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診療科目
2022.04.26
#泌尿器科 #対象疾患

排尿障害

受診の目安になる症状

  • 尿が近く、尿の回数が多い
  • 突然我慢できないほどの尿意が起こる
  • 尿もれがある
  • 尿の勢いが低下する
  • 尿が2本に分かれたり飛び散ったりする
  • 途中で尿が途切れる
  • 尿が出始めるのに時間がかかる
  • いきまないと排尿できない
  • 尿が出終わるころに尿がぽたぽた垂れる
  • 残尿感がある など

排尿障害とは膀胱に尿をため、体外に出すサイクルの過程に異常が生じることで、頻尿や失禁、残尿感などのさまざまな症状がみられる状態のことです。原因は性別や症状によっても異なりますが、加齢やホルモン、病気などが関係して発症するといわれています。

排尿障害はありふれた症状の1つであるため、放置したり、我慢したりすることも少なくありません。しかし、時に重大な病気が原因となっていたり、日常生活に支障をきたしたりすることもあるため、気になる症状があれば早めに泌尿器科などの受診を検討するとよいでしょう。

排尿障害の原因と対処法

排尿障害がある場合は、以下のような病気が関係していることがあります。詳細は以下の通りです。

膀胱炎

膀胱炎とは、主に細菌に感染することによって膀胱に起こる感染症のことです。頻尿や血尿、排尿の終わりごろの不快な痛みなどの排尿障害が現れることがあります。

細菌を殺す薬(抗菌薬)を内服すれば3日程度で治ることが一般的です。ただし、高熱や倦怠感、背中の痛みもある場合は、腎臓まで炎症が及ぶ“腎盂腎炎(じんうじんえん)””“””を発症している可能性があります。この場合は重症化のリスクがあるため、症状が強い場合は入院して抗菌薬の点滴を行うこともあります。

前立腺肥大症

前立腺肥大症とは、男性の生殖器である前立腺が肥大する病気のことです。原因ははっきりしていませんが、生活習慣やホルモンの変化などが関与すると考えられています。主に尿が出にくい、頻尿、残尿感などの症状がみられます。

治療では、前立腺の筋肉を緩めて尿を通りやすくする薬と前立腺を小さくする薬を病状に応じて選択します。一方で、尿路感染(膀胱炎や腎盂腎炎)や腎機能障害、後述する膀胱結石などの合併症がある場合は肥大した前立腺を取り除く手術が必要となります。また、症状緩和のために水分や刺激物の取りすぎには注意するなどの生活習慣の改善を心がけることも大切です。

膀胱結石

膀胱結石とは膀胱に石ができることです。原因は尿路の通過障害や尿路感染、薬、生活習慣などさまざまにあります。主に激しい痛みや血尿のほか、下腹部の痛みや張り、排尿したい感覚が続く、尿が途中で途切れるといった症状がみられます。また、高熱が出る場合は腎盂腎炎を併発している可能性があるため注意が必要です。

痛みがある場合は鎮痛薬などで痛みを緩和する治療を行います。さらに、結石を尿から排出するために水分をたくさん取ったり、薬を飲んだりする方法もありますが、自然に排出するのが難しいと判断される場合は手術を検討することが一般的です。

過活動膀胱

過活動膀胱とは、膀胱が過敏になり、急な尿意や頻尿につながる状態のことです。原因は脳や神経の病気、加齢などさまざまです。我慢できない尿意が急に起こる、急な尿意によって失禁してしまう、起きている間にだいたい8回以上の排尿がある、夜間に尿意によってだいたい2回以上起きてしまうといった場合は過活動膀胱の可能性があります。

治療は、主に膀胱にたくさんの尿をためられるようにする薬の投与、生活習慣の改善、排尿機能に関わる訓練(骨盤底筋を鍛える体操など)が行われることが一般的です。

神経因性膀胱

神経因性膀胱とは、神経に関係するさまざまな病気によって膀胱や尿道のはたらきに障害が起こり、排尿障害につながる病気の総称です。原因は、脳卒中やアルツハイマー病、椎間板(ついかんばん)ヘルニア、糖尿病、がんの手術の後遺症などがあります。

治療は症状の改善だけでなく、尿路感染予防、腎機能を守ることなども目的となります。薬の投与や体操などの訓練、手術などさまざまな治療法があり、患者さんに合わせた治療法が検討されます。

骨盤臓器脱

骨盤臓器脱とは、骨盤内にある臓器(子宮、膀胱、直腸など)が徐々に下がってきて、腟から外に出てしまう病気です。繰り返しの出産や加齢などでこれらの臓器を支える筋肉や靱帯(じんたい)が緩むことなどが原因で発症するといわれています。

下腹部や腟の中にものが下がってくるような違和感などの症状から始まり、進行すると常に股の間にものが挟まっている感覚があったり、尿や便がすっきり出なかったりするなどの排尿障害が現れることがあります。

骨盤臓器脱は薬では効果がないため、治療は原則として手術を行うとされています。

排尿障害になったときに気を付けたいポイント

生活習慣の改善

排尿障害は、症状を和らげるために生活習慣の改善を行うことが必要になることがあります。また、排尿障害は生活習慣病が関係して発症することもあるため、生活習慣病の改善・予防のためにも生活習慣を見直すことは大切です。

主にコーヒーやアルコールの飲みすぎを控える、刺激物を食べすぎない、適度な運動などを心がけましょう。

受診の検討を

排尿障害の原因はさまざまで、高熱や倦怠感など排尿障害以外にもほかの症状がみられる場合は放置すると重症化する可能性もあります。そのため、気になる症状がある場合は適切な診断、治療を受けるためにも我慢せずに泌尿器科や産婦人科などの受診を検討するとよいでしょう。