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2022.06.28
#泌尿器科 #対象疾患

梅毒

梅毒とは

梅毒とは、梅毒トレポネーマという細菌によって起こる性感染症です。赤い発疹(ほっしん)などの症状が現れることがあり、これがヤマモモ(楊梅)という果実に似ていることが病名の由来となっています。

梅毒トレポネーマに感染した部位と、粘膜や皮膚が直接触れることで感染するため、性器と性器、性器と口、性器と肛門(こうもん)といった接触が感染の原因となります。

梅毒の症状

感染後、以下のように3段階で症状が現れることが一般的です。

第I期の症状(感染から約3週間後)

第I期は、治療をしなくても自然に症状が改善しますが、その後進行してしまうため注意が必要です。

  • 感染部位(陰部、口の中、唇、肛門など)のしこり
  • 鼠径部(そけいぶ)のリンパの腫れ

など

第II期の症状(感染から数か月後)

第II期も、治療をしなくても数週間以内に消えることがありますが、再発を繰り返したり、さらなる症状の進行につながったります。

  • 手のひらや足の裏、体全体のうっすらとした赤い発疹(バラ疹)

など

晩期の症状(感染から数年後)

晩期には以下のような症状が見られることがあります。ただし、現在では早期に治療して回復する例が多く、晩期顕性梅毒に進行することはほとんどないといわれています。

  • 皮膚、筋肉、骨などにできるゴムのような腫瘍(しゅよう)(ゴム腫)
  • 心臓、血管、脳などの臓器にできる病変によるさまざまな症状

受診の目安

梅毒では、感染の可能性がある場合は第I期の時点での検査が推奨されています。陰部、口の中や唇、肛門などのしこりや鼠径部のリンパの腫れなどがみられる場合は早めにかかりつけ医や泌尿器科などの受診を検討するとよいでしょう。地域によっては保健所で検査が受けられる場合もあります。

症状は放置してもしばらくすると消えることがありますが、症状がなくなっても体内には病原体が存在しているため、ほかの人にうつしたり、再発したりすることがあります。また、適切な時期に治療を受けないと、数年後に心臓や血管、脳などの臓器が障害され重い症状が出る可能性もあり、時には命に関わることもあるほか、妊娠している方が感染すると、胎盤を介して胎児に感染し、死産や早産、奇形、新生児死亡などにつながることがあるため注意が必要です。

梅毒の治療のポイント

抗菌薬

梅毒の治療では、細菌を殺したり、増殖を抑えたりする抗菌薬の内服が基本となります。病状によっては入院し、点滴で抗菌薬を投与することもあります。

治療期間は病期によって異なるため、医師の指示どおりに薬を飲みましょう。薬は途中でやめず、処方された分は必ず飲み切ることが重要です。さらに、治療後は医師の指示に従って検査を受け、治ったことを確認する必要があります。

また、パートナーなど感染の可能性がある方が周囲にいる場合は、再感染や感染拡大を防ぐために、その方も一緒に検査や治療を行うことが重要とされています。

梅毒になったときに気を付けたいポイント

性的接触を控える

梅毒は性的接触で感染することがある病気です。そのため、感染が拡大しないよう、医師が許可するまでは性的接触を控えましょう。

パートナーに伝える

先述のとおり、梅毒に感染していることが分かったら性的接触を控える必要があるため、パートナーには早めに伝えるとよいでしょう。また、パートナーが感染している可能性もあるため、パートナーも検査を受ける必要があります。さらに、お互いに再感染してしまう可能性があるため、パートナーも感染している場合は同時に治療することが重要です。

再感染の予防をする

一度梅毒に感染した方は、梅毒に対する抗体(免疫)をある程度持っているとされています。しかし、この免疫は再感染を予防できるほどのものではないため、日ごろからコンドームの使用といった感染予防を心がけるとよいでしょう。

放置や治療の中断をしない

先述のとおり、第I期、第II期の症状は治療をしなくてもしばらくすると消えることがあります。しかし、症状はなくても体内には病原体がいるため、感染拡大や再発のリスクがあります。さらに、第II期に適切な治療を受けないと、将来的に命にかかわることもあるため、放置や治療の中断をしないように注意しましょう。