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2022.07.22
#呼吸器内科 #対象疾患

チャンピックス

チャンピックスとは

チャンピックス(一般名:バレニクリン)とは、ニコチン依存症の喫煙者に対する禁煙の補助に使われる薬です。薬にはチャンピックス錠0.5mg、1mgがあります。喫煙による満足感を抑え、禁煙に伴うイライラやストレスなどの離脱症状や、たばこを切に望む感情(切望感)を軽減することが期待できます。

喫煙の影響

たばこの煙に含まれるさまざまな化学物質は、健康に悪影響を与えることが知られています。中でも(1)強い依存性があるニコチン(2)がんの発症に関わるタール(3)全身に酸素を運ぶヘモグロビンと結びついて運べなくし、全身の細胞を酸素不足の状態にする一酸化炭素は、たばこの3大有害物質として知られており、健康にさまざまな悪影響を与えます。また、妊婦さんがたばこを吸うと、お腹の赤ちゃんにまで影響を及ぼすほか、たばこの煙は喫煙者本人だけではなく、たばこを吸わない周りの人にも悪影響を与えます。そのため、禁煙をすることは自身だけではなく周りの人の健康のためにも大切です。

たばこを今すぐやめる、もしくはやめる努力をすることで、長期的な健康被害が出る可能性を大きく低減できるといわれています。実際に、禁煙することでがんや心臓病などのさまざまな病気のリスクが下がることが報告されています。さらに、喫煙者はたばこを吸わない人より余命が短くなるという報告もありますが、おおよそ35~40歳までに禁煙すれば喫煙前までの余命を取り戻すことができるといわれています。つまり、禁煙は健康に長生きできることにつながるのです。

チャンピックスが処方される病気とは?

チャンピックスが処方されるのは、主に以下のような状況のときです。

  • ニコチン依存症*

*ニコチン依存症とは、血液中のニコチン濃度が一定量より低くなると、イライラしたり、集中できなくなったりするなどの不快感を覚え、再び喫煙を繰り返してしまう病気のことです。総務省・厚生労働省のデータによれば、2005年時の日本の成人喫煙者数のおよそ70%がニコチン依存症であると推定されています。さらに依存症になる可能性がある各物質で比べると、ニコチンはヘロインやコカインなどの麻薬と同程度の依存性があると考えられています。禁煙はつらく難しいイメージもありますが、医師と一緒に取り組むことによって、1人よりも比較的楽に、より確実に禁煙することができるといわれています。治療は主に薬とカウンセリング によって行います。

チャンピックスの使用方法とは?

禁煙開始の1週間前から服用を始め、12週間継続することが一般的です。1~3日目は0.5mgを1日1回食後に服用、4~7日目は0.5mgを1日2回朝夕食後に服用、8日目以降は1mgを1日2回朝夕食後に服用します。

また、12週間の服用で禁煙に成功した場合、長期間の禁煙をより確実にするために、必要に応じてさらに服用を続けることも可能です。この場合は、1mgを1日2回、朝夕食後に12週間服用します。

一方で、重い副作用が生じるといった場合は0.5mgを1日2回に減量することも可能です。

チャンピックスの使用に注意が必要な人とは?

チャンピックスは、以下のような方では使用に注意が必要、または使用できないことがあります。気になることがある場合は、事前に医師や薬剤師などに相談するようにしましょう。

チャンピックスの使用に注意が必要な人

  • 統合失調症、双極性障害、うつ病などの精神疾患がある人
  • 重度の腎機能障害がある人
  • 血液透析を受けている人
  • 妊婦、妊娠している可能性がある人
  • 授乳中の人
  • 小児
  • 高齢者

など

チャンピックスの使用ができない人

  • チャンピックスの成分に対し過敏症になったことがある人

など

チャンピックスと飲み合わせの悪い薬や食品はある?

チャンピックスは、以下の薬や食品との組み合わせが悪いとされています。

  • ほかの禁煙補助薬

ほかの禁煙補助薬と併用した際の有効性は不明で、副作用のリスクが高まる場合もあるため、原則として併用はしないこととされています。

  • シメチジン

チャンピックスの体への曝露量が増加する恐れがあります。

チャンピックスの使用中に注意したい症状

チャンピックスの使用中に、以下のような症状が現れることがあります。服用をやめたり、適切な処置が必要となったりする場合もあるため、気になる症状が現れた場合は医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

重大な症状

いずれも頻度は不明ですが、重大な症状として以下のようなものが挙げられます。

皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑

皮膚粘膜眼症候群では口や目、鼻、外陰部といった粘膜がただれ、全身の皮膚に赤い斑点、水ぶくれなどが多発することがあります。多形紅斑(たけいこうはん)では四肢にやや盛り上がりのある赤い斑点ができたりすることがあります。いずれも発熱や全身倦怠感といった症状がみられることがあります。

血管浮腫

皮膚や粘膜(顔や舌、口唇、喉など)に腫れがみられることがあります。

意識障害

意識レベルの低下や、意識消失といった意識障害がみられることがあります。

肝機能障害、黄疸

肝機能障害や黄疸(おうだん)(肌や白目が黄色くなること)がみられることがあります。肝機能障害が進行すると、倦怠感が生じることもあります。

比較的よく起こる症状

不眠症(頻度16.3%)、異常な夢を見る(13.0%)、頭痛(11.6%)、吐き気(28.5%)や、5%以上の頻度で鼓腸(腸に多量のガスがたまること)、便秘が生じることがあります。

また、0.5%以上5%未満の頻度で上気道感染、食欲不振、食欲亢進、性欲減退、易刺激性(些細なことで不機嫌になる)、感情不安定、激越(激しい不安や焦りを感じる)、睡眠障害、不安、抑うつ(憂うつな気分などが強くなり、さまざまな症状が現れる)、落ち着きのなさ、傾眠(放置したら眠ってしまう程度の意識レベルの低下)、嗜眠(傾眠よりも重度の意識障害)、震え、注意力障害、味覚異常、ほてり、高血圧、喉の刺激感、咳、胃食道逆流性疾患(主に胃酸が食道に逆流し、さまざまな症状につながる病気)、胃の不快感、下痢、口内の乾燥、消化不良、軟便、腹痛、腹部膨満、嘔吐、にきび、かゆみ、発疹(ほっしん)、筋痛、筋けいれん、頻尿・夜間頻尿、胸の痛み、倦怠感、口の渇き、めまいなどが生じることがあります。症状が長く続く場合などは受診を検討するとよいでしょう。

ここにある症状が全てではありません。詳細な効果や副作用については、医師や薬剤師のほか、薬の添付文書を確認するとよいでしょう。