血圧と塩分の関係を解説!減塩のポイントと生活習慣の改善方法

高血圧と診断されても、お酒をやめたくない方は多いのではないでしょうか。完全に禁酒する必要はありませんが、飲酒は血圧を変動させ、血管に負担をかける要因になることがあります。飲酒直後は一時的に血圧が下がりますが、長期的には高血圧を悪化させる要因の一つです。少量なら安全と考えず、飲酒習慣の見直しが必要です。
この記事では、アルコールが血圧に与える医学的な影響や降圧薬との関係、血圧を上げにくい飲み方など解説します。正しい知識を知り、お酒と上手に付き合う参考にしてください。
イーヘルスクリニック新宿院では、高血圧や飲酒習慣に関するご相談にも対応しています。血圧の状態や生活習慣を確認しながら、無理なく続けられる血圧管理や飲酒との付き合い方について医師が丁寧にご案内します。
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記事監修:天野方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
経歴:埼玉医科大学卒業後、東京慈恵会医科大学付属病院や足利赤十字病院などで勤務。2016年、帝京大学大学院公衆衛生学研究科へ入学。2018年、ハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)へ留学。予防医療特化のメディカルクリニックで勤務後、2022年「イーヘルスクリニック新宿院」開院。
専門分野:腎臓内科、抗加齢医学(アンチエイジング)、産業医学
資格:日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士・博士
飲酒が体に与える影響は、主に次の3つの場面で考えられます。
飲酒直後は、一時的に血圧が下がることがあります。アルコール自体および分解産物であるアセトアルデヒドが血管拡張作用を持つと考えられているからです。
しかし、血圧が下がった状態は長続きしません。体は下がった血圧を正常に戻そうと、血圧を上げるホルモンを分泌します。同時に、体を活動的にさせる交感神経が活発になります。その結果、心臓の鼓動は速くなり、血管は収縮します。飲酒後の血圧の変化は、以下のとおりです。
飲酒は、血圧を一時的に下げた後、反動で上昇させます。急激な血圧の変動は、血管の壁に負担をかけやすいため、心臓や血管に好ましくない状態です。
飲酒が習慣化すると、飲んでいない時間帯の血圧にも影響が出ることがあります。日常的な飲酒は、交感神経が常に活発な状態になり、体が興奮・緊張状態になりやすいです。長期間の飲酒が血圧を上げる主な理由は、以下のとおりです。
飲酒を繰り返すと、血管が収縮しやすくなります。アルコールによる利尿作用でミネラル不足を引き起こしたり、夜間の血圧上昇が習慣化したりすることで、高血圧になる恐れがあります。飲酒の習慣がある方は定期的に休肝日を設け、身体を休ませることを優先しましょう。
降圧薬とアルコールを一緒に摂取すると、薬の効果が強まり血圧が下がりすぎたり、薬の効果が弱まったりする可能性があります。飲酒直後の血管を広げる作用と、降圧薬の作用が重なると血圧が急激に下がり、めまいやふらつき、立ちくらみなどが起こりやすいです。最悪の場合、失神による転倒で、けがをする恐れがあります。
長期間飲酒を続けると、肝臓が薬を分解する働きを早めることがあります。分解が早まることで、降圧薬が本来の効果を発揮できない可能性があります。降圧薬を服用中に飲酒したい場合は、主治医にタイミングや飲酒量を相談してください。体の状態に合わせたアドバイスを守ることで、安全な治療を続けられます。
高血圧でも禁酒か飲むかの二択ではなく、血圧への影響を理解し、下記のように飲酒習慣を見直すことが大切です。
「節度ある適度な飲酒」の目安を把握しましょう。厚生労働省は、1日あたりの純アルコール摂取量を次のように示しています。
お酒の種類によって以下の量に換算できます。
ただし、上記の目安量は健康な方を基準にした一般的な量です。高血圧の方や降圧薬を服用している方は、目安量より少ないことが望ましいです。ご自身の体質に合わせた目標量を設定するために、かかりつけの医師に相談することをおすすめします。
同じ量のお酒を飲む場合でも、飲み方を少し工夫するだけで、血圧の急激な上昇や体への負担を減らせる可能性があります。以下のポイントを意識して、血圧に配慮した飲み方を実践しましょう。
空腹での飲酒は避け、食事と一緒に時間をかけて楽しみましょう。合間に水やお茶を摂ることで、利尿作用による脱水を防げます。週末にまとめて飲む「まとめ飲み」は、結果的に飲酒量を増える可能性があるため避けてください。休肝日を設け、肝臓と交感神経を休め、夜間の血圧リズムを整えましょう。
おつまみは、野菜や海藻、良質なたんぱく質(低脂肪)などを積極的に取り入れてください。野菜や海藻、きのこ類などに豊富なカリウムは、体内の余分な塩分(ナトリウム)を尿と一緒に体の外へ排出するのを助けてくれます。たんぱく質は、肝臓がアルコールを分解する際に必要な酵素の材料となると考えられています。脂肪の少ないものを選びましょう。
注意が必要なおつまみは、塩分の多いものとカロリーの高いものです。塩分の摂りすぎは体内に水分を溜め、血液量が増えて血圧を上げやすくします。揚げ物や脂っこい料理は、肥満につながりやすいです。内臓脂肪の増加は血圧を上げる物質の分泌を促し、高血圧を悪化させる要因になることがあります。
おつまみを選ぶ際は、素材の味を活かした調理法を中心にすることで、無理なく減塩やカロリーカットができます。
食事内容を見直すことは血圧管理において大切です。以下の記事では、高血圧の食事で気をつけたいことや血圧を下げる飲み物・食べ物についてわかりやすく解説しています。
>>高血圧の食事で気をつけること!血圧を下げる飲み物・食べ物も紹介
飲酒は血圧を上げるだけでなく、血管や内臓に負担をかける可能性があります。飲酒が招く高血圧以外の合併症リスクは、以下のとおりです。
高血圧の状態が続くと、血管は弾力性を失い、動脈硬化が進みやすくなります。飲酒は高血圧を悪化させる要因となり、動脈硬化を進行させる可能性があります。お酒を飲むと血圧が上昇するため、動脈硬化で傷ついた血管に、さらに負担をかけることになります。
厚生労働省によると、多量飲酒により脳卒中や心筋梗塞といった循環器疾患のリスクが高まる可能性が示唆されています。脳卒中とは脳の血管が詰まる脳梗塞や血管が破れる脳出血を指し、高血圧と飲酒は、脳卒中の危険因子と考えられています。心筋梗塞は心臓を養う血管(冠動脈)が詰まり、心臓の筋肉が壊死する病気です。
動脈硬化が、主な原因となって引き起こされることが多いです。飲酒は血圧を上げるだけでなく、動脈硬化を進行させ合併症を発症するリスクが高まるため注意が必要です。
以下の記事では、高血圧と脳梗塞の関係や主な原因、日常生活でできる予防や改善のポイントについて詳しく解説しています。
>>高血圧と脳梗塞の関係とは?原因や予防、改善法についても解説
肝臓はアルコールを分解する役割を担っています。処理能力を超える量のアルコールを摂取し続けると、肝臓は疲弊しさまざまな障害を引き起こす可能性があります。アルコールによる肝臓の病気は、段階的に進行していくのが特徴です。主な経過は以下のとおりです。
飲酒は血液中の中性脂肪を増やし「脂質異常症」の原因に影響します。脂質異常症は、血液中の脂質のバランスが崩れた状態で、高血圧と並んで動脈硬化を進行させる要因と考えられています。飲酒は高血圧と脂質異常症の両面から動脈硬化を悪化させる可能性があり、同時に肝臓にも負担をかけるため、注意が必要です。
高血圧の治療で降圧薬を服用している方は、飲酒に対して注意が必要です。アルコールは、薬の効果に影響を及ぼすことがあります。飲酒習慣そのものが血圧を上げる方向に作用することがあるため、降圧薬の働きを妨げる可能性があります。一方で、薬の効果を増強するリスクもあります。飲酒直後は、血管拡張と降圧薬の効果が重なると、血圧低下の恐れがあります。
過度の血圧低下は、めまいやふらつきを引き起こします。高齢者の場合、転倒による骨折がきっかけで、寝たきりの生活になることも少なくありません。

飲酒直後は血圧が一時的に下がりますが、その後は反動で上昇し、血管に負担がかかることがあります。習慣的な飲酒は、高血圧の悪化や脳卒中、心筋梗塞などさまざまなリスクを高める可能性があるため注意が必要です。
血圧を考慮した飲酒は、節度ある適度な目安を参考にしましょう。飲酒量は健康な方より少なめを意識し、時間をかけて食事も楽しんでください。おつまみは塩分・カロリーに配慮し、降圧薬を服用している方は飲酒について必ず主治医に相談しましょう。正しい知識で飲酒習慣を見直し、お酒と上手に付き合いましょう。
イーヘルスクリニック新宿院では、血圧の数値だけでなく、飲酒や食事、運動など生活習慣を含めて総合的に診察を行っています。現在の生活スタイルに合わせた血圧管理の方法をご提案します。血圧が気になる方は早めにご相談ください。
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