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2026.05.26
#内科

高血圧でもサウナに入れる?リスクや安全な入り方、注意点を解説

高血圧と診断されると「サウナは控えたほうがよいのでは」と不安に感じる方は少なくありません。サウナでは、体温の上昇に伴って血管が拡張します。血圧や心拍数が変動するため、注意が必要です。急激な温度変化はヒートショックを引き起こし、心筋梗塞や脳卒中などのリスクにつながる可能性があります。

一方で体調や血圧の状態を踏まえ、適切な方法で利用すれば、サウナを楽しめます。本記事では、サウナが体や血圧に与える影響の仕組みと高血圧の方がサウナを利用する際の注意点について、医学的な視点から解説します。

イーヘルスクリニック新宿院では、血圧の状態や生活習慣を総合的に確認し、無理なく続けられる血圧管理をサポートしています。サウナや運動など日常生活で気になることがある場合は、医師へご相談ください。

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記事監修:天野方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
経歴:埼玉医科大学卒業後、東京慈恵会医科大学付属病院足利赤十字病院などで勤務。2016年、帝京大学大学院公衆衛生学研究科へ入学。2018年、ハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)へ留学。予防医療特化のメディカルクリニックで勤務後、2022年「イーヘルスクリニック新宿院」開院。
専門分野:腎臓内科、抗加齢医学(アンチエイジング)、産業医学
資格:日本腎臓学会専門医・指導医抗加齢医学会専門医日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士・博士

血圧が高い人のサウナ利用の安全性

高血圧でも体の仕組みを正しく理解し注意点を守れば、サウナを安全に楽しめる可能性があります。サウナに入ったときの体の状態について、以下を解説します。

  • サウナ中の血圧の変動
  • 心臓・血管機能の改善効果
  • 「ととのう」ことによる自律神経と血圧への影響

サウナ中の血圧の変動

サウナに入ると血圧は一定ではなく、時間の経過とともに変化します。サウナに入った直後は熱刺激により交感神経が活発になり、心拍数や心拍出量が増えるため血圧が一時的に上昇することがあります。研究でも、サウナ中に血圧や心拍数が変化することが示されました。

体が温まると体温を下げようとして皮膚の血管が拡張し、血液が流れやすくなることで血圧は徐々に低下します。サウナから出た後もしばらく血管の拡張が続くため、血圧が入浴前よりも低くなる場合があります。サウナ中の体は、循環の変化によって熱環境に適応しています。

心臓・血管機能の改善効果

定期的なサウナ浴は、心臓や血管の機能の改善に期待ができます。研究では、サウナに入る頻度が高い人ほど、高血圧の発症リスクが低いことが示されました。週1回の人と比べ、週2〜3回の人では発症リスクが約24%低く、週4〜7回の人では約46%と低い結果が報告されています。効果の理由として、以下の点が考えられます。

  • 血管機能の改善
  • リラックス効果による血圧安定
  • 余分な水分の排出

サウナの熱により血管が繰り返し拡張すると、血管の柔軟性が保たれやすくなり、血管内皮の働きが整う可能性があります。リラックス作用により、副交感神経が優位となり、血圧が安定しやすいと考えられています。発汗による体液量の減少が、血圧を下げる場合があります。無理のない範囲の継続が、改善効果に期待できます。

「ととのう」ことによる自律神経と血圧への影響

サウナでよく言われる「ととのう」感覚は、自律神経の働きと関係しています。自律神経には体を活動的にする交感神経と、体を休ませる副交感神経があり、2つがバランスを取りながら体の状態を保ちます。

サウナに入ると高温刺激により交感神経が優位となり、心拍数や血圧が上昇します。続いて水風呂に入ると冷刺激によって血管が急激に収縮し、血圧が一時的に上昇します。「ととのった」状態は、水風呂後に外気浴などで心身がリラックスして副交感神経が優位になることです。

研究では、サウナ後の休息時に副交感神経の働きが高まり、自律神経のバランスが整う可能性が報告されています。高血圧の方は、水風呂による急激な温度変化が血圧変動幅を広げる可能性があります。無理に水風呂に入らず、外気浴など体に負担の少ない方法で体を冷ますことが大切です。

高血圧でも安全にサウナを楽しむポイント

高血圧の方がサウナを安全に楽しむための具体的な方法について、以下の3つを解説します。

  • サウナ室の選び方
  • サウナの滞在時間・温度の目安
  • クールダウンの方法

サウナ室の選び方

高血圧の方は、体に急激な変化を与えにくい環境のサウナを選ぶことが大切です。一般的なドライサウナは80~100℃と高温です。サウナに慣れていない方や高血圧の方は、温度が比較的低いサウナを利用しましょう。

比較的体への負担が少ないとされるのは、遠赤外線サウナです。60℃前後と低めの温度で、体をゆっくり温める特徴があります。ミストサウナやスチームサウナは40~60℃程度と温度が低く、湿度が高いため肌や喉への刺激が少なく、穏やかに汗をかきやすい環境です。

座る場所にも注意が必要です。サウナ室では暖かい空気が上にたまるため、上段ほど温度が高くなります。心臓への負担を抑えるためにも、比較的温度の低い下段に座りましょう。急に立ち上がると立ちくらみが起こることがあるため、サウナ室では座った姿勢でゆっくり過ごすことが大切です。

サウナの滞在時間・温度の目安

高血圧の方がサウナを利用する場合は、無理せず短時間から始めることが大切です。研究では、93°C・湿度13%・25分のサウナ浴中に心拍数と血圧が有意に上昇しました。研究中の負荷は、中等度の運動と同程度であることが報告されています。

別の研究では、73°C・湿度10〜20%・30分のサウナ浴後の変化を報告しています。研究中のサウナでは、収縮期血圧が137mmHgから130mmHgへ、拡張期血圧が82mmHgから75mmHgへと有意に低下することが報告されました。

これらの研究で使われたサウナの条件(温度73〜93°C、滞在時間25〜30分)は、あくまで研究上の設定です。高血圧の方は、まず5〜10分程度の短時間から始め、体調を確認しながら徐々に慣らしていくことが重要です。長時間の利用は心臓や血管の負担になる可能性があります。事前に医師に確認しておくことも大切です。

クールダウンの方法

サウナ後の水風呂は急激に血管を収縮させ、血圧が上昇することがあります。高血圧の方は無理に水風呂に入らず、負担の少ない方法でクールダウンすることが大切です。クールダウンは以下の方法を目安に行いましょう。

  • ぬるめのシャワーを浴びる
  • 十分に休憩をとる
  • こまめに水分補給をする
  • ゆっくりと立ち上がる

ぬるめのシャワーは足元からゆっくりかけ、手先や腕、体へと徐々に温度変化に慣らします。椅子などに座り、10~15分ほど休憩をとりましょう。休憩時間はサウナと同じかやや長めを目安にし、心拍や呼吸が落ち着くまでリラックスします。

汗で失われた水分を補うため、水やスポーツドリンクをこまめに摂取することも大切です。休憩後は立ちくらみを防ぐため、急に立ち上がらずゆっくり行動しましょう。体調に合わせて無理をしないことが大切です。

タイプ別のサウナとの付き合い方

一人ひとりの体の状態により、サウナとの付き合い方は異なります。具体的なタイプ別の注意点について、以下の4つを解説します。

  • 高血圧予備軍
  • 血圧コントロール良好な場合
  • 合併症がある場合
  • 心臓・脳の病歴がある場合

高血圧予備軍

健康診断などで血圧が高めと指摘され、薬を内服していない「高血圧予備軍」の方は、血管への負担が始まっている可能性があります。サウナを始める前には、以下の点を意識しましょう。

  • サウナ習慣を始める前に医師へ相談する
  • 自宅で血圧測定を習慣にする
  • サウナ当日の体調を確認する
  • 低温・短時間から体を慣らす

サウナを安全に利用するためには、事前に医師へ相談し、普段からご自身の血圧を把握しておくことが大切です。起床時と就寝前など、1日2回を目安に血圧を測定する習慣をつけましょう。

サウナに行く当日は、必ず血圧を測定します。普段より血圧が高い日や体調に違和感のある場合は、無理をせず利用を控えてください。利用する場合でも、高温のサウナは負担になる可能性があります。温度が低めのサウナを選び、下段に座るなど工夫しながら短時間から体を慣らしていきましょう。

高血圧予備軍の段階でも、血圧が高い状態が続くと体にさまざまな影響が出る可能性があります。以下の記事では、血圧が高いと出る症状や臓器への影響についてわかりやすく解説しています。
>>血圧が高いと出る症状とは?脳や目、腎臓、心臓などの合併症のリスクを解説

血圧コントロール良好な場合

降圧薬を服用し血圧が安定している方は、医師の許可があればサウナを利用できる場合があります。薬の種類によってはサウナの作用と重なり、体に影響が出る可能性があります。以下の薬は注意が必要です。

  • 利尿薬:体の余分な水分を尿として排出する薬
  • β遮断薬やACE阻害薬など:血管を広げたり心臓の働きを抑えたりして血圧を下げる薬

利尿薬は、サウナでの発汗と作用が重なるため、脱水や血圧低下を起こしやすくなることがあります。β遮断薬やACE阻害薬などは、サウナ後の血管拡張作用と重なり、めまいや失神につながる可能性があります。

研究では、頻繁なサウナ入浴は収縮期血圧がやや高い人では心血管死亡リスクを軽減する可能性が示されています。一方で、140mmHg以上の高血圧では、効果は限定的となる可能性も指摘されています。サウナを始める前には主治医に相談し、服用している薬との相性を確認することが大切です。

合併症がある場合

高血圧に加えて、糖尿病や腎臓病、脂質異常症などの病気がある方は、サウナの利用に注意が必要です。糖尿病を合併している場合、以下のリスクが考えられます。

  • 血糖値の変動
  • 血圧調整機能の低下
  • やけどのリスク

サウナでの発汗による脱水は、血糖値の上昇や低下を引き起こし、血糖コントロールが不安定になる場合があります。糖尿病の合併症で自律神経障害があると、体温や血圧の調整ができず、サウナによる循環変化に対応しにくくなる恐れがあります。

末梢神経障害がある場合、足先の感覚が鈍くなり、高温の床やストーブに気づかず重度のやけどをするリスクもあります。糖尿病だけでなく複数の病気がある場合、サウナが予期せぬ体調不良につながることもあります。ご自身の判断でサウナに入ることは避け、かかりつけ医や専門医に相談することが大切です。

心臓・脳の病歴がある場合

過去に心筋梗塞や狭心症、脳卒中などを経験された方は、サウナの利用について慎重な判断が必要です。サウナによる急激な温度変化は、心拍数や血圧を変動させ、心臓や血管に負担をかける可能性があります。以下の方は、サウナの利用は医学的に控えるべきとされています。

  • 不安定狭心症
  • 最近、心筋梗塞を起こした方
  • 重度の大動脈弁狭窄症
  • 非代償性の心不全(症状がコントロールできていない心不全)

治療によって状態が安定している場合でも、自己判断で利用を再開するのは避けましょう。循環器内科などの専門医に相談したうえで判断することが大切です。

血圧と脳血管の病気の関係を理解しておくことは、再発予防や日常生活での注意点を考えるうえでも重要です。以下の記事では、高血圧と脳梗塞の関係や主な原因、日常生活でできる予防・改善のポイントについてわかりやすく解説しています。
>>高血圧と脳梗塞の関係とは?原因や予防、改善法についても解説

まとめ

定期的なサウナ浴は、心臓や血管機能に良い影響を与える可能性が報告されています。高血圧と診断された場合でも、体の状態に合わせて適切に利用すればサウナを楽しめる可能性があります。大切なのは、ご自身の体の状態を理解し、サウナの利用について事前に医師へ相談することです。

利用する際は、低温・短時間から体を慣らし、水風呂による急激な血圧変動は避け、外気浴などでゆっくりクールダウンしましょう。休憩を十分に取り、水分もこまめに補給することが大切です。普段より血圧が高い場合やサウナ中に息苦しさやめまいなどの症状が出た場合は、無理をせず利用を中止してください。

過去に心筋梗塞や狭心症、脳卒中を経験されている方は、サウナ利用が再発のリスクとなる可能性があります。必ず専門医に相談し、体調に合わせて楽しむことが大切です。ご自身の状態を知り注意点を守りながら、安全にサウナを楽しみましょう。

イーヘルスクリニック新宿院では、高血圧に関する診察や生活習慣のご相談を受け付けています。血圧の状態や体調を確認しながら、無理なく続けられる管理方法についてご案内いたします。

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