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2022.04.27
#内科 #対象疾患

再生不良性貧血

再生不良性貧血とは

貧血とは、血液内にある赤血球の中の酸素を運ぶ“ヘモグロビン”という細胞の濃度が低い状態のことです。貧血には原因によってさまざまな種類に分けられます。中でも再生不良性貧血は、骨髄にある造血幹細胞(血液細胞の素)が減少することで、白血球、赤血球、血小板などの血液細胞が減少する病気です。再生不良性貧血には先天性と後天性があり、後天性は、薬やウイルス感染が原因の場合もあれば、原因不明の場合もあります。

患者数は約5,000人、新たに発症するのは毎年100万人あたり約5人といわれており、再生不良性貧血は難病指定されている珍しい病気です。貧血の多くは月経や内臓からの出血などが原因で鉄が足りなくなる“鉄欠乏性貧血”だといわれています。

再生不良性貧血の症状

  • 動悸
  • 息切れ
  • 疲れやすさ
  • 頭が重い感じ
  • あざ
  • 鼻血や歯肉からの出血
  • 発熱や咳(感染症による)など

受診の目安

前述のとおり貧血の多くは鉄欠乏性貧血であり、動悸、息切れ、疲れやすさなどの貧血症状を感じても過度に再生不良貧血を疑う必要はないといえるでしょう。ただし、鉄欠乏性貧血の場合も放置すると日常生活に支障が出る可能性もあります。また、もし再生不良貧血が原因の場合は治療が必要になります。

そのため、貧血症状やほかにも気になる症状がある場合は、放置せずにまずはかかりつけ医に相談したり、内科などの受診を検討したりするとよいでしょう。

再生不良性貧血の治療のポイント

再生不良性貧血では血小板や赤血球の数によって重症度を5段階(軽症、中等症、やや重症、重症、最重症)に分類します。重症度によって治療内容が異なり、軽症~中等症であれば治療をせずに経過観察をすることが一般的です。また、治療は目的によって支持療法(症状改善を目指す治療)、造血の回復を目指す治療に分類できます。詳細は以下のとおりです。

支持療法

支持療法とは、根本的な治療ではなく、症状を改善して生活の質(QOL)を維持する目的で行う治療のことです。

具体的には赤血球や血小板の不足を輸血で補ったり、薬の投与を行ったりします。白血球が減少すると感染症にかかりやすく、感染症が重症の場合は好中球(白血球の一種)を増やす薬を使うこともあります。

造血の回復を目指す治療法

造血幹細胞移植(骨髄移植)

正常な造血幹細胞を移植し、病気の原因となっている造血幹細胞と取り替える治療法です。やや重症例以上で40歳未満、白血球の型(HLA)が一致した兄弟姉妹がいる場合などに選択されることがあります。

ただし、移植前に抗がん剤治療や放射線治療を行うため、患者さんに負担がかかる治療法です。

薬物療法

造血幹細胞を攻撃している白血球のはたらきを抑え、造血の回復を目指す治療(免疫抑制療法)などを行います。また、赤血球を増やしたり、造血幹細胞や関連するホルモンに作用したりして造血を促す薬を使うこともあります。

再生不良性貧血になったときに気を付けたいポイント

再生不良性貧血では赤血球、白血球、血小板が減少しているため、以下のような点に注意が必要です。

体調管理をしっかりする

再生不良性貧血では白血球が減ることがあるため、感染症にかかりやすくなります。そのため、規則正しい生活、バランスのよい食事、十分な休息を心がけ、体調管理をしっかりしましょう。十分な栄養と休息は、赤血球の減少で疲れやすくなった体にもよいといわれています。

また、感染症予防のため、小まめにうがい、手洗いをし、外では人混みを避ける、マスクの着用などを心がけましょう。毎日体温を測って体調の変化に早く気付けるようにすることも大切です。

出血に注意する

血小板が減っている場合は、出血しやすく、血が止まりにくい状態になります。そのため、打撲やけがに注意し、激しい運動も控えたほうがよいでしょう。歯磨きのときに歯茎を傷つけないよう、歯ブラシは柔らかいものを使うのがすすめられます。また、身に覚えのないあざができていたり、鼻血が出たりした場合はすぐに医師に相談するようにしましょう。