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診療科目
2022.05.25
#対象疾患

手が震える

受診の目安になる症状

  • 手の震えで生活に支障がある
  • 吐き気や頭痛、手や顔のしびれ、麻痺などが伴う
  • 動悸や体重減少が伴う

など

手の震えは、緊張や気温の変化などによって誰もが起こり得る症状の1つです。しかし、特に原因がなく手が震えたり、声が震えたりする場合には、“本態性振戦”という病気して扱われます。なお、この病気のほとんどは進行せず、麻痺が残るようなことはないとされていますが、治療を受けることでスムーズな日常生活を送ることができるようになるといわれています。

また、手の震えは本態性振戦以外にも何かしらの病気の症状として現れることもあります。そのため、手の震えによって日常生活に支障が出ていたり、上記のような症状がみられたりする場合は、我慢せずにまずはかかりつけ医や内科などの受診を検討するとよいでしょう。

手が震える原因と対処法

日常生活からくる震え

日常生活の中の何気ない行動が、手の震えの原因になることがあります。たとえば、過剰に緊張している場合や重い物を持ち続けた場合、寒い場所にいる場合など、日常生活の動作がきっかけで一時的に手が震えることがあります。

これは誰にでも起こり得るもので、生理的振戦とも呼ばれます。この場合は、治療の必要はないといわれています。

本態性振戦

本態性振戦とは、はっきりとした原因がなく震えが現れる病気のことです。手指や頭などが震えることで日常生活に支障をきたしたり、精神的苦痛を感じたりすることがあります。手の震えが起きやすいタイミングとしては、飲んだり書いたりするなど何かしらの動作をするときや、特定の姿勢を取ったときなどが挙げられます。

この場合は通常、震え以外の症状はなく、症状が進行するようなこともほぼないため、麻痺して歩けなくなるということはないと考えられています。したがって、積極的に治療をする必要はありませんが、治療を行う場合には狭心症や高血圧の治療薬であるβ遮断薬を使用することが一般的です。β遮断薬が交感神経の昂りを抑制し、筋肉への交感神経の刺激を緩和することで震えが軽減されると考えられています。

バセドウ病

バセドウ病とは甲状腺機能亢進症の一種で、全身の臓器に作用し代謝を司る甲状腺ホルモンを過剰につくってしまう病気です。症状としては指の震え、動悸、体重減少、汗をかきやすくなるといったことが挙げられます。原因は解明されていませんが、もともとバセドウ病を発症しやすい体質の人がウイルス感染や強いストレスなどをきっかけに発症するのではないかと考えられています。

治療には抗甲状腺薬による薬物療法、放射性ヨウ素内用療法(放射性ヨードのカプセルを内服して甲状腺組織を破壊する治療法)、手術による甲状腺摘出などがあります。

脳卒中

脳卒中とは、脳の血管が詰まったり破れたりすることで血液が脳に届かなくなり、脳神経細胞が障害される病気です。原因によって脳梗塞(のうこうそく)、脳出血、くも膜下出血などに分類されます。症状としては、吐き気、頭痛、麻痺、しびれなどが代表的ですが、手足の震えが起こることもあります。また、後遺症で手足の震えが続くことがあります。

治療では、症状の悪化や再発予防のための抗血栓薬などの薬の内服、点滴を行います。このほか、発症してから4時間半以内に行うことができる血栓を溶かす点滴や、24時間以内に行うことができる血栓を摘出する血管内治療などが行われることもあります。

早期に治療を開始することで後遺症を軽減できることがあるため、遅くとも発症から2時間以内には受診することが重要とされています。また、意識がない場合には救急車を手配することが必要です。

アルコール依存症

アルコール依存症とは、アルコールの大量摂取を繰り返したことによりアルコールに依存してしまい、精神・身体的機能が障害されている状態のことです。主にお酒を飲みたいという強い欲求や、節酒のコントロールがきかないといった精神的な症状と、アルコールが切れると発汗や手指の震えが起こるなどの身体的な症状がみられることがあります。

アルコール依存症から回復するためには、自助グループへの参加やアルコール依存症の専門的な治療を行っている医療機関への受診が重要だといわれています。治療は断酒が原則ですが、飲酒をすると不快な反応を引き起こす薬や、飲酒の欲求を抑える薬、アルコール離脱時の症状を改善する薬などを使用することもあります。

パーキンソン病

パーキンソン病とは、脳に運動の指令を伝える“ドパミン”と呼ばれる物質が減ることによって、体の動きが障害される病気のことです。ドパミンが減る原因はわかっていません。高齢の方に多くみられることが特徴ですが、若い方でも発症することがあります。主に手足が震える、動きが遅くなるなどといったさまざまな症状が現れます。

現時点では完全に治す治療法はありませんが、薬を使用して症状の改善を目指します。

手が震えるときに気を付けたいポイント

十分な睡眠や休養を取る

本態性振戦の場合、交感神経が過剰に興奮することで震えが起きるといわれています。

精神的な緊張によって交感神経の働きが活発になり震えが強まることがありますが、十分な睡眠や休養をとることで交感神経の緊張が和らぎ、症状が改善することがあります。

緊張しない環境づくりをする

本態性振戦の場合は、震えを隠そうとすると余計に震えてしまうことがあります。そのため、相手にふるえのことを伝えることで緊張が和らぎ、症状が軽くなることがあります。

必要に応じて受診を検討する

手の震えによって日常生活に支障が出ていたり、気付かないうちに生活の質が低下したりしていることもあります。また、手の震えの原因に重大な病気が隠れていることもあるため、気になる症状がある場合は放置せずに受診の検討をするとよいでしょう。