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2022.07.14
#呼吸器内科 #対象疾患

ニコチンパッチ

ニコチンパッチとは

ニコチンパッチとは、ニコチンを皮膚から吸収させることで、イライラやストレスなどのニコチン離脱症状を和らげて禁煙しやすくする、貼るタイプの薬です。薬局などで販売されている一般用医薬品(OTC医薬品)と、病院で処方してもらう医療用医薬品があり、医療用医薬品にはニコチネルTTS10、20、30があります。

ニコチンの特徴

ニコチンとはたばこの葉に含まれる成分のことで化学物質の中では毒物として定められています。ニコチンには強い依存性があり、たばこを長期間吸い続けることで、たばこを吸わずにはいられなくなる状態を作り出すといわれています。そのため、たばこを吸わないでいると、イライラして落ち着かなくなったり、集中できなくなったりするなどの症状が出て日常生活に支障が出ることもあります。

また、血管を収縮させるはたらきが強いため、血圧を上昇させることにつながるほか、ニコチンには中毒性があることから、万一子どもがたばこの葉を食べたりすると中毒を招き、時に命に関わることもあります。

ニコチンパッチが処方される状況とは?

ニコチンパッチが処方されるのは、主に以下のような状況のときです。

  • 循環器疾患、呼吸器疾患、消化器疾患、代謝性疾患などの基礎疾患があり、禁煙の必要性がある場合の禁煙補助

ニコチンパッチの使用方法とは?

1日1回1枚を24時間貼ります。標準的な使用期間は8週間(2か月)です。最初の4週間はニコチネルTTS30を貼り、次の2週間はニコチネルTTS20を貼り、最後の2週間はニコチネルTTS10を貼ることが一般的です。

また、10週間を超えて継続使用しないように注意しましょう。

ニコチンパッチの使用に注意が必要な人とは?

ニコチンパッチは以下のような方では使用時に注意が必要、または使用できないことがあります。気になることがある場合は、事前に医師や薬剤師などに相談するようにしましょう。

ニコチンパッチの使用に注意が必要な人

  • 心筋梗塞(しんきんこうそく)・狭心症にかかったことがある、または狭心症になっていて症状が安定している人
  • 高血圧、不整脈、脳血管障害、心不全、末梢血管障害(まっしょうけっかんしょうがい)がある人
  • 甲状腺機能亢進症、褐色細胞腫などの内分泌疾患がある人
  • 糖尿病(インスリンを使用している)患者
  • 消化性潰瘍(しょうかせいかいよう)がある人
  • 肝・腎機能障害がある人
  • アトピー性皮膚炎や湿疹性皮膚炎などの全身性皮膚疾患がある人
  • てんかんやその既往歴がある人
  • 神経筋接合部疾患(重症筋無力症、イートン・ランバート症候群)やその既往歴がある人
  • 高齢者

など

ニコチンパッチの使用ができない人

  • 非喫煙者
  • 妊婦、妊娠している可能性がある人
  • 授乳中の人
  • 不安定狭心症、急性期の心筋梗塞(発症後3か月以内)、重篤な不整脈がある人
  • 経皮的冠動脈形成術、冠動脈バイパス術を受けた直後の人
  • 脳血管障害回復初期の人
  • ニコチンパッチ(ニコチネルTTS)の成分に対して過敏症になったことがある人

など

ニコチンパッチと飲み合わせが悪い薬や食品はある?

ニコチンパッチは、以下の薬や食品との組み合わせが悪いとされています。

  • フェナセチン
  • カフェイン
  • テオフィリン
  • イミプラミン
  • ペンタゾシン
  • フロセミド
  • プロプラノロール
  • ロピニロール
  • クロザピン
  • オランザピン
  • アドレナリン作動薬

これらの薬の作用が強くなる恐れがあります。

  • アドレナリン遮断薬

アドレナリン遮断薬の作用が弱くなることがあります。

ニコチンパッチの使用中に注意したい症状

ニコチンパッチの使用中に、以下のような症状が現れることがあります。使用をやめたり、適切な処置が必要となったりする場合もあるため、気になる症状が現れた場合は医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

重大な症状

アナフィラキシー (重いアレルギー反応)

頻度は不明ですが、重大な症状としてアナフィラキシーが起こることがあります。主に低血圧、頻脈、呼吸困難、蕁麻疹(じんましん)、血管浮腫(皮膚や粘膜の腫れ)などの症状がみられることがあります。

比較的よく起こる症状

5%以上の頻度で接触皮膚炎(赤い斑点やかゆみ)、不眠が生じることがあります。また、0.1~5%未満の頻度で接触皮膚炎(ぶつぶつ、腫れ、水ぶくれ、刺激感)、皮膚のはがれ、皮膚の色素沈着、過敏症(発疹(ほっしん)、アレルギー性接触皮膚炎、全身性蕁麻疹)、頭痛、めまい、倦怠感、悪夢を見る、集中しづらい、口内炎、口の渇き、口の中に苦みを感じるといった味覚異常、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、食欲不振、血圧上昇、動悸、ほてり、多汗、疼痛(とうつう)、不快感などが生じることがあります。

重症の皮膚症状や、皮膚症状が続く場合、接触皮膚炎による腫れ、頭痛、悪夢などが生じた場合は薬の中止や減量が必要になることがあります。

長く続くなど気になる症状がある場合は受診を検討するとよいでしょう。また、ここにある症状は全てではありません。詳細な効果や副作用については、医師や薬剤師のほか、薬の添付文書を確認するとよいでしょう。