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診療科目
2022.08.31
#対象疾患

メトクロプラミド

メトクロプラミドとは

メトクロプラミドとは“消化器機能異常治療剤”の仲間です。胃腸の運動調整作用を整えることによって、胃の内容物がスムーズに移動することを促し、吐き気や嘔吐などの症状を和らげることが期待できます。

メトクロプラミドは錠剤や粉薬、シロップ、注射液などの形態があり、先発品である“プリンペラン錠”などのほか、“メトクロプラミド錠”などジェネリック薬品を含むさまざまな製品が販売されています。

メトクロプラミドが処方される病気

メトクロプラミドは、以下の病気による胃などの消化器官の気持ち悪さ(違和感)、嘔吐、食欲低下、腹部の張りに対して処方されます。

  • 胃炎
  • 胃潰瘍(いかいよう)
  • 十二指腸潰瘍
  • 胆嚢・胆道疾患
  • 腎炎
  • 尿毒症(腎不全の末期状態)

そのほか治療薬や放射線の照射、開腹手術などの治療によって同様の症状が生じた場合も、メトクロプラミドが処方される可能性があります。また胃がん検診などで行われるバリウム検査後に、バリウムの排泄を促す目的で処方されることもあります。

メトクロプラミドの使用方法

錠剤・粉薬・シロップの場合

錠剤や粉薬、シロップの場合、食前に飲むことが一般的です。用量は年齢や症状によっても異なりますが、成人の場合、1日に塩酸メトクロプラミドとして10〜30mg程度を2~3回に分けて飲みます。錠剤や粉薬の場合には、コップ1杯程度の水やぬるま湯で飲みましょう。

注射液の場合

注射液の場合、医療機関で注射することが一般的です。用量は年齢や症状によっても異なり、成人の場合、塩酸メトクロプラミドとして1回10mgを1日1〜2回、筋肉内や静脈内に注射します。

メトクロプラミドの使用に注意が必要な人

以下のような方は、メトクロプラミドを処方する際により慎重に検討する必要があります。該当する可能性のある方は、事前に医師に伝えましょう。

  • 脱水や栄養不良を伴う体の疲弊がある方
  • 腎機能障害を持つ方
  • 妊婦、あるいは妊娠している可能性のある方
  • 授乳中の方
  • 小児
  • 高齢の方

メトクロプラミドが使用できない人

以下のような方は、メトクロプラミドを使用することができません。当てはまる可能性がある方は、医師に必ず伝えるようにしましょう。

  • メトクロプラミドの成分に対して過敏症を持っている方
  • 褐色細胞腫*を疑われている方
  • 消化管に出血のある方
  • 消化管に穴が空いている方
  • 消化管が何らかの理由で塞がっている方

*褐色細胞腫:交感神経に影響を与えるホルモンを産生してしまう腫瘍で、良性・悪性がある。

メトクロプラミドと飲み合わせの悪い薬や食品

メトクロプラミドを使用する際は、以下の薬品との併用に注意が必要です。以下を含め、現在何らかの治療薬を使用している方は、必ず医師や薬剤師に伝えておきましょう。

  • フェノチアジン系薬剤(統合失調症の治療などに用いられる精神神経用剤の1つ“プロクロルペラジン”、 精神神経安定剤の1つ“クロルプロマジン”など)
  • ブチロフェノン系薬剤(抗精神病薬の1つ“ハロペリドール”など)
  • ラウオルフィアアルカロイド薬剤(血圧降下剤の1つ“レセルピン”など)
  • ベンザミド系薬剤(精神情動安定剤・消化器用材剤の1つ“スルピリド”や、脳梗塞(のうこうそく)の後遺症による精神的興奮などに対して投与される治療薬“チアプリド”など)
  • ジギタリス剤(心臓の収縮を強め、脈を整える治療薬“ジゴキシン”など)
  • カルバマゼピン(向精神作用性てんかん治療剤・躁状態治療薬の1つ)
  • 抗コリン剤(胃腸の緊張を和らげ、心拍数を増加させる治療薬の“アトロピン硫酸塩水和物”や、けいれんを鎮める治療薬の1つ“ブチルスコポラミン臭化物”など)

メトクロプラミドの使用中に注意したい症状

メトクロプラミドの使用中に起こりうる重篤な症状

メトクロプラミドの使用中は、以下のような重篤な症状が起こることもあります。このような症状が現れた場合には、速やかに医療機関の受診を検討しましょう。

また、メトクロプラミドの使用中は眠気・めまいが現れる場合もあるため、自動車の運転などを控えるようにしましょう。

  • ショック、アナフィラキシー症状(呼吸困難や喉の腫れ、蕁麻疹(じんましん)など)
  • 悪性症候群(急な発熱や筋肉のこわばり、手足の震えなど)
  • 意識障害(意識が薄くなる、考えがまとまりにくいなど)
  • けいれん
  • 遅発性ジスキネジア(舌や顎など顔回りが自身の意志と関係なく勝手に動くなど)