がある女性
  • 授乳中の方
  • 小児など
  • 高齢者

リベルサスの使用ができない方

  • リベルサスの成分に対して過敏症の既往歴がある方
  • 糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡または前昏睡、1型糖尿病の方
  • 重症感染症、手術などの緊急の場合

リベルサスと飲み合わせの悪い薬や食品はある?

以下の薬は併用注意とされています。

  • 糖尿病用薬(ビグアナイド系薬剤、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤、α-グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジン系薬剤、DPP-4阻害剤、SGLT2阻害剤、インスリン製剤など)

血糖降下作用が強くなり、低血糖症が現れることがあります。

  • レボチロキシン製剤

チロキシンの総ばく露量が増えることがあります。

リベルサスの使用中に注意したい症状

重大な症状

重大な症状として以下のようなものが起こることがあります。適切な処置が必要となるため、気になる症状があればすぐに受診するとよいでしょう。

低血糖

頻度は不明ですが、脱力感、倦怠感、高度な空腹感、冷や汗、顔面蒼白、動悸、ふるえ、頭痛、めまい、吐き気、視覚以上などの低血糖症状が現れることがあります。そのため、高所作業や車の運転などを行う方は注意が必要です。

急性膵炎

0.1%の頻度で急性膵炎が起こることがあります。嘔吐を伴う激しい腹痛が続く場合はすぐに受診しましょう。胃腸障害が現れた場合も急性膵炎の可能性を考慮する必要があります。

現れる可能性がある症状は以上で全てではありません。詳細な効果や副作用については、医師や薬剤師に確認するほか、薬の添付文書を確認するようにしましょう。

 

 

イーヘルスクリニック新宿院の特徴は?

イーヘルスクリニック新宿院は新宿三丁目駅から徒歩1分の場所に位置しており、平日は20時まで、土日も診療を行っております。生活習慣病である高血圧、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症、慢性腎臓病のほか、花粉症、男性更年期障害の検査や治療、性病検査なども承っております。

さらに、自費診療でも医療ダイエット外来(肥満外来)や幹細胞上清点滴、疲労回復点滴などの施術を行っております。
診療は土日祝日も対応しており、24時間365日診療予約がネットから可能です。忙しい方でも受診しやすい体制を整えていますので、お困りごとがありましたらお気軽にご相談ください。

 

・糖尿病内科

糖尿病の管理は、合併症を防ぎ、健康な人と同等の生活の質と寿命を維持することが目的です。治療目標としては、HbA1cを7%未満に保つことが推奨されていますが、個々の患者に合わせた目標設定が必要です。

当院の治療方針は”薬物療法”と”食事・栄養への介入”の2本柱で行っています。
薬物療法は歴史は60年以上と古く、『糖尿病診療ガイドライン2022』においても第一選択薬として推奨されているメトホルミン、最近の研究では、腎臓病や心臓病リスクを低下させる可能性があるSGLT2阻害剤や血糖値を下げるだけでなく、体重の減少の低下などの追加の利点があるGLP-1受容体作動薬などを使っていきます。
*強化型インスリン療法になった場合は、基幹病院などと連携して治療を行っていきます。

しかし、忙しい生活を送っている”働き盛りの人々”も多くいらっしゃると思いますので、定期的に通院をすることが難しい場合もあると思います。そんな時に、お役に立てるのが当院が行っていますオンライン診療です。オンライン診療後は自宅まで薬を郵送することも可能です。是非、当院のオンライン診療を利用して治療の継続をし、良いコンディションを維持してください。

 

・肥満外来(医療ダイエット外来)

・単に体重減量を目指すだけでなく、肥満によって引き起こされる健康問題の早期発見と治療にも重点を置いている
・”薬物療法”と”食事・栄養への介入”の2本柱で行っている
・【来院】と【オンライン診療】のどちらも選択
・薬物治療の費用が継続しやすい価格設定である
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参考記事

糖尿病とは~予防から治療法まで~

肥満外来(医療ダイエット外来)~来院治療に加え、オンライン診療でも受診可~

 

記事監修:天野 方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2016年より帝京大学大学院公衆衛生学研究科に入学し、2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2022年4月東京都新宿区に「イーヘルスクリニック新宿院」を開院。複数企業の嘱託産業医としても勤務中。
日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。

 

◆注意事項◆
※肥満外来は自費診療となり、保険適用外になります。
※処方には医師の診察が必要です。
※オンライン診療はクレジットカード決済のみご利用いただけます。(分割でのお支払いは各クレジットカード会社にお問い合わせください。)
※すでに糖尿病などの治療中の方はお申し込みできない場合がございます。ご了承ください。
※それぞれの治療は副作用などのリスクがあります。副作用と注意事項について、受診前に必ずご確認ください。
※当院の肥満外来は医薬品を用いての治療になります。用法容量を守って、正しく服用してください。

 

*GLP-1受容体作動薬は、厚生労働省により2型糖尿病の治療薬として承認されていますが、現時点では肥満治療目的の承認はされていませんGLP-1受容体作動は、クリニックを通じて国内医薬品販売代理店から購入することができます。国内では肥満治療の効能・効果で承認された医薬品はありませんが、美容・ダイエット目的での使用は自由診療として行われます。海外では、アメリカのFDA、EU27か国のEMA、韓国のMFDSにおいて肥満症の適応で承認されています。

*SGLT2阻害薬は、厚生労働省によって2型糖尿病などの治療薬として承認されていますが、現在のところ、肥満治療目的での使用については国内で承認されていません。SGLT2阻害薬を処方するクリニックは、国内医薬品販売代理店を通じて薬剤を入手しています。また、国内で肥満治療に承認された医薬品は存在せず、美容やダイエット目的で使用する場合は自由診療となり、保険の適用外となります。

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