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2022.05.13
#内科 #対象疾患

狭心症

狭心症とは

狭心症とは、心臓の筋肉(心筋)に供給される酸素が不足し、主に胸の痛みや圧迫感などの症状が現れる病気のことです。

心筋に酸素や栄養分を届ける血管“冠動脈”にコレステロールがたまることで血管が狭くなり、血液の流が悪くなって発症するとされています。この原因のほとんどは、血管が詰まったり硬くなったりしてしまう動脈硬化だと考えられています。動脈硬化は高血圧や脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病、肥満、メタボリックシンドローム、喫煙、ストレスなどが関係しているといわれています。狭心症を放置すると時に命に関わるケースもあるため注意が必要です。

種類

狭心症は1年以上にわたって慢性的に経過し、症状が数か月以上安定している“安定狭心症”と、安静にしているときでも症状が出たり、症状が出る頻度が増えたりする“不安定狭心症”に分けられます。中でも不安定狭心症は心筋梗塞しんきんこうそくに移行しやすいとされ、重症な状態です。それぞれで症状や治療など特徴が異なります。

狭心症の症状

主な症状

狭心症では以下のような症状や特徴がみられることがあります。

  • 胸が押し付けられるような圧迫感がある
  • 胸が締め付けられるような痛みを感じる
  • 痛みは通常1~3分程度続く
  • 長い場合は15分程度痛みが続くこともある

など

痛みが20分以上続く場合は心筋梗塞(冠動脈が血栓で完全に詰まり、心筋が壊死(えし)する状態)の可能性があり、突然死につながることもあります。一方で、糖尿病の方は病気によって神経が障害されて感覚が鈍くなっていることがあり、自覚症状がまったくないこともあるため注意が必要です。

種類別の症状の特徴

症状の出方は狭心症の種類によって異なるといわれています。

  • 労作性狭心症:動いたときに症状が出る
  • 冠攣縮性狭心症:夜間~早朝の安静時に症状が出ることが多い
  • 不安定狭心症:特別な理由がなくても突然症状が現れ、安静時も含め発作を頻繁に繰り返す

受診の目安

狭心症は時に命に関わることもあるほか、不安定狭心症の場合は短期間で病状が悪化することがあります。また、安定性狭心症でも、進行すると少しの動きや安静時にも発作が起こったり、発作が続く時間が長くなったり、頻繁に起こったりするようになります。このような場合は不安定狭心症や心筋梗塞に移行している可能性があるため、注意が必要です。

目安として、胸の圧迫感や痛みを感じる場合は早めに内科などの受診、もしくはかかりつけ医に相談することを検討するとよいでしょう。

狭心症の治療のポイント

狭心症の治療では、まず薬を処方し、その後に必要であればカテーテル治療や外科手術を行うことが一般的です。特に不安定狭心症の場合は命に関わることもあるため、薬で効果がない場合は緊急でカテーテル治療や外科手術を行うことがあります。

薬の処方

症状改善や悪化予防などを目的に薬を処方することがあります。薬の種類はさまざまで、症状を安定させる薬、血栓予防の薬、血管を広げる薬などがあります。また、病院の外で発作が起きた場合は、あらかじめ処方された舌下錠(舌に含んで使う即効性のある薬)を使うことが一般的です。

カテーテル治療

検査で冠動脈に狭い箇所が見つかった場合は、そこを広げるカテーテル治療が行われることがあります。カテーテル治療では、直径2mm程度の管(カテーテル)を足の腕や手首などの動脈から注射のように挿入し、心臓まで通して治療を行います。カテーテルの先に付いたバルーンやステント(網状になった金属製のチューブ)によって、狭くなったり詰まったりしている血管を広げます。

外科手術(冠動脈バイパス術)

冠動脈バイパス術とは、狭くなったり詰まったりしている血管の先に、新しい血管(バイパス血管)をつなげて迂回経路をつくる手術のことです。手術の適応には条件があり、患者さんの状況に合わせて総合的に判断されます。

狭心症になったときに気を付けたいポイント

病状悪化を防ぐために、生活習慣などを改善することも大切だとされています。

適度に運動する

詰まった血管が元に戻ることはありませんが、運動をすることで、代わりの新しい血管ができるとされています。具体的には、15~60分程度の有酸素運動を週3~5回ほど行うとよいとされています。そのうえでさらに筋トレを組み合わせることでより効果が高まるといわれています。ただし運動にもリスクがあるため、具体的な方針は医師と相談しながら実施するようにしましょう。

心臓に負担をかける行動を控える

運動、食事、排便、入浴などは心臓の負担となるため、立て続けに行うのは避け、次の動作に移る前に30分ほど休憩を挟むとよいでしょう。たとえば、心臓の負担にならないように以下のような点に注意しましょう。

排便

いきみすぎると血圧が上がって心臓に負担をかけるといわれています。そのため、お腹のマッサージをしたり、食物繊維が多い野菜を取ったりして便通がよくなるように心がけましょう。また、医師に相談して便秘薬を出してもらうことも1つの方法です。

入浴

急な温度変化は、心臓に負担をかけることがあります。そのため、39~40℃程度のぬるめのお湯に浸かり、長湯しないようにしましょう。また、脱衣場や浴室を暖め、寒暖差がないようにするとよいでしょう。湯冷めにも注意が必要です。

性生活

体の負担にならない程度を心がけ、性交中や直後に胸の痛み、息切れ、動悸が続く場合は医師に相談しましょう。

食生活を見直す

狭心症の原因となる動脈硬化を進行させないように、医師や管理栄養士の指導の下、食生活の改善を行うことも大切です。適切なカロリー量を守り、減塩(一般的には1日に6g未満)、低脂肪(脂質は総カロリー中20~30%にとどめる)、低コレステロールなどに気を付けるようにしましょう。

植物性食品や魚介類はコレステロールを低下させ、食物繊維はコレステロールの吸収を抑えるとされているほか、ビタミン、ミネラルは体の生理機能に関わるため、このような食品、栄養素をバランスよく取るとよいでしょう。また、一日三食をきちんと食べ、アルコールを控えるといったことも大切です。

刺激物の摂取に注意する

たばこは動脈硬化の原因や心臓の負担となるため、やめたほうがよいといわれています。また、コーヒーや紅茶、緑茶に含まれるカフェインは、心臓を興奮させるため飲みすぎないように気を付けましょう。