希望するご予約を
お選びください

×閉じる
診療科目
2022.06.08
#性感染症 #対象疾患

性器ヘルペス

性器ヘルペスとは

性器ヘルペスとは、単純ヘルペスウイルスに感染し、性器や性器の周りに水ぶくれやただれなどが生じる病気のことです。主な感染経路は、ウイルスに感染している人との性行為で、感染者が無症状でも粘膜や分泌液にウイルスが存在すれば感染するといわれています。そのほか、ウイルスが付着した便座やタオルを介して感染したり、唾液にウイルスが含まれていれば口唇性交によって感染したりすることもあります。

単純ヘルペスウイルスは一度感染すると、治療をしても生涯にわたって体内(神経)に潜伏し、根治が難しいとされています。そのため、免疫力が落ちたりすると症状が現れ、繰り返し再発することもあり、中には毎月のように発症する人もいます。

性器ヘルペスの症状

主な症状

感染しても7~8割ほどは無症状のままウイルスを排出するといわれています。症状が現れる場合は、感染から2~21日程度の間に以下のような症状がみられることがあります。

  • 外陰部の不快感、かゆみ、痛み
  • 発熱
  • 全身の倦怠感
  • 患部近くのリンパ節の腫れ
  • 水ぶくれや浅い潰瘍(かいよう)(ただれ) など

症状は初めて感染した時に現れるものがもっとも重く、再発時は症状が軽いことが一般的です。
一方で、初感染時には無症状であっても、その後ウイルスが活性化し、初めて症状をもたらすケース(誘発型)では、時に非常に重い症状になることもあります。

受診の目安

初感染で症状が現れた場合、治療をしないでも2~4週間ほどで治癒することがあります。しかし、時に髄膜炎(頭蓋骨(ずがいこつ)と脳の間にある髄膜の炎症)を合併したりするほか、女性の場合は尿を出しにくくなったり、歩くことが難しくなったりすることもあります。

一方、再発した場合は症状が軽く、多くは1週間以内に治るといわれています。ただし、感染したまま放置するとパートナーに感染させてしまう可能性が考えられたり、性器がただれていると、エイズの原因となるヒト免疫不全ウイルスをうつしたり、うつされたりするリスクが高まったりすることがあったりするため注意が必要です。

さらに妊婦が感染して、出産の際にもウイルスを排出していた場合は、新生児にも感染し重い新生児ヘルペス(脳炎や肝障害、後遺症、死亡の可能性もある)を発症するリスクがあります。そのため、気になる症状があったり、パートナーが感染したと分かったりした場合は、早めに泌尿器科などの受診を検討するとよいでしょう。

性器ヘルペスの治療のポイント

性器ヘルペスの治療は薬物治療が中心となります。

症状を改善する薬

皮膚や粘膜の表⾯だけでなく、体の中(神経)にいるウイルスの増殖も抑えることが期待できる抗ウイルス薬が処方されます。通常は飲み薬ですが、症状が強い場合には注射薬を使うこともあります。また、水ぶくれなどの症状がなくなっても、神経の中ではウイルスが増殖しているため、自己判断で薬をやめず、指示どおりに飲み切ることが大切です。

そのほか、⽪膚や粘膜の表⾯のウイルスが増殖しないよう、必要に応じて塗り薬が処方されることもあります。ただし、感染した場所が⼦宮頸部(しきゅうけいぶ)や腟内の場合は塗り薬では対応できないため、塗り薬単独での治療は推奨されていません。一方で、再発時は症状が軽いこともあり、塗り薬による治療が行われる場合があります。

再発に備える薬

性器ヘルペスが再発する際、性器の違和感などの前兆が現れることがあります。年に何度も再発するような場合は、前兆が現れた時点で対処できるよう、事前に抗ヘルペスウイルス薬の飲み薬が処方されることもあります。この場合、2回程度服⽤すれば、水ぶくれの症状が現れずに治療が終わることもあります。

また、再発しにくくなるようにする治療法(再発抑制療法)として、毎⽇抗ヘルペスウイルス薬を服用し、再発を防ぐことも選択肢の1つです。

性器ヘルペスになったときに気を付けたいポイント

性的接触を避ける

感染した状態で性的な接触があると、パートナーに感染させてしまうことがあります。さらに、性器がただれていると、エイズの原因となるヒト免疫不全ウイルスをうつしたり、うつされたりするリスクが高まるとされています。そのため、気になる症状があったり感染が判明したりした場合は、性的接触を避けることが大切です。

また、予防のためにも日ごろからコンドームを使用するとよいでしょう。ただし、患部の範囲が広い場合は、コンドームを使っても防ぎきれないことがあります。

患部を清潔に保つ

症状があるときは特に、患部を清潔に保つとよいでしょう。せっけんなどをよく泡⽴て、やさしく洗うとよいとされています。また、水ぶくれの中にはたくさんのウイルスが存在するため、患部に触れたら必ずせっけんで手指を洗うことが重要です。

バスタオルなどの共用を避ける

感染者と同じお⾵呂に浸かっても、ウイルスがうつることはほぼないといわれています。一方で、ウイルスが付着した便座やバスタオルを介して感染することがあるので、患部に触れるものの共有は避けましょう。ただし、洗濯や乾燥によってウイルスは除去されるとされています。

また、お尻に症状がある場合は、お尻が便座に直接接触しないようにするか、使用後に便座をエタノールで消毒するとよいでしょう。

日々の生活で再発を防ぐ

性器ヘルペスは、疲れやストレス、かぜ、アルコールの飲みすぎなどで免疫が低下すると再発することがあります。そのため、疲れやストレスをためない、栄養バランスのよい⾷事、⼗分な睡眠、お酒の飲みすぎを控えるといったことを心がけるとよいでしょう。