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2022.07.27
#対象疾患

ゾルピデム

ゾルピデムとは

ゾルピデム(ゾルピデム酒石酸塩錠)とは睡眠を促すはたらきがある薬のことで、主に不眠症の治療に使われています。

ゾルピデムに先発品としてマイスリー錠5mg、10mgが、ジェネリック医薬品としてゾルピデム酒石酸塩錠5mg、10mg、OD錠5mg、10mg、ODフィルム5mg、10mg、内用液5mg、10mgなどがあり、さまざまなメーカーが製造販売しています。

不眠症ってどんな病気?

不眠症とは、寝つきが悪かったり、何度も目が覚めてしまったり、眠りが浅くなったりするなどといった症状が長く続いている(慢性化)状態のことです。

不眠の原因はさまざまで、ストレスや心身の病気、薬の副作用などがあり、原因に応じた対処が必要です。治療では、ゾルピデムのような睡眠導入薬や精神安定薬による治療のほか、運動や喫煙などといった神経を高ぶらせる行動を睡眠前に控えることなどのことも重要です。

ゾルピデムが処方される病気とは?

ゾルピデムが処方されるのは、主に以下のような病気や状況のときです。

  • 不眠症

ゾルピデムの使用方法とは?

ゾルピデムは、統合失調症や躁うつ病に伴う不眠症に対しての効果は期待できないこともあり、不眠症の原因を確定してから使用する必要があります。また、服用後、十分な睡眠時間がとれず途中で起床して仕事などを行うと、部分的に記憶がなくなることがあるため、途中で起きる可能性があるときは服用できないとされています。

種類ごとの使用法は以下のとおりです。

錠剤・OD錠・ODフィルムの場合

成人の場合、1回5~10mgを就寝直前に飲みます。年齢、症状、病気によって適宜増減することがありますが、高齢者は1回5mgから服用を始めること、1日10mgを超えないようにすることとされています。

なお、OD錠、ODフィルムとは、口の中で溶ける錠剤、薄いフィルム状の薬のことです。舌の上で唾液を含ませることで崩れるため、水なしで飲むことも可能です。ただし、口の中の粘膜から吸収されるわけではないため、唾液や水でしっかり飲み込む必要があります。

内用液

内用液とは、薬の成分を精製水などに溶かした液状の薬のことです。成人の場合1回5~10mgを就寝直前に飲みます。また、年齢、症状、病気によって服用量を適宜増減できますが、1日10mgを超えないようにし、高齢者の場合は1回5mgから開始する必要があります。

ゾルピデムの使用に注意が必要な人とは?

ゾルピデムでは、以下のような方の使用に注意が必要、または使用できないことがあります。気になることがある場合は、事前に医師や薬剤師などに相談するようにしましょう。

ゾルピデムの使用に注意が必要な人

  • 衰弱している人
  • 心臓の障害がある人
  • 肝障害のある人
  • 腎障害のある人
  • 脳に器質的障害がある人
  • 妊婦、妊娠の可能性がある人
  • 授乳中の人
  • 高齢者
  • 小児

など

ゾルピデムの使用ができない人

  • ゾルピデムの成分に対して過敏症の既往がある人
  • 重い肝障害がある人
  • 重症筋無力症の人
  • 急性閉塞隅角緑内障(きゅうせいへいそくぐうかくりょくないしょう)の人
  • 肺性心、肺気腫、気管支喘息、脳血管障害などにより呼吸機能が高度に低下している人

など

ゾルピデムと飲み合わせの悪い薬や食品はある?

ゾルピデムでは、以下の薬や食品との組み合わせが悪いとされています。

  • 麻酔剤

呼吸が抑制される可能性があります。

  • 中枢神経抑制剤(フェノチアジン誘導体、バルビツール酸誘導体など)

中枢神経の機能を抑制する作用がより強くなることがあります。

  • リファンピシン

ゾルピデムの効果が弱まることがあります。

食品

  • アルコール

ゾルピデムの服用中に飲酒をすると、精神機能や知覚、運動機能などの低下度合いが強くなることがあるため、飲酒は控えたほうがよいとされています。

ゾルピデムの使用中に注意したい症状

ゾルピデムの服用中に、以下のような症状が現れることがあります。服用を中止したり、適切な処置が必要となったりする場合もあるため、気になる症状が現れたら医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

重大な症状

頻度は不明ですが、重大な症状として以下のような症状が現れることがあります。当てはまる症状が生じた場合は服用中止などの対応が必要となるため、すぐに受診するとよいでしょう。

依存性、離脱症状

連続して飲み続けると、薬物依存におちいることがあります。また、服用中に急激な薬の減量、中止をすると、反跳性不眠(服用前よりも強い不眠)、いらいら感などの離脱症状が現れることがあるため、まずは医師に相談するとよいでしょう。

精神症状、意識障害

せん妄(注意力や思考力の低下、意識レベルの変動などのこと)、錯乱、夢遊症状、幻覚、興奮、脱抑制(衝動や感情の抑制がきかなくなること)、意識レベルの低下などの精神症状や意識障害がみられることがあります。

一過性前向性健忘、もうろう状態

一過性前向性健忘(服薬後、入眠までの出来事を覚えていない、または途中で起きた時の出来事を覚えていない)、もうろう状態などの症状がみられることがあります。そのため、服薬後はすぐに寝て、睡眠中に途中で起きないようにする必要があるとされています。

その他の症状

頻度は不明ですが、以下のような症状が現れることがあります。

  • ふらつき、眠気、頭痛、残眠感、頭が重い感じ、めまい、不安、悪夢、気分高揚、視覚における錯覚、しびれ感、ふるえ
  • 悪心、嘔吐、食欲亢進または不振、腹痛、下痢
  • 動悸
  • 過敏症(発疹(ほっしん)やかゆみ)
  • 倦怠感、疲労、下肢の脱力感、筋けいれん
  • 複視(ものが二重に見える)、視力障害、目のかすみ、口の渇き、不快感、転倒、味覚異常

など

発疹やかゆみが現れた場合は服用中止が必要になるため、早めに受診を検討するとよいでしょう。そのほかの症状も、長く続くような場合は医師に相談しましょう。

ここにある症状が全てではありません。詳細な効果や副作用については、医師や薬剤師のほか、薬の添付文書を確認するとよいでしょう。