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診療科目
2022.07.22
#内科 #対象疾患

むくみ

受診の目安になる症状

  • むくみが続く
  • 長時間の移動の後、急に片方の足にむくみが現れた
  • 呼吸が苦しい、息切れ、動悸、胸の痛み、尿の出が悪い、疲れやすいなどの症状を伴う
  • 喉が腫れて息苦しさや詰まる感じがある
  • 急激な体重の増加がある(正常な体重の10%以上の増加)

むくみとは皮膚や皮膚の下に水分がたまった状態のことで、医学的には浮腫(ふしゅ)といいます。たとえば足などを指で押さえたときにそのあとがなかなか戻らなかったりする場合は、むくんでいる可能性があります。むくみ自体はよくある症状で、健康な人でも長時間の立ち姿勢や同じ姿勢でいた場合にむくむことがあるとされています。

ただし、むくみの原因はさまざまであり、時に重大な病気が隠れていることも考えられるため、上記のような症状がある場合などはかかりつけ医や近くの医療機関の受診を検討するとよいでしょう。

むくみの原因と対処法

日常生活の中で起こるむくみ

むくみは誰でも起こる可能性があり、加齢や妊娠などにより生じることもあります。また、長時間立っていたり飛行機に乗ったりした後は足がむくみやすく、あまり歩かずに日中座りっぱなしの生活をしている高齢の方は特に足がむくみやすいとされています。

軽いむくみなら特別な対応は不要ですが、足を心臓より高く上げるとむくみが引きやすくなるといわれています。

心不全などの心臓の病気

心不全とは心臓の状態が悪く、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなって命を縮める病気のことで、心筋梗塞(しんきんこうそく)や狭心症、高血圧症などのさまざまな病気が原因となって生じます。心臓はポンプのように血液の循環を調節しているため、このはたらきが低下すると血液のめぐりが悪くなって水分が体にたまり、むくみにつながるとされています。

心不全の治療には、薬物療法や心臓の異常を引き起こしている病気の治療(狭心症や心筋梗塞などに対する手術)などがあります。さらに、心不全は生活習慣病と大きく関連しているため、生活習慣の見直しや食事療法なども必要です。

腎臓病

腎臓病とは、腎臓が悪くなる病気の総称です。腎臓のはたらきの1つに余分な水分や老廃物などを体の外に排出することがありますが、腎臓が悪くなってしまうと水分がうまく排泄できなくなることから体がむくみ、体重も増加してしまうことがあります。腎臓病によるむくみは左右対称に起こることなどが特徴です。また、そのほかの症状に尿量の減少や増加、夜間の多尿、頻尿、体のだるさなど、さまざまな症状が挙げられます。腎臓病の代表例として、ネフローゼ症候群や慢性腎不全などが挙げられます。

ネフローゼ症候群

ネフローゼ症候群とは尿中にタンパク質が大量に排出されてしまうことにより、血液中のタンパク質が減少し、体にむくみなどが生じる病気をいいます。

治療法としては薬物療法が中心です。また原因が病気の場合は、その病気の治療が優先的に行われます。

慢性腎不全

慢性腎不全とは、腎臓の機能が徐々に低下し、濾過能力が正常時の30%以下になってしまうことをいいます。

治療法としては、まず原因となる病気の治療や減量・禁煙・減塩などの生活習慣の改善が検討されます。必要に応じて薬物療法が行われることもあります。ただし、腎臓の機能が回復する見込みはほとんどないため、最終的には透析療法や腎移植が検討されることが一般的です。

甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症とは、喉ぼとけの下にある甲状腺のはたらきが低下し、そこで作られる甲状腺ホルモンが少なくなった状態のことです。甲状腺ホルモンには新陳代謝を活発にするはたらきがあり、分泌量が多すぎても少なすぎても、体にさまざまな症状が現れます。甲状腺機能低下症では、指で押してもあとが残らないことが特徴のむくみのほか、寒がりになる、乾燥、汗をかきにくくなる、眠たくなるといった症状がみられることがあります。

甲状腺機能低下症の治療では甲状腺ホルモン製剤を内服しますが、一過性で軽度の場合は治療の必要はありません。

深部静脈血栓症

深部静脈血栓症とは、静脈に血栓(血の塊)ができて詰まってしまう病気です。血栓が肺の血管に詰まると肺塞栓症(はいそくせんしょう)となり、命に関わることもあります。飛行機やバス、電車などで長距離移動をした後に、急に片方の足がむくんだ場合は深部静脈血栓症の可能性があります。

深部静脈血栓症の治療では、抗凝固剤(血液の流れをよくする薬)の注射、内服を行うことが一般的です。また、後遺症を残さないために足を圧迫する弾性ストッキングを使用することもあります。

遺伝性血管性浮腫

腫れやむくみを繰り返す場合は、遺伝性血管性浮腫の可能性が考えられます。遺伝性血管性浮腫とは、体質が原因で突然粘膜や皮膚がむくんだり腫れたりする病気であり、遺伝性血管性浮腫の方は、生まれつきC1インヒビターというタンパク質の量が少ないまたは、はたらきが弱いといわれています。また、皮膚や粘膜だけでなく、顔や手足、消化管などにも腫れやむくみが起こりやすく、消化管が腫れると強い腹痛や嘔吐、下痢が現れることがあります。喉が腫れると窒息する可能性があるため救急車を呼ぶ必要もあります。

遺伝性血管性浮腫は完全に治す治療法がないため、発作を鎮めるために、腫れや痛みを起こす物質のはたらきを妨げる注射薬や、不足しているC1インヒビターを補充するための薬を注射や点滴で投与します。

むくみがあるときに気を付けたいポイント

むくみの対処法

軽いむくみであれば特別な対応は不要とされています。もしむくみが気になる場合には、足を心臓より高く上げるとむくみが引きやすくなります。

予防としては足の運動や圧迫ストッキングの着用、水分と塩分の摂取を抑えるほかに肥満気味の方は体重を落とすことも効果的だといわれています。

気になる症状があれば受診を

むくみの原因が、命に関わる重大な病気の可能性もあるため、むくみが長く続く場合や、むくみ以外にも気になる症状があれば、かかりつけ医や近くの医療機関の受診を検討するとよいでしょう。