希望するご予約を
お選びください

×閉じる
診療科目
2026.05.25
#腎臓内科

高血圧を改善する運動療法とは?おすすめの方法や効果、注意点を解説

「血圧のために運動したいけど、何から始めればいいかわからない」と感じる方はいませんか。研究では、有酸素運動により、高血圧の方で収縮機血圧が約6mmHg下がる報告がされています。

運動の効果は、単に血圧を下げるだけではありません。心と体を健康に保ち、睡眠の質を高めストレスを和らげるなど、生活の質を向上させる効果が期待されます。本記事では、高血圧を改善する運動の種類や安全に続けるための注意点を解説します。ご自身に合った方法を見つけ、健康的な毎日への第一歩を踏み出しましょう。

イーヘルスクリニック新宿院では、血圧や体調、合併症の有無を確認したうえで、安全に取り組める運動療法をご提案します。生活習慣の改善と必要に応じた治療を組み合わせ、無理なく続けられる血圧管理をサポートします。気になることがあれば、お気軽にご相談ください。

▼【来院】のご予約はこちら▼

▼【オンライン診療】のご予約はこちら▼

記事監修:天野方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
経歴:埼玉医科大学卒業後、東京慈恵会医科大学付属病院足利赤十字病院などで勤務。2016年、帝京大学大学院公衆衛生学研究科へ入学。2018年、ハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)へ留学。予防医療特化のメディカルクリニックで勤務後、2022年「イーヘルスクリニック新宿院」開院。
専門分野:腎臓内科、抗加齢医学(アンチエイジング)、産業医学
資格:日本腎臓学会専門医・指導医抗加齢医学会専門医日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士・博士

おすすめの運動方法

ご自身の体力や生活スタイルに合わせ、楽しみながら継続できる方法を見つけることが大切です。高血圧の改善におすすめの運動方法や継続の工夫について、以下を解説します。

  • ウォーキングの基本(頻度・時間・強度)
  • 膝や腰にやさしい運動(自転車・水中歩行・室内運動)
  • 自宅でできる筋力トレーニング
  • 忙しい日でも続ける工夫

ウォーキングの基本(頻度・時間・強度)

代表的な有酸素運動の一つがウォーキングです。特別な道具も必要なく、手軽に始められ、体への負担も少ないため運動習慣のない方でも安心です。厚生労働省が推奨するポイントは、以下のとおりです。

  • 頻度:定期的に、できたら毎日継続
  • 時間:1回つき少なくとも10分以上持続し、1日合計40分以上実施
  • 強度:ややきついと感じる程度(最大酸素摂取量の40〜60%)が推奨

最大酸素摂取量は運動強度を示す指標で、体が1分間に取り込み利用できる酸素の量を示します。40〜60%は、一般的にやや速いウォーキングに相当します。無理のない範囲で少し汗ばむくらいのペースを心がけ、気持ちよく歩く習慣を毎日の生活に取り入れましょう。

膝や腰にやさしい運動(自転車・水中歩行・室内運動)

膝や腰に痛みがある方にとって、歩くことは負担になる場合もあります。関節にやさしい運動は、自転車や水中での運動、室内運動などがあります。自転車は地面を蹴る衝撃がないため、関節への負担が少ない運動です。室内用のエアロバイクの場合、天候や時間を気にせず継続できます。

水中での運動には、水中ウォーキングや水泳がおすすめです。水中は浮力が働くため、膝や腰にかかる体重の負担が軽くなり、陸上よりも体を動かしやすく感じられます。水圧による全身への適度な圧迫が、血液循環を促すことも期待できます。

天候が悪い日や外出が億劫なときは、室内運動が便利です。テレビを見ながらの足踏みや椅子に座ったまま膝を交互に伸ばすことも運動になります。無理せず体調や気分に合わせ、できる運動から始めましょう。

自宅でできる筋力トレーニング

有酸素運動に加え、自宅でできる筋力トレーニングを組み合わせることで、血圧の改善が期待できます。研究では血圧を下げる効果に加え、24時間の血圧変動の改善にもつながることが報告されています。自宅でできる筋力トレーニングの例は、以下のとおりです。

  • スクワット:肩幅に足を開き、椅子に座るイメージでお尻をゆっくり下ろす
  • かかと上げ:壁や椅子に手をつき、ゆっくりかかとの上げ下ろしをする
  • 壁立て伏せ:壁に向かって立ち、両手を壁について腕立て伏せを行う

各10~15回を1セットとして、無理のない範囲で2~3セット行いましょう。「少しきつい」と感じる程度の負荷が目安です。

忙しい日でも続ける工夫

運動療法は、特別な運動を行うことではなく、簡単な運動を続けることが大切です。日常生活の中に運動を取り入れる工夫をしましょう。朝の出勤前やお昼休み中、帰宅後など、こま切れの時間でも合計すると運動になります。日常生活のすき間時間に、以下の軽い運動をプラスして「ながら運動」を習慣化しましょう。

  • 通勤中にひと駅手前で降りて歩く
  • エスカレーターを階段に変える
  • 仕事の合間に座ったまま足首を回す、肩をゆっくり回す
  • 家事をしながらつま先立ちで歩く
  • テレビを見ながら足踏みする

できると思えることから1つでも始めてみてください。

運動療法の効果

運動療法の具体的な体の変化について、以下を解説します。

  • 血圧が下がる仕組み
  • 期待できる降圧効果の目安
  • 睡眠・ストレスへの影響

血圧が下がる仕組み

運動により血圧が下がる仕組みは、血管の働きや自律神経のバランス、体重の変化などが関係します。

運動で筋肉への血流が増えると、血管内皮が刺激され、一酸化窒素が産生されます。一酸化窒素は血管を拡張させる働きがあり、血管をしなやかに保つ作用がある物質です。血管がしなやかに拡張することで血流が改善し、血圧の上昇を抑えることにつながります。

高血圧の方は、体を活動的にする「交感神経」が働きやすい傾向にあります。運動を続けることで、交感神経の過剰な働きが抑えられ、自律神経のバランスが整いやすくなります。運動により、体重や内臓脂肪が減ることも血圧を下げる要因の一つです。継続した運動は、変化を通じて血圧の改善に役立ちます。

期待できる降圧効果の目安

運動の種類により、期待できる効果に特徴があります。ウォーキングなどの有酸素運動は、血圧を安定して下げる効果が期待できます。スクワットなどの筋力トレーニングも同様です。高齢者を対象にした研究では、中程度の筋力トレーニングで収縮期血圧7mmHg、拡張期血圧4mmHgの低下が報告されています。

有酸素運動と筋力トレーニングの組み合わせは、血圧を下げるだけでなく1日の血圧変動を安定させる効果が高まります。近年は等尺性運動(とうしゃくせいうんどう)も注目されています。等尺性運動は、筋肉の長さが変化しない持続的な筋収縮の運動です。研究でも、等尺性運動は血圧を下げる効果が期待できると注目されています。

具体的には、壁を背に空気椅子をする姿勢になったり、壁の前に立ち両手で壁を数秒間押し続けたりする運動です。運動が苦手な方や関節が痛くて諦めていた方にも新しい選択肢となります。

睡眠・ストレスへの影響

運動は心身に良い影響を与え、生活の質の向上にもつながります。適度な運動を行うと、脳内で「セロトニン」の分泌が促されることが知られています。セロトニンは精神状態を安定させる働きがあり、不安やストレスを和らげ、気分を前向きにする作用がある物質です。

日中に適度な運動をすると、心地よい疲労感が得られ寝つきが良くなり、熟眠感につながります。質の良い睡眠は心身の疲労回復だけでなく、日中の血圧を安定させるためにも大切です。

運動を継続することで体力が向上し、日常生活動作が楽になることも期待できます。運動は高血圧の改善だけでなく、心身の健康を支える生活習慣の一つです。

安全に行うための注意点

運動を安全に行うために知識を身につけることは大切です。安心して運動を続けるための注意点について、以下の3つを解説します。

  • 運動を控える血圧の目安
  • 中止すべき症状
  • 薬を服用中の場合の注意

運動を控える血圧の目安

運動を始める前に、ご自身の血圧を測り体の状態を知ることが大切です。血圧が高い状態で運動を始めると、心臓や血管に負担がかかり、脳卒中や心筋梗塞につながる可能性があります。厚生労働省は、運動療法を始める前に医師へ相談が必要な血圧の目安を以下のとおり推奨しています。

  • 診察室での血圧が180/110mmHg以上
  • 家庭での血圧が160/100mmHg以上

「Ⅲ度高血圧」の状態であり、薬物療法での血圧コントロールが優先されます。厚生労働省では、収縮期または拡張期血圧が180/110mmHgを超える場合、運動療法を控えるべきと推奨しています。

ご自身の血圧が当てはまる場合は、自己判断で運動を始めることは避けてください。かかりつけの医師に相談し、運動療法の許可を得て安全な範囲で始めましょう。

以下の記事では、血圧が高いときに現れる可能性のある症状や起こり得る合併症のリスクについて解説しています。
>>血圧が高いと出る症状とは?脳や目、腎臓、心臓などの合併症のリスクを解説

中止すべき症状

体の不調を感じたら、無理せず運動を中止することが大切です。中止すべき症状は、以下のとおりです。

  • 胸痛や胸が締め付けられる胸部圧迫感、胸部不快感
  • 普段と違う強い息切れ、呼吸の苦しさ
  • めまいやふらつき、立ちくらみ、急な冷や汗、気が遠くなる感覚
  • 経験したことのないような激しい頭痛、吐き気、嘔吐
  • 足や関節の痛みが強くなる、脈のリズムの乱れ

症状が現れたら運動を中止し、安全な場所で休みましょう。休憩しても症状が改善しない場合や何度も繰り返す場合は、病院を受診してください。

薬を服用中の場合の注意

薬の服用中は、以下の注意点を守りましょう。

  • 自己判断で薬を中止しない
  • 運動開始前は医師に相談する
  • こまめに水分補給を行う

血圧が安定している場合でも、ご自身の判断で薬を減らし中止することは避けましょう。血圧が安定しているのは、薬と運動の効果による可能性があります。減薬は、医師が状態を確認しながら慎重に判断します。

薬の種類によっては、運動時に注意が必要です。β遮断薬など心拍数を抑える薬を服用している場合、運動強度の目安となる心拍数が通常と異なる場合があります。運動を始める際は、行う運動の種類や強度について医師に相談し、アドバイスを受けましょう。

利尿薬を服用している場合は、脱水状態になりやすいため水分補給が大切です。運動の前後や運動中は、こまめに水分を摂ることを心がけましょう。医師と相談しながら、無理のない範囲で運動療法を続けることが大切です。

継続のポイント

運動を継続させるうえで大切なのは、生活の一部として取り入れていくことです。運動を楽しく、長く続けるための2つのポイントを解説します。

  • 記録と習慣化
  • 食事療法との組み合わせ

記録と習慣化

運動を続けるうえで「成果の見える化」と「毎日の生活への組み込み」が大切です。ご自身の成果を可視化するために、以下の内容を記録しましょう。

  • 運動した日
  • 運動した時間
  • 運動した内容
  • 起床時血圧
  • 体重
  • 体調の変化

記録をつけることで、血圧の数値や体調の変化に気づけます。最近では、スマートフォンアプリやスマートウォッチで歩数や血圧を手軽に記録できます。運動を習慣にするためには、以下の運動をプラスしましょう。

  • 毎朝歯を磨きながら、かかとの上げ下ろしを行う
  • 通勤で階段を選ぶ
  • 昼休みや仕事の合間に散歩をする
  • テレビを見ながらCMの間に軽いストレッチをする

手軽に始められる運動から、少しずつ体を慣らしていくことが継続するうえで大切です。

食事療法との組み合わせ

運動療法と食事療法は、異なる仕組みで血圧の改善に働きます。主な血管への作用と期待できる効果は、以下の表のとおりです。

運動療法の主な働き 食事療法(減塩)の主な働き
血管への作用 血管内皮を刺激し、血管を拡張させ、しなやかにする 血液量を適切に保ち、血管壁にかかる圧を低下させる
期待できる効果 ・ストレス解消
・肥満や脂質異常症の改善
・体重管理
・むくみの改善

食事で心がけたいことは、減塩を意識することです。漬物やラーメンの汁、加工食品には塩分が多く含まれているため、摂取量に注意しましょう。高血圧の予防や改善のためには、1日の塩分摂取量を6g未満に抑えることが推奨されています。

野菜や果物、海藻に多く含まれるカリウムには、体内の余分な塩分を尿として排泄する働きがあります。カリウムを摂り入れながら、主食や主菜、副菜をそろえたバランスの良い食事を意識しましょう。

以下の記事では、高血圧の食事で気をつけたいポイントや血圧を下げることが期待される飲み物・食べ物について解説しています。
>>高血圧の食事で気をつけること!血圧を下げる飲み物・食べ物も紹介

まとめ

高血圧を改善する運動療法は、有酸素運動や関節への負担が少ない運動、筋力トレーニングなどがあります。大切なのは特別な運動ではなく、ご自身のペースで楽しく続けられる運動を見つけることです。1日10分を3回に分けるなど、生活の中に少しずつ取り入れる工夫で継続する方法があります。

運動を安全に続けるために、運動前の血圧測定も大切です。血圧が高い状態で運動を始めると、心臓や血管に負担がかかり、脳卒中や心筋梗塞につながる可能性があります。体の不調を感じたら運動を中止しましょう。薬物療法や食事療法を組み合わせて運動療法を行っている方は、不安な点があれば医師に相談してください。

イーヘルスクリニック新宿院では、血圧や生活習慣を丁寧に確認し、一人ひとりに合った運動療法や生活改善をご提案します。無理なく続けられる血圧管理をサポートします。不安なことがあればお気軽にご相談ください。

▼【来院】のご予約はこちら▼

▼【オンライン診療】のご予約はこちら▼

関連記事

高血圧の治療法とは? 薬や食事療法、運動療法について解説
血圧と体重の関係とは? 肥満を改善することが高血圧治療につながる
高血圧と脳梗塞の関係とは?原因や予防、改善法についても解説
動脈硬化と高血圧の関係とは? 原因や症状、予防、改善策についても紹介
新宿で高血圧外来を受けるなら

参考文献

•• LINEお問合わせ •• ご来院予約