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2022.06.28
#泌尿器科 #対象疾患

前立腺がん

前立腺がんとは

前立腺がんとは、男性の生殖器である“前立腺”から発生するがんのことです。前立腺は膀胱の下にあり尿道を取り囲んでいる臓器で、精液に含まれる前立腺液を作っています。原因は明らかになっていませんが、発症のリスクを高めるものとして家族歴や食生活、年齢などが関係していると考えられています。

前立腺がんは男性が発症するがんの中ではもっとも多く、今後も増え続けると考えられています。ただし、早期発見し適切な治療を受けることができれば完治が期待できます。早期発見には、PSA検査という血液検査を受けることが大切です。自治体のがん検診や人間ドックなどで受けることができます。

前述のとおり、前立腺がんのリスクの1つは年齢です。50歳を過ぎると患者さんが急激に増えるため、50歳以上の方は1年に1度PSA検査を受けることがすすめられます。また、発症には家族歴も関係するため、前立腺がんのご家族のいる方は、できれば40歳を過ぎたらPSA検査を受けることがよいといわれています。

前立腺がんの症状

主な症状

早期の場合は、自覚症状がないことがほとんどです。しかし、以下のような症状が現れることもあります。

  • 尿が出にくい
  • 排尿の回数が多い

など

進行した場合の症状

進行すると、以下のような症状が現れることがあります。

  • 尿が出にくい
  • 排尿の回数が多い
  • 尿に血が混じる
  • 腰が痛い

など

受診の目安

前立腺がんは進行がゆっくりであることが多く、がんが発生してから治療が必要な状態になるまでには40年ほどかかるといわれます。また、初期には症状が現れないことが一般的です。症状がみられる場合には進行していることが多く、半数ほどの方はがんが骨などに転移しているといいます。そのため、上記で紹介したような気になる症状がある場合は、前立腺がんやほかの病気の可能性を踏まえ、泌尿器科の受診を検討するとよいでしょう。

一方、近年はPSA検査の普及によって早期発見が可能となり、進行した状態で発見されることが減少しているとされています。そのため、定期的にPSA検査を受けて早期発見に努めることが大切です。前述のとおり、50歳を過ぎると患者さんが急激に増えるため、50歳以上の方は1年に1度PSA検査を受けることを検討しましょう。また、前立腺がんのご家族のいる方はできれば40歳を過ぎたらPSA検査を受けるとよいでしょう。

前立腺がんの治療のポイント

主な治療方法には手術、放射線治療、薬物療法があり、がんの進行度合や体の状態などを踏まえて検討することが一般的です。また、早期の場合は経過観察となることもあります。

手術

前立腺と精のう(前立腺の上のほうにある生殖器)を摘出し、さらに膀胱と尿道をつなぐ“前立腺全摘除術”が行われます。この時、前立腺の周りにあるリンパ節を取り除くこともあります。

手術がもっとも推奨されるのは、がんが前立腺の中にとどまっており、10年以上の余命が期待できる場合とされています。また、前立腺の被膜を越えてがんが広がっている場合も手術の対象となります。

放射線治療

放射線治療とは、X線や電子線の照射によってがん細胞を小さくする治療法のことです。前立腺の中にとどまるがんから、転移があるがんまで、幅広く行われることがあります。

照射法には、体の外から放射線を照射する“外照射療法”と、放射線を出す物質を小さな容器に入れ、前立腺の中に入れて照射する“組織内照射療法”があります。治療期間や副作用などに違いがあるため、医師と相談しながら方法を決めていくことになります。

主な薬物療法には、ホルモン療法と化学療法があります。前立腺がんの進行には男性ホルモンが関係していると考えられているため、ホルモン療法では、男性ホルモンの分泌やはたらきを阻害する薬を使って病気の進行を防ぎます。一方、化学療法は薬でがん細胞を小さくしたり、消滅させたりする治療法です。

ホルモン療法は手術や放射線治療が難しい場合、放射線治療の前後、転移がある場合などに行うことが一般的です。一方で転移があり、ホルモン療法の効果がなくなった場合は化学療法を行うことが一般的です。

前立腺がんになったときに気を付けたいポイント

日常生活における注意点

医師の指示に従う

前立腺がんになっても、日常生活において大きな制限はありません。ただし、症状や治療の状況によって注意点が異なるため、医師からの指示にしたがうようにしましょう。

また一般的に、がん予防のためには禁煙、節酒、食生活の改善(塩分を控える、野菜や果物を取るなど)、適度な運動、適正体重の維持、感染予防をするのが望ましいとされています。そのほか、放射線治療の後は食欲が低下することもあるため、無理をしないようにしましょう。飲酒によって排尿に関する症状が悪化することがあるため、症状によっては禁酒が必要になることもあります。

治療中は避妊する

がんの治療は胎児に影響を与えることがあるため、治療中は避妊が必要です。また、治療によって勃起障害や射精障害といった性機能障害が起こることもありますが、これらには対処法が存在します。妊娠を希望する場合は治療法にも注意が必要となるため、事前に医師から説明を受けておくようにしましょう。

尿失禁改善のための体操をする

手術後に副作用として尿失禁が起こることがあります。尿失禁を改善するためには、尿道の周りの筋肉(骨盤底筋)を鍛える骨盤底筋体操が有効な場合があります。この体操は、手術を予定している方も事前に行うとよいとされています。

医師の指示どおりに通院する

治療後も、経過観察として適宜診察や検査を受ける必要があります。一般的には、治療後の2年間は3か月ごとに、それ以降の2年間は半年ごとに、その後は年に1回程度受診することになります。ただし、気になる症状がある場合はそれ以外のタイミングでも早めの受診を検討するようにしましょう。