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2023.01.30

肥満と食事の関係~痩せたいときに食べるといいものとは?~

痩せたい、ダイエットをしたい……と考えている人は多いものですが、痩せる方法が間違っている人もまた大勢います。
肥満を改善する方法には、①食事、②運動、③睡眠の3つの柱があります。4つ目は医療の力に頼る、メディカルダイエットになります。
そのなかで今回は、肥満外来で実際に指導している内容をベースに、肥満と食事との関係を解説していきます。

低糖質(炭水化物)ダイエットはやはり痩せる

低炭水化物ダイエットは痩せるとか、痩せるけれども体によくないとか、さまざまな説を聞いたことがある人も多いでしょう。実際このダイエット方法は、BMI 30以上の肥満の人にとっては効果を発揮する可能性があります。
低炭水化物食と低脂肪食の効果を示す研究結果をご紹介します。これは、肥満に該当する2型糖尿病患者115人を対象に、24週間にわたってダイエットの結果を比較した研究です。被験者は低炭水化物食群(糖質1日50g未満)と低脂肪食群に不作為に振り分けられ、ダイエットの経過と結果について分析を受けました。その結果、両群とも体重は減っていましたが、24週目の体重は低炭水化物食群のほうが、より減っている傾向が見られたのです。また、体重以外に血中コレステロール、中性脂肪、血糖値についても、低炭水化物食群のほうが有意に低下していました。

過度な低糖質ダイエットについては、健康へのメリットとなるのか否か、いまだに議論の的となっていますが、少なくとも肥満の人が半年程度にわたって行うダイエットとしては、効果的であると判断しても良いでしょう。

また、極端な低糖質ダイエットではなく、1日に摂取する糖質の量を120g以下に抑える軽度の糖質制限でも、減量が可能であるとの報告もたくさんあります。120gというのは、おにぎりにして大体4個、食パンだと4枚程度の量です。厳しい糖質制限をしなくても糖質摂取量が1日120g以下であれば、摂取した量だけでは脳や筋肉で使われるエネルギー源をまかないきれず、不足したエネルギーはケトン体から補給されます。ケトン体は脂肪細胞が分解されるときに作られる物質です。食事などで摂取した糖質量が足りなければ、体は脂肪を分解してケトン体を作り出し、エネルギーとして使用します。つまり糖質制限は脂肪の分解を促し、結果的に減量につながるのです。

ナッツの定期的な摂取が肥満リスクを下げる

定期的にナッツを食べると、体重増加が制限される可能性が指摘されています。肥満とナッツとの関係をわかりやすく示す、米国ロマリンダ大学の研究がありますので、ご紹介します。研究は欧州10ヶ国の25~70歳の成人373,000人を対象に、5年間にわたって行われました。追跡研究の結果、ナッツを食べる機会が多かった人は、ナッツをまったく食べなかった人に比べて体重増加が少なく、過体重及び肥満のリスクが低いことが明らかになりました。ちなみに本研究におけるナッツとは、アーモンド、ヘーゼルナッツ、ピスタチオ、クルミなどです。

ナッツ類はエネルギー密度が高く脂質も多いため、これまで、体重を減らしたい場合は「あまり食べないほうが良い」と考えられてきました。しかしこの研究結果を見ると、従来の考え方は事実とは異なるようです。ナッツ類には良質な脂肪だけでなく、タンパク質やビタミン、ミネラル、ファイトケミカルなどを豊富に含むため、ぜひ食べると良い食材であるといえます。

亜麻仁油の定期的な摂取

亜麻仁(あまにゆ)には、オメガ3系脂肪酸であるα-リノレン酸の他、リグナン類、食物繊維などが含まれています。ナッツと同様に抗炎症作用のある食材で、生活習慣病予防効果が示されています。亜麻仁油と肥満に関する、過去の45件の研究を集積し、メタ解析を行った研究についてご紹介します。この研究によれば、亜麻仁油を多く摂取した人は、摂取していない人に比べて約1kgの体重減少が見られました。またBMIの低下やウエストの減少が認められています。

さらに亜麻仁油には、ダイエット目的以外にも以下のような作用が報告されています。

  1. アレルギー症状が緩和される
  2. 血液をサラサラにする効果が認められ、心臓病や脳卒中の予防につながる
  3. 記憶力や学習能力を高める
  4. 皮膚からの水分蒸発を防ぐため保湿効果が認められ、肌荒れなどの改善につながる

亜麻仁油は、植物性のオメガ3系必須脂肪酸なので、ベジタリアンの方も魚油であるEPAやDHAの代わりとして、広く利用できるのもメリットです。

食事前の水分補給

食事前の水分補給が、ダイエットの効果をもたらす可能性もあります。水分補給のタイミングは食事の30分前で、量は500mlです。

水分補給に関するこんな研究があります。研究対象者をランダムに2群に分け、1群(41名)には食事前に水を飲むように指導します。一方、別の1群(43名)には、食事を食べ始める前に、満腹になったところを想像するように求めました。その結果、3食を食べる前にきちんと水を飲んだと報告した参加者の体重は、そうでない参加者に比べて、12週間後に平均4.3kgも多く体重が低下していたのです。

3度の食事の少し前、ペットボトル1本分の水を飲むだけで、ダイエットがずっと楽になるかもしれません。

 

ダイエットを成功させるためには、食事の改善は欠かせません。食事内容を見直したり、食前に水を飲んだりするなど、正しい方法でダイエットを進めていきましょう。自分の食事内容をより効果的に見直したい場合は、当院の栄養指導もぜひお気軽にご利用ください。

著:医師 天野方一(eHealthclinic院長)

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