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2022.05.13
#内科 #対象疾患

胃炎

胃炎とは

胃炎とは、胃の粘膜に炎症が起こる病気のことです。主に短期間で発症する“急性胃炎”と長期にわたって慢性的に胃炎が続く“慢性胃炎”に分けられます。

急性胃炎の原因は、香辛料やアルコールなどの刺激が強い飲食物、食物アレルギー、食中毒、ストレスによる胃酸の過剰分泌、薬、ピロリ菌などの細菌やウイルスの感染、寄生虫などさまざまです。ストレスは受け続けると胃のはたらきを調整する自律神経を乱し胃酸を過剰に分泌させてしまうため、胃を傷つけることがあります。

一方慢性胃炎の原因のほとんどはピロリ菌の感染だと考えられています。感染経路ははっきり分かっていませんが、感染者の唾液を介して感染するといわれ、これを予防するのは難しいといわれています。また、ピロリ菌に感染するのは4~5歳くらいの幼小児期で、一度感染すると胃に定着して感染が生涯続くといわれています。

胃炎の症状

主な症状

胃炎になると、以下のような症状がみられることがあります。ただし、慢性胃炎の半数程度は自覚症状が現れないとされ、時に内視鏡検査を行った際に見つかることもあります。

  • みぞおちの辺りの痛み
  • 胃の膨満感
  • 胃もたれ
  • むかつき
  • 吐き気
  • 嘔吐

など

受診の目安

胃炎でみられるような胃の不調は、単なる食べすぎや飲みすぎが原因で胃炎の症状を引き起こすこともあります。心当たりがある場合はその日は食べるのを控えたり、消化のよいものを食べたりして様子を見てもよいでしょう。

ただし、胃炎の原因となるピロリ菌は放置すると、時に胃潰瘍(いかいよう)や胃がんなどを引き起こす可能性もあります。また、胃炎を長引かせると、胃の粘膜が薄くなって痩せた状態になることがあります。この場合、胃がんのリスクが高くなるといわれているため、気になる症状がある場合は自己判断せずに受診を検討するようにしましょう。目安として、症状を何度も繰り返したり、強い症状が出ていたり、長引いたりする場合は、内科やかかりつけ医などの受診を検討するとよいでしょう。

胃炎の治療のポイント

急性胃炎の治療では、まず胃炎の原因を取り除くことが大切です。ただし、薬が原因となっている場合は自己判断でやめずに医師に相談するとよいでしょう。一方で、慢性胃炎の場合は根本的な治療法がなく、症状がない場合は治療をせずに経過観察することが一般的です。

また、急性胃炎、慢性胃炎ともに、必要に応じてピロリ菌の除菌治療や薬物療法を行うほか、生活習慣の改善も大切だといわれています。

薬の処方

症状を改善するために、胃酸による攻撃を抑える薬や、胃の粘膜を保護する薬、消化管の運動機能を改善する薬などを使うことがあります。また、吐き気や嘔吐がひどい場合は点滴をするなど、症状に合わせた対症療法を行うこともあります。

除菌治療

ピロリ菌の感染が原因の場合は、一般的に除菌治療が行われます。具体的には胃酸の分泌を抑える薬と、2種類の抗菌薬を1週間程度飲むことで、約8割の患者さんは除菌に成功するとされています。

しかし、一度の治療で除菌できない場合もあるため、その後の判定検査が重要です。検査で除菌ができていないと判明した場合は、再度除菌治療を行います。

胃炎になったときに気を付けたいポイント

胃炎になったときは、胃に負担をかけない生活を心がけることが大切です。

生活習慣を改善する

胃酸の分泌が過剰になると症状が悪化して治りにくくなるため、唐辛子などの香辛料、脂質が多い食べ物、アルコールといった、胃酸の分泌を促す飲食物は控えめにするとよいでしょう。お茶、コーヒーなどはあまり濃くないものがよいとされています。また、ストレスや過労、睡眠不足を避け、規則正しい生活をすることも重要といわれています。

急性胃炎のときの食事の注意点

食べすぎや飲みすぎなどで胃炎が起こった場合は、胃に負担を与えないためにも1~2食食事を控えたほうがよい場合があります。また、食事を再開しても1週間程度は消化の悪いものを避けるとよいでしょう。

最初はおかゆやうどん、野菜スープをゆっくりよくかんで食べ、2~3日したら豆腐や白身魚などを取り入れたりして、徐々に胃の調子を整えていきましょう。さらに、しばらくはアルコールやコーヒー、カレーなどの胃に刺激を与えるものは避けるとよいといわれています。

ストレスを解消する

ストレスから胃炎につながることもあるため、ストレスをためないように心がけましょう。ゆっくりお風呂に浸かったり、趣味の時間を取ったり、自分なりのリラックス方法を持っておくことも1つの対策です。

定期的に検査を受ける

ピロリ菌に感染していた場合は、時に胃がんなどの病気を発症する可能性も考えられます。そのため、早期発見のためにも定期的な内視鏡検査を受けるとよいとされています。検査の適切な間隔はだいたい2~3年間隔がよいと考えられています。

また、気になる症状がある場合は我慢せずに受診を検討しましょう。