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2022.05.13
#内科 #対象疾患

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃潰瘍・十二指腸潰瘍とは

胃潰瘍(いかいよう()または十二指腸潰瘍(じゅうにしちょうかいよう)とは、胃酸や消化酵素が胃または十二指腸の壁の粘膜が深く傷つく病気です。みぞおちの辺りに痛みを感じたり、場合によっては吐血や下血(肛門(こうもん)から血が出ること)が起きたりすることもあります。なお、胃潰瘍は中年以降、十二指腸潰瘍は若年層に発症することが多いとされています。

原因の6~7割はピロリ菌という細菌の感染です。特に胃潰瘍ではピロリ菌に感染していると、胃の粘膜に炎症が起こり、胃を守るはたらきをしている粘液が分泌されにくくなることで、潰瘍が発症しやすくなるといいます。ただし、衛生環境がよくなったことや、ピロリ菌の除菌治療が普及したことなどによって、ピロリ菌の感染率の低下傾向に伴い、ピロリ菌が原因となる胃潰瘍や十二指腸潰瘍も減少傾向にあるとされています。

このほかにも、長期にわたる非ステロイド系消炎鎮痛薬の服用やストレス、喫煙、飲酒などの生活習慣も胃潰瘍や十二指腸潰瘍の発症に影響があると考えられています。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の症状

主な症状

胃潰瘍や十二指腸潰瘍の代表的な症状は上腹部の痛みですが、そのほかにも以下のような症状がみられることがあります。一方で症状がなく、健康診断で偶然発見されることもあります。

  • 上腹部や背部の痛み
  • 食欲低下
  • 胸やけ
  • もたれ

など

また、十二指腸潰瘍の場合は腹部の痛みが空腹時や夜に現れ、食事をすると一時的に治まる特徴があります。胃潰瘍の場合は痛みが食後に現れ、食べすぎると痛みが長く続くといわれています。

受診の目安

上記のような症状は、単なる食べすぎや飲みすぎで一時的にみられることもあるため、心当たりがある場合はその日は食事を控えたり、消化のよいものを食べたりして様子を見るのも1つの選択肢です。

しかし、ピロリ菌が原因の場合、放置すると将来的に胃がんにつながることもあります。また、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を放置すると、胃や十二指腸に穴が開くこと(穿孔(せんこう))によって腹膜炎や出血が起こったりすることがあります。出血が多い場合はショック状態になるなど、非常に危険な状態になるケースも考えられます。

そのため、空腹時の腹痛が数日間続く、黒っぽい便が出る(下血)など気になる症状がある場合は、我慢せず早めに内科やかかりつけ医の受診を検討するとよいでしょう。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の治療のポイント

治療の基本は薬の処方です。ピロリ菌に感染している場合は除菌治療、潰瘍から出血している場合は止血を行う必要があります。

薬の処方

基本的には胃酸の分泌を抑える飲み薬を使用します。そのほか、粘膜の守りを高める薬や、胃の運動を活性化して胃酸や食事を長く胃にためないようにする薬などを使用することもあります。

また、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因となるような消炎鎮痛薬を使用している方は、上記の胃薬を前もって飲んでおくことで、潰瘍の予防ができると考えられています。

除菌治療

ピロリ菌の感染がある場合は、再発予防のためにも除菌治療を行うことが一般的です。胃酸の分泌を抑える薬と2種類の抗菌薬を1週間程度飲むことで、約8割の患者さんは除菌が完了するとされています。また除菌後も検査を行い、除菌ができていない場合は2回目の除菌を行います。

内視鏡的止血術

潰瘍から出血している場合は、緊急で内視鏡治療を行う必要があります。具体的には、太さ1cmほどの管を口や肛門から入れて出血を止める治療で、これを内視鏡的止血術といいます。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍になったときに気を付けたいポイント

胃潰瘍や十二指腸潰瘍になったときは、胃に負担をかけないような生活を心がけることなどが大切です。

食事・生活習慣に注意する

胃酸を大量に分泌させる原因となるような、食べすぎや飲みすぎ、たばこの吸いすぎに気をつけるようにしましょう。また、食塩を取りすぎると、胃の表面を守る粘液が減ってしまうため注意しましょう。さらに、十分な休養を取り、規則正しい生活を送ることも大切です。

処方された薬はしっかりと飲む

胃潰瘍や十二指腸潰瘍が治るまでは、通常6~8週間かかるといわれています。そのため、症状が改善しても、医師に指示にしたがって薬の服用を続けるようにしましょう。

定期的に検査を受ける

胃の粘膜が正常な状態に戻るまでには時間がかかるため、除菌治療が終わっても胃がんなどの病気のリスクがあるとされています。そのため、ピロリ菌の感染があった場合は、今後の胃がんの早期発見のために、定期的な内視鏡検査を受けるとよいでしょう。一般的に2~3年間隔で検査を受けるとよいと考えられています。