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2026.05.26
#内科

70代の血圧の正常値や平均値とは?高血圧の治療と日常でできる対策を解説

健康診断の結果を見て「70代の血圧はどのくらいが普通なのだろう」と不安に感じる方もいるのではないでしょうか。70代の血圧管理には、若い頃とは違う考え方があります。高血圧は「サイレントキラー」と呼ばれ、自覚症状がほとんどないまま脳卒中や認知症のリスクを高める可能性があります。

この記事では、70代が目指すべき血圧の目標値や「上の血圧」が特に重要な理由、今日から始められる対策などを解説します。正しい知識をもとに、ご自身の健康管理に役立ててください。

イーヘルスクリニック新宿院では、70代の血圧や体調に関するご相談にも対応しています。年齢や体の状態に配慮しながら、無理のない血圧管理や生活習慣の見直しについて医師が丁寧にご案内します。

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記事監修:天野方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
経歴:埼玉医科大学卒業後、東京慈恵会医科大学付属病院足利赤十字病院などで勤務。2016年、帝京大学大学院公衆衛生学研究科へ入学。2018年、ハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)へ留学。予防医療特化のメディカルクリニックで勤務後、2022年「イーヘルスクリニック新宿院」開院。
専門分野:腎臓内科、抗加齢医学(アンチエイジング)、産業医学
資格:日本腎臓学会専門医・指導医抗加齢医学会専門医日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士・博士

70代の血圧の基準

70代の血圧についてのポイントを、以下の4つの観点から解説します。

  • 70代の血圧の正常値・平均値の目安
  • 「上の血圧」と「下の血圧」それぞれの注意点
  • 脈圧の目安
  • 仮面高血圧のリスク

70代の血圧の正常値・平均値の目安

70代の血圧管理は、正常値より一人ひとりの状態に合わせた目標値を目指す考え方が大切です。糖尿病や慢性腎臓病がある方は、合併症予防や進行予防のために、より厳格な目標値が設定される場合があります。過去に脳卒中や心筋梗塞を経験された方も、リスクが高くなるため目標値が異なります。

血圧を下げすぎるとふらつきやめまいが起こりやすく、転倒して骨折などのけがにつながる危険があります。ご自身の体に合った目標を、主治医と相談して決めることが重要です。厚生労働省の調査(令和5年国民健康・栄養調査報告)によると、70歳以上の血圧の平均値は以下のとおりです。

  • 男性:137.6/75.0mmHg
  • 女性:135.6/73.6mmHg

ご自身の血圧と見比べて、健康管理の参考にしてください。

「上の血圧」と「下の血圧」それぞれの注意点

血圧の数値には「上」と「下」があり、それぞれ心臓の動きと血管にかかる圧力を示しています。「上の血圧」は医学的に収縮期血圧といい、心臓が収縮して全身に血液を送り出す際の、血管にかかる強い圧力です。「下の血圧」は拡張期血圧といい、心臓が拡張して血液をため込むときの、弱い圧力を指します。

特に70代以上の方では「上の血圧(収縮期血圧)」の管理が重要になります。動脈硬化が進行した状態による「孤立性収縮期高血圧」が関連しています。孤立性収縮期高血圧は、硬くなった血管により、心臓が血液を送り出す圧力を吸収できず、上の血圧だけが高くなる状態です。

日本人データで血圧分類別に脳卒中・心筋梗塞死亡の生涯リスクが、比例して上昇することが研究で示されています。「下の血圧は高くないから大丈夫」と自己判断せず、上の血圧が高い場合は医師に相談しましょう。

脈圧の目安

脈圧(みゃくあつ)は、ご自身の血管の状態を知るための指標です。脈圧は、家庭の血圧計の数値から次の式で計算できます。

脈圧=上の血圧(収縮期血圧)-下の血圧(拡張期血圧)

脈圧は血管のしなやかさを表すバロメーターです。動脈硬化が進んで血管が硬くなるほど、上の血圧と下の血圧の差が広がり、脈圧の数値は大きくなる傾向があります。脈圧の目安は40〜60mmHg程度ですが、極端に脈圧が大きくなる場合には注意が必要です。

脈圧が大きいと、血管に負担がかかっている可能性があります。脈圧が大きい状態が続くと、アルツハイマー型認知症のリスクが高まる可能性が一部の研究で示されています。ただし、個人の状態によって異なるため、主治医へご相談ください。家庭で血圧を測る際には、脈圧にも注目してみてください。

仮面高血圧のリスク

病院では正常なのに、家で測ると高い状態を仮面高血圧と呼びます。健康診断では見逃されやすく、知らぬ間に血管に負担がかかる可能性があります。主なタイプは以下の3つです。

  • 早朝高血圧
  • 夜間高血圧
  • 昼間高血圧

早朝高血圧は、朝の活動開始時に血圧が急上昇するタイプです。脳卒中や心筋梗塞は午前中に起こりやすいため、特に注意が必要です。夜間高血圧は、眠っている間も血圧が高い状態のタイプです。昼間高血圧は、仕事や家庭のストレスで日中に血圧が上がりやすくなります。

仮面高血圧は、持続的な高血圧の方と同等以上の心血管イベントリスクがあるとの報告もあり、注意が必要です。仮面高血圧を見つけるには、家庭での血圧測定が重要です。毎日決まった時間に測る習慣をつけましょう。規則正しい生活や、夜遅い食事を避ける工夫も血圧の安定につながります。

70代で注意すべき高血圧の影響

高血圧の主な影響は以下のとおりです。

  • 脳卒中・心筋梗塞のリスク
  • 頭痛・めまい・動悸などの症状
  • 腎臓機能低下(透析の危険性)
  • 血圧と認知機能の関係

脳卒中・心筋梗塞のリスク

高血圧のリスクの一つは、脳卒中や心筋梗塞です。高血圧は動脈硬化が進行しやすく、血管が狭くなると、血の塊(血栓)が詰まりやすくなり合併症リスクが高まります。

脳卒中には、脳の血管が詰まる脳梗塞や、血管が破れる脳出血などがあります。手足の麻痺やろれつが回らないなどの症状が出て、後遺症や命の危険を伴います。心筋梗塞は、心臓に栄養を送る冠動脈が詰まり、心臓の筋肉が機能を失う病気です。突然の激しい胸の痛みが特徴で、早急な治療が必要です。

研究では、血圧レベルに応じて脳卒中・冠動脈疾患の生涯リスクが段階的に上昇することが示されています。血圧管理は心血管疾患のリスク低減のために重要な取り組みと考えられています。

以下の記事では、高血圧と脳梗塞の関係や原因、予防・改善方法について詳しく解説しています。
>>高血圧と脳梗塞の関係とは?原因や予防、改善法についても解説

頭痛・めまい・動悸などの症状

高血圧に特有の症状はほとんどありません。血圧が急に上がったり、極めて高い状態が続いたりすると、体がサインを出すことがあります。症状は他の病気でも起こるため、自己判断は禁物です。よくみられる症状は以下のとおりです。

  • 頭痛・頭重感:朝の後頭部の重みや脈打つような痛み
  • めまい・ふらつき:ふわふわするめまい
  • 動悸・息切れ:階段での動悸や息切れ
  • 肩こりや耳鳴り
  • 吐き気
  • 手足のしびれ

血圧が高い状態で、自覚症状を伴う場合は早期の医療機関受診を検討しましょう。激しい頭痛や片側の麻痺、ろれつが回らないなどが同時なら、脳卒中の可能性があります。早急の受診もしくは、救急車を呼び精密検査を受ける必要があります。

腎臓機能低下(透析の危険性)

腎臓は血液を濾過(ろか)して老廃物を尿で出す臓器です。腎機能は、水分や塩分の量を調整して血圧をコントロールする役割を担っています。腎臓は細い血管の集合体であるため、高血圧による動脈硬化が進行し腎機能が低下する可能性があります。

腎機能の低下は、濾過機能が落ちることで余分な水分や塩分を出せない恐れがあります。尿量の低下は、血液量を増やし血圧上昇につながります。末期まで進むと腎不全となり、人工透析の導入や腎移植を検討しなければなりません。腎機能低下による透析の導入は、日常生活に制限が生じます。

血圧と認知機能の関係

中年期〜老年期の高血圧が、将来の認知症リスクを高めることが研究で示されています。関連が深いとされる主なタイプは、血管性認知症とアルツハイマー型認知症です。

血管性認知症は、脳梗塞や脳出血で脳の神経細胞がダメージを受けて起こる認知症です。アルツハイマー型認知症は、高血圧で脳の血流が悪くなり、神経細胞の働きが低下します。原因物質とされるアミロイドβが脳に溜まりやすくなる一因と考えられています。

太い血管のトラブルだけでなく、細い血管の小さなダメージの蓄積も脳の機能を低下させる可能性があります。血圧を適切に管理することは、心臓や腎臓、脳の健康を守り、認知症の予防にも重要です。

70代の血圧管理

70代の血圧管理で取り組みたい主な内容は、以下のとおりです。

  • 降圧薬による薬物治療
  • 減塩を意識した食事療法
  • 70代に適した運動習慣
  • ストレス対策

降圧薬による薬物治療

生活習慣を改善しても血圧が目標まで下がらない場合、薬物治療による血圧コントロールをします。一生飲み続けるとは限らず、安定すれば医師の判断で減量できることもあります。降圧薬には、血圧を下げる仕組みの違ういくつかの種類があります。患者さんの体の状態や持病を総合的に見て、適した薬が処方されます。

カルシウム拮抗薬は血管をゆるめて広げ、血流の改善で血圧を下げる役割があります。ARB・ACE阻害薬は、血圧を上げるホルモンの働きをブロックして血圧を下げる効果が期待できます。利尿薬は余分な塩分と水分を尿で出し、血液量を減らすことで血圧の改善を目指します。

めまいやふらつきなどが出ても、自己判断で服用を中止しないでください。降圧薬を急にやめると血圧が急上昇し、危ない状態になる可能性があります。気になることがあれば、かかりつけの医師や薬剤師に相談しましょう。

減塩を意識した食事療法

食事療法は血圧管理において広く推奨されている対策の一つです。特に重要なのが減塩です。塩分を摂りすぎると体が水分を溜め込み、血液量が増えて血圧が上がります。厚生労働省は1日の塩分を6g未満にすることを推奨しています。

醤油なら大さじ3杯強、梅干しなら2〜3個程度の量です。減塩の工夫には、酢やレモン、香辛料などで味にアクセントをつける方法があります。調理の最後に味付けをしたり、だしを効かせたりするのも有効です。麺の汁や煮汁は塩分が多いので、飲み干さずに残す習慣をつけましょう。

腎機能が正常な方は、カリウムがナトリウム(塩分)の排出を助けるとされており、野菜や果物、海藻などに多く含まれています。ほうれん草や小松菜、バナナなどが代表的な食材です。ただし、腎臓に持病がある方はカリウムの摂りすぎに注意が必要なため、主治医へご確認ください。

以下の記事でも、高血圧の食事で気をつけることや血圧を下げる効果が期待される飲み物・食べ物について詳しく解説しています。
>>高血圧の食事で気をつけること!血圧を下げる飲み物・食べ物も紹介

70代に適した運動習慣

適度な運動習慣は、血圧管理に役立つとされています。運動には、次のような効果が期待されています。

  • 血管のしなやかさの維持や血行改善
  • 体重管理による心臓への負担軽減
  • 身体的・精神的なリラクゼーション効果

体に負担をかけずに楽しめる、有酸素運動がおすすめです。息が少し弾むけれど、おしゃべりはできるくらいの強さで、無理なく続けられるものを選びましょう。運動頻度や時間は、できれば毎日30分以上の運動もしくは、1回10分以上持続し合計1日40分以上の運動が目安です。

大切なのは、頑張りすぎずに楽しいと感じるペースで続けることです。体調が優れない日は無理せず休みましょう。心臓や腎臓に持病がある方、膝や腰に痛みがある方は、運動を始める前に必ずかかりつけの医師に相談してください。

ストレス対策

心の問題も血圧に影響します。強いストレスを感じると交感神経が活発になり、血管が縮んで血圧が上がります。日常生活でリラックスできる時間を作ったり、ストレスを発散したりしましょう。

読書や音楽鑑賞、ガーデニングなど、夢中になれる趣味を見つけるとよいです。鼻から吸って口からゆっくり吐く腹式呼吸も、手軽なリラックス法です。家族や友人とのおしゃべりは気分転換になり、心の負担を軽くしてくれます。

ストレスを完全になくすのは難しいですが、自分なりの解消法を持つのが大切です。ストレスが多い方は、日中に血圧が上がる仮面高血圧の可能性もあります。血圧の変動を知るため、家庭での血圧測定を習慣にしましょう。

まとめ

70代の血圧管理で大切なのは、正常値を目指すのではなく、ご自身の体に合わせた目標値を主治医と相談して決めることです。高血圧は自覚症状がないまま進行しやすいため、動脈硬化による脳卒中や心筋梗塞、認知症などの病気につながる可能性があります。

まずはご家庭で血圧を測る習慣をつけ、ご自身の状態を知ることから始めましょう。減塩を意識した食事や無理のない運動の継続は、高血圧の改善に役立ちます。ストレス管理も血圧に関連するため、リラックスできる時間を作りましょう。今日から生活習慣を見直し行動することで、血管の健康を守りましょう。

イーヘルスクリニック新宿院では、血圧管理を無理なく続けられるようサポートしています。生活習慣や体調を踏まえ、一人ひとりに合った管理方法をご提案します。血圧が気になる方はご相談ください。

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