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2023.02.09

健康診断の時にチェックしたい脂質異常症の項目とは?~基準値やリスクについてご紹介~

脂質異常症とは、脂質の数値が基準値より外れている状態のことをいいます。脂質異常症は自覚症状に乏しいことから、健康診断を受けることが早期発見につながります。

では、健康診断の際にどのような項目をチェックすればよいのでしょうか。本記事で解説します。

健康診断のときにチェックするポイント

脂質異常症は健康診断の際に行う血液検査で分かります。血液検査の項目にはいくつか種類がありますが、脂質異常症の場合はコレステロールや中性脂肪の項目をチェックしましょう。具体的な項目と基準値は以下のとおりです。いずれかが基準値より外れている場合には、脂質異常症と診断されます。

  • 中性脂肪(TG、トリグリセライド):150mg/dL以上
  • LDLコレステロール(LDL-C):140mg/dL以上
  • HDLコレステロール(HDL-C):40mg/dL未満
  • non-HDLコレステロール(non-HDL-C):170mg/dL以上

中性脂肪

体内にある脂肪のうち、そのほとんどを占めるのが中性脂肪で、単に“脂肪”とも呼ばれます。基準値は50~149mg/dLです。

適量であれば人間にとって重要なエネルギー源となりますが、150mg/dLを超えると、メタボリック・シンドロームの基準の1つにもなっている“高トリグリセライド血症”となります。高トリグリセライド血症と冠動脈疾患を発症するリスクは関係していることがさまざまな研究から明らかになっています。実際に日本の研究では、空腹時の中性脂肪の数値が150mg/dL以上で冠動脈疾患の発症が増加すること、空腹時であると確認できない場合の中性脂肪の数値が167mg/dL以上で心筋梗塞や狭心症、突然死のリスクが増加することなどが報告されています。

LDLコレステロール(LDL-C)

LDLコレステロール(LDL-C)は、いわゆる“悪玉コレステロール”のことで、肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ役割をしています。しかし、増えすぎると心筋梗塞や脳梗塞を発症させる可能性があります。

基準値は140mg/dL未満とし、140mg/dL以上になると“高LDLコレステロール血症”と呼ばれます。また、120~139mg/dLは“境界域高LDLコレステロール血症”と呼ばれ、治療の必要性がないか慎重に判断する必要があるとされています。

LDL-Cが高くなるにつれ、心筋梗塞や狭心症などの病気の発症や死亡のリスクが増加することが分かっています。実際に日本のある研究では、LDL-Cが30mg/dL上がるごとに男性では1.3倍、女性では1.25倍も心筋梗塞や狭心症などの病気の発症や死亡のリスクが増加するといった結果が出ています。

HDLコレステロール(HDL-C)

HDLコレステロール(HDL-C)は、一般的には“善玉コレステロール”といわれ、過剰なコレステロールを回収したり、血管壁に付いたコレステロールを血中に戻したりして肝臓に送り、動脈硬化を予防するはたらきをします。そのため、HDL-Cは数値が低いことで心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが増加し、高いほどそのリスクが減少することが分かっています。実際に日本のコホート調査(NIPPON DATA90)によると、男女ともHDL-C が40~59mg/dLの死亡リスクを1とした場合に、35mg/dL未満の方は約1.5倍も死亡リスクが高く、HDL-Cが高くなるほど死亡リスクが減少する傾向があるといった結果が出ています。

正常値の下限は40mg/dLですが、上限は男女で差があり、男性は86mg/dL、女性は96mg/dLです。男女とも40mg/dL未満の場合を“低HDLコレステロール血症”といいます。男女で基準値が異なるのは、男性ホルモンや女性ホルモンの影響があるためです。女性ホルモンにはHDL-Cの合成を促すはたらきがあるため、女性のほうが高い数値で設定されています。

non-HDLコレステロール値(non-HDL-C)

non-HDLコレステロールは、文字どおり善玉コレステロールではないコレステロールのことで、LDL-C(悪玉コレステロール)のほか、リポタンパク、レムナントなどのことを指します。

  • 0~149mg/dL:正常範囲
  • 150~169mg/dL:境界域高non-HDLコレステロール血症
  • 170mg/dL以上:高non-HDLコレステロール血症

これまでの研究から,non-HDLコレステロールの数値が高いほど、心筋梗塞などの発症リスクが高まることが分かっており、診断基準の1つとして用いられています。実際にいずれの研究でも170〜180mg/dL以上では明らかに心筋梗塞などの発症、死亡のリスクが上昇することが分かっています。

基準値から外れていたらeHealth clinicにご相談を

脂質異常症は放置すると、中性脂肪やコレステロールが血管の壁にたまり、徐々に血管が細くなって血栓ができ、その結果、動脈硬化が進み心筋梗塞や狭心症、脳梗塞など命に関わる病気を発症するリスクが高まります。そのため、健康診断で数値を指摘された場合は早めに受診するようにしましょう。なお、数値が基準値から外れているからといって、すぐに治療が必要となったり、体調が悪くなったりするわけではありません。医師の指示に従って治療を受けるようにしましょう。

eHealth clinicでは健康診断の結果をもとに、一人ひとりに合わせた治療を提案しています。また、脂質異常症をはじめとする生活習慣病では治療薬だけではなく、食事や生活習慣の見直しも大切です。eHealth clinicには管理栄養士が在籍しており、本人の生活スタイルや普段の食事をヒアリングしたうえで、無理なく続けられる食事のアドバイスをすることも可能です。お気軽にご相談ください。

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参考文献

動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版

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