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診療科目
2022.04.13
#内科 #対象疾患

下痢

受診の目安になる症状

下痢に加えて、以下のような症状がある場合は受診を検討しましょう。

  • 血便、黒い便が出る
  • 粘液の混じった便が出る
  • 下痢が3日以上続く
  • 発熱がある
  • 嘔吐がある
  • 激しい腹痛がある
  • 脱水症状がある

など

下痢は日常生活でよく経験することがある症状の1つで、ほとんどが一過性のものだといわれています。しかし、上記の症状ほか、短時間で何度も水のような下痢をするほど激しい場合や、吐き気があり水分も取れないほどつらい場合、生ものや魚介類、きのこなどを食べた後で食中毒が疑われる場合などは早めに治療を受ける必要があるため、消化器内科または内科の受診を検討するとよいでしょう。

また、口が渇く、尿の量が減る、脈が速くなる、血圧低下などがある場合は下痢による脱水症状の可能性があります。さらに悪化すると意識が混濁することもあるため注意しましょう。

下痢の原因と対処法

下痢の原因には、食べすぎや飲みすぎ、冷え、ストレスなどのほか、胃腸炎や食中毒、そのほかの病気などさまざまなものがあります。原因やタイプによって対処法や治療法は異なります。

食べすぎ・冷たいものの飲みすぎ、寝冷え

急に下痢を引き起こした場合のほとんどは、食べすぎ、冷たいものの飲みすぎ、寝冷えなどが原因だといわれています。

食べすぎの場合は、食べたものが消化しきれずに下痢になってしまうとされています。また、寝冷えや冷たいものの飲みすぎは、腸が刺激されて腸の運動が活発になることで、水分を吸収しきれずに下痢になってしまうことがあります。
このような場合は安静にし、こまめな水分補給や体への負担が少ない食事を心がければ1~2日で改善することが一般的です。

ストレス

ストレスによって自律神経が崩れ、腸の運動が活発になって下痢が起こることがあります。このような場合は“過敏性腸症候群”という病気の可能性があります。

過敏性腸症候群には、緊張や不安によって激しい下痢をもよおす“慢性下痢型(神経性下痢)”、便秘と下痢を数日ごとに繰り返す“不安定型(交代制便通異常)”、強い腹痛の後に大量の粘液が出る“分泌型”の3タイプがあります。

ストレスのほかにも、不規則な生活習慣、暴飲暴食、過度の飲酒なども原因となるため、食生活や生活習慣の改善を行ったうえで、ストレスを和らげていくことが重要です。また、自律神経のバランスが乱れている“自律神経失調症”という病気が関係していることもあるため、場合によっては心療内科の受診が必要なこともあります。

胃腸炎

ウイルスや細菌、寄生虫の感染によって胃腸炎で下痢が起こることがあります。症状は下痢や嘔吐のほか、まれに発熱や血便を伴うことがあります。一方で、嘔吐のとき以外はほとんど腹痛がありません。

胃腸炎の疑いがある場合は、脱水症状を防ぐために水分をしっかり取ることが大切です。抗生物質の投与が必要となることもあるため、受診を検討するとよいでしょう。

食中毒

汚染されたものを食べてから4~8時間以内に嘔吐を伴う下痢が突然起こることがあり、この場合は食中毒の可能性があります。

一般的には12~24時間程度症状が続くとされています。また、激しい腹痛や発熱、嘔吐などを伴うときは緊急性が高い可能性があるため、早めに受診を検討しましょう。

薬の副作用

病気の治療のために使った薬が原因で、腸の粘膜が炎症したり傷ついたり、腸の動きが激しくなったり、腸内細菌のバランスが変わったりして下痢が起こることがあります。

薬を使い始めてから1~2週間以内に起こることが一般的ですが、場合によっては1~2か月たってから下痢が起こることもあります。放置すると重症化することもあり、特に抗がん剤や抗菌薬、免疫抑制剤、消化器用薬の一部で重度の下痢が起こることがあるため注意しましょう。

泥状や水のような便が出る、便に血や粘液が混じる、排便を我慢できず漏らしてしまう、便意があっても便がまったくまたは少量しか出ない、頻繁に下痢がありトイレから離れられない、激しい腹痛がある、医師に指示された下痢止めを飲んでも症状が改善されないといった場合は、早めに医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

吸収不良

便の色が明るい、緑やオレンジ色をしている、異常な悪臭がする、油っぽく見えるほか、お腹が張る感じや体重減少がある場合は、病気によって吸収不良になることで下痢を起こしている可能性があります。

原因となる病気として、セリアック病や熱帯性スプルー、膵機能不全、腸内細菌異常増殖症候群などがあります。この場合も適切な治療を受けるため、早めに受診を検討するとよいでしょう。

そのほか疑われる病気

炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)など)、悪性リンパ腫や腺がん、結核、甲状腺機能亢進症といったさまざま病気が原因で下痢につながることがあります。こういった病気が原因で直腸の粘膜に炎症が起こると、頻繁に排便したくなることが一般的です。

炎症性腸疾患の場合は、血便、けいれん性の腹痛、体重減少、食欲不振のほか、体重減少や関節炎、発疹(ほっしん)、口内炎といった症状を伴ったり、甲状腺機能亢進症の場合は、疲労感や動悸、体重減少、心拍数増加などの症状を伴ったりすることもあります。

下痢の原因を明らかにし、病気の治療を受けるために早めに受診を検討するとよいでしょう。

下痢になったときに気を付けたいポイント

下痢を改善するためには、原因やタイプに合わせた対応が必要になります。そのため、さまざまな下痢の対処法を試しても改善されない場合は、適切な改善法を指導してもらうためにも受診を検討するとよいでしょう。

食事

下痢が激しいときは一時的に食事を控え、スポーツドリンクなどの水分をこまめに取るようにするとよいでしょう。ただし、冷たい水や牛乳、コーヒー、紅茶、アルコール、ジュースや果汁などは刺激になるためやめましょう。

食事を取るときは、食物繊維が少なく消化がよいものや、栄養価の高いものを選ぶとよいでしょう。

下痢止め薬・便秘薬の使い方

有害物質を体から出すために下痢が起こっている場合もあるため、自己判断で下痢止めを飲むことは控えましょう。また、日常的に便秘薬を飲んでいる場合に下痢になったときは、薬をやめるか量を減らすようにしましょう。

お腹に圧がかかることをしない

症状を和らげるためには、重いものを持ったり、無理にいきんだり、お腹に圧がかかることは避けましょう。また、マッサージなどで下腹部を強く押すのを控えるようにしましょう。

症状が治まらない場合は受診の検討を

食事をやめたり、消化のよいものを食べるようにしたり、お腹を温めたりしても下痢が止まらない場合は重大な病気が原因の可能性もあります。そのため、早めの受診を検討するとよいでしょう。