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2022.08.31
#対象疾患

テルミサルタン

テルミサルタンとは

テルミサルタンは血圧を下げる効果が期待できる“アンジオテンシンII受容体拮抗薬”という治療薬の仲間です。高血圧症の中でも、左室肥大や心不全、慢性腎臓病などを合併している患者さんや心筋梗塞後の患者さんに積極的に使用が検討される治療薬です。

“アンジオテンシンII”という物質はその受容体と結合することにより血管を収縮させ、血圧を上げる役割を持ちます。そのためアンジオテンシンII受容体拮抗薬によって受容体との結合を防ぎ、血圧の上昇を抑えます。

アンジオテンシンII受容体阻害薬の中には、テルミサルタンの登場より前から使用されているものもありますが、それらと比較してテルミサルタンはより持続時間が長いほか、さまざまな臓器の機能を保護する効果が期待されていることが特徴です。

テルミサルタンには錠剤のほか、口の中で湿らせて唾液のみでも飲めるOD錠もあります。先発品は“ミカルディス錠”で、ジェネリック薬品として“テルミサルタン錠”などがさまざまな製薬会社から販売されていることが特徴です。

テルミサルタンは何らかの手術を行う場合、手術前24時間は飲まないほうがよいといわれています。そのため手術を受ける予定のある方は、医師にテルミサルタンを使用していることを伝えましょう。

テルミサルタンが処方される病気

テルミサルタンは、以下のような病気の患者さんに使用されることがあります。

  • 高血圧症

テルミサルタンの使用方法

テルミサルタンは、成人の場合1日1回使用します。用量は患者さんの年齢や症状などによって異なりますが、成人の場合、使用開始時は20mgから開始して様子を見ながら増量し、40mgまで増量されることが一般的です。

ただし、症状などによっては医師の判断のもと、1日80mgまで増量される可能性があります。また、肝臓に障害のある方は1日40mgを超えない量が処方されます。

錠剤の場合

コップ一杯ほどの水やぬるま湯で飲みます。

OD錠の場合

舌の上に乗せて唾液で湿らせ、舌で軽く潰せば、唾液のみで飲むこともできます。錠剤と同じようにコップ一杯ほどの水やぬるま湯で飲むこともできます。

テルミサルタンの使用に注意が必要な人

テルミサルタンは以下のような方の場合、使用を慎重に検討する必要があります。当てはまる可能性のある方は、医師に伝えるようにしましょう。

  • 両側の腎臓に腎動脈狭窄(じんどうみゃくきょうさく)*のある方
  • 片方の腎臓で腎動脈狭窄がある方
  • 高カリウム血症の方
  • 脳血管障害のある方
  • 厳しい減塩療法を行っている方
  • 腎障害のある方(人工透析をしている方など)
  • 肝機能障害のある方
  • 血液透析中の方
  • 妊娠中、あるいは妊娠している可能性のある方
  • 授乳中の方
  • 小児
  • 高齢者

*腎動脈狭窄……腎臓に血液を送る“腎動脈”が狭くなり、高血圧や腎機能の低下などが生じること

テルミサルタンが使用できない方

以下のような方はテルミサルタンの使用ができません。該当する可能性のある方は必ず医師に伝えるようにしましょう。

  • テルミサルタンの成分に対して過敏症を持っている方
  • 妊婦、あるいは妊娠している可能性のある方
  • 胆汁の分泌が極めて少ない方
  • 重篤な肝障害のある方
  • 糖尿病の患者さんでアリスキレンフマル酸塩を使用中の方(例外的に使用されることもある)

テルミサルタンと飲み合わせの悪い薬や食品

以下のような治療薬とテルミサルタンを合わせて飲むことには注意が必要です。現在何らかの治療薬を使用している方は、医師や薬剤師に必ず伝えましょう。

  • ジゴキシン(速くなりすぎている脈を整える治療薬)
  • カリウム保持性利尿薬(スピロノラクトン、トリアムテレンなど)
  • カリウム補給剤
  • リチウム製剤
  • 炭酸リチウム(躁病・躁状態治療剤の1つ)
  • 利尿降圧剤(フロセミド、トリクロルメチアジドなど)
  • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
  • アンジオテンシン変換酵素阻害薬(高血圧治療薬の1つ)
  • アリスキレンフマル酸塩(高血圧治療薬の1つ)

ただし、アリスキレンフマル酸塩に関しては、血圧のコントロールが難しい場合にやむを得ず使用される場合があります。詳しくは医師の説明をよく聞きましょう。

テルミサルタンの使用中に注意したい症状

テルミサルタンの使用中に起こり得る重篤な症状

テルミサルタンの使用中は以下のような重篤な症状が現れることもあります。

また、自覚症状のない場合でも血液検査の数値などに変化が生じることがあるため、医師の指示に従って定期的な経過観察を受けるようにしましょう。

血管のむくみ

顔や唇、喉、舌の腫れ、呼吸困難などが挙げられます。

高カリウム血症

唇のしびれ、手足に力が入らない、筋肉の衰えなどがあります。

腎機能障害

頭痛、顔のむくみ、目が腫れる、尿が減るなどが考えられます。

ショック

冷や汗、めまい、血の気が引く、息切れなどが挙げられます。

失神

気を失うことをいいます。

意識消失

意識がなくなる、考えがまとまらない、気を失うなどが挙げられます。

肝機能障害

体のだるさ・白目や皮膚が黄色くなる、吐き気・嘔吐などが挙げられます。

黄疸(おうだん)

白目や皮膚が黄色くなる、尿が褐色になるなどが考えられます。

低血糖

体のふらつき、脱力、冷や汗、めまいなどが起こることがあります。

アナフィラキシー

体のだるさ、ふらつき、意識の低下、目や口の腫れなどが挙げられます。

間質性肺炎

空咳、息苦しさ、発熱などが生じる可能性があります。

横紋筋融解症

脱力感、手足のしびれ、こわばり、筋肉の痛みなどが考えられます。