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2022.06.14
#泌尿器科 #対象疾患

前立腺炎

前立腺炎とは

前立腺炎とは、男性の生殖器である“前立腺”に炎症が起き、排尿に関するトラブルや痛みなどが現れる病気です。前立腺は主に、精液に含まれる前立腺液をつくる役割を持っており、膀胱の下に尿道を囲むように存在しています。前立腺に発症する病気の中でもよくみられる病気で、50歳以下の男性ではもっとも頻度が高いとされています。

前立腺炎は原因や期間によって細菌感染が原因で急激に症状が現れる“急性細菌性前立腺炎”、細菌感染の後で徐々に症状が現れ、繰り返される“慢性細菌性前立腺炎”、原因が細菌感染ではない“慢性非細菌性前立腺炎”の3つのタイプに分けることができ、それぞれ症状や治療法に異なる部分があります。

前立腺炎の症状

前立腺炎では急性と慢性で症状がやや異なります。

急性前立腺炎の症状

急性前立腺炎の場合は、以下のような症状がみられることがあります。

  • 前立腺の腫れ
  • 排尿時の痛み
  • 排尿障害(頻尿、尿失禁、尿を出したいのに出せない・出しづらいなど)
  • 38℃以上の高熱

など

慢性前立腺炎の症状

慢性前立腺炎の場合は、以下のような症状がみられることがあります。

  • 頻尿
  • 排尿時の痛み
  • 残尿感
  • 会陰部、下腹部、恥骨、腰などのうずくような痛み
  • 尿道、鼠径部(足の付け根)、陰嚢の違和感や不快感
  • 射精時の疼痛(とうつう)
  • 血が混じった精液

など

受診の目安

排尿に関するトラブルはよくみられる症状ですが、急性前立腺炎の場合は、放置すると前立腺に膿がたまったり、精巣上体炎(精巣の横にある器官の炎症)が生じたりすることもあるため、気になる症状があれば早めに泌尿器科の受診を検討するとよいでしょう。慢性前立腺炎の場合はちょっとした違和感がある程度ですが、この場合もためらわずに受診を検討しましょう。

また、前述したような症状の原因は前立腺炎以外にも別の病気が関係している可能性もあります。病気によっては、早めの診断や治療が必要な場合もあるため、自己判断しないようにしましょう。

前立腺炎の治療のポイント

前立腺炎の治療は、種類によって異なります。

急性細菌性前立腺炎

炎症の原因となっている細菌に対して有効な抗菌薬(細菌を殺す薬)を使うことが一般的です。通常は飲み薬を使いますが、高熱がある場合や全身状態がよくない場合は入院となり、点滴で薬を投与することもあります。

慢性非細菌性前立腺炎

一方、慢性非細菌性前立腺炎の場合、まずは生活習慣の指導を行います(後述)。また、抗菌薬のほか、鎮痛剤や漢方薬などを使うこともあります。
ただし、原因が明らかになっていないこともあり、完治が難しいため、病気と根気よく付き合う必要があります。

前立腺炎になったときに気を付けたいポイント

生活習慣によって症状が悪化することもあるため、長時間の座位やお酒の飲み過ぎ、冷え、ストレスなどに注意が必要です。

長時間座ったままの状態を避ける

長時間座ったままでいると、前立腺が圧迫され続けて症状を悪化させるリスクがあります。デスクワークや長時間の運転で座った姿勢が続く場合は、1~2時間おきに立ったり休憩したりして、前立腺が圧迫された状態が続かないように心がけましょう。また、自転車やバイクの乗車はなるべく控えたほうがよいでしょう。

アルコールを控える

症状が悪化することがあるため、前立腺炎の方はアルコールを控え、特に症状がある場合は禁酒に努めましょう。

アルコールを摂取すると、前立腺の血流が悪くなり前立腺が腫れて尿道の圧迫が強くなります。また、アルコールの利尿作用でいつも以上に尿が膀胱にたまって、尿を出す力が低下し、尿の出が悪くなったり、頻尿が悪化したりすることがあるため注意が必要です。

下半身を冷やさない

冷えなどによって体の抵抗力が低下すると、前立腺炎のリスクが高まるとされています。そのため、発症後も下半身を冷やさないように注意するとよいでしょう。

ストレスをためない

疲れや精神的なストレス(仕事や対人関係の悩みなど)は慢性前立腺炎の原因になるといわれています。ストレスによってうつ状態になると同時に会陰部や下腹部の痛みや不快感がみられることがあります。一方、会陰部や下腹部の痛みが続くことでうつ状態が引き起こされたりすることもあるなど、前立腺炎の症状とストレスは相互に関係していると考えられています。そのため、ストレスや疲れをためないように心がけることも大切です。