クレアチニン値が低いとどうなるの?健康リスクと改善方法、注意点を解説

糖尿病の治療薬の選択に悩んでいませんか?ジャディアンスは、2型糖尿病治療に用いられるSGLT2阻害薬で、血糖値低下に加え、臨床試験で心不全リスク軽減や腎機能保護効果が示唆されています。体重減少効果は副次的なものであり、個人差があります。
本記事では、ジャディアンスの効果と副作用、適切な服用方法から、妊娠中・授乳中の注意点まで、包括的に解説しています。記事を読めば、あなたの治療に対する不安や疑問も低減できます。ジャディアンスについて正しく理解し、医師と相談しながら最適な治療法を見つけましょう。
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記事監修:天野方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
経歴:埼玉医科大学卒業後、東京慈恵会医科大学付属病院や足利赤十字病院などで勤務。2016年、帝京大学大学院公衆衛生学研究科へ入学。2018年、ハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)へ留学。予防医療特化のメディカルクリニックで勤務後、2022年「イーヘルスクリニック新宿院」開院。
専門分野:腎臓内科、抗加齢医学(アンチエイジング)、産業医学
資格:日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士・博士
ジャディアンスは、2型糖尿病の治療に用いられるSGLT2阻害薬です。ジャディアンスの主な効果は以下のとおりです。
ジャディアンスの血糖降下作用は、腎臓での糖再吸収阻害にもとづいています。効果は以下のとおりです。
糖尿病患者では血糖値が高く、腎臓の再吸収能力を超えて尿中に糖が漏れ出ることがありますが、ジャディアンスはさらに促進します。
ジャディアンスの心不全リスク低下効果は、2020年のEMPEROR-Reduced試験で明確に示されました。効果のメカニズムと臨床的意義について詳しく説明します。
心血管イベントリスクの低下:EMPEROR-Reduced試験では、ジャディアンス投与群で心血管死または心不全による入院リスクが19.4%低下しました。作用メカニズムは以下のとおりです。
心不全リスク低下効果は、糖尿病の有無に関わらず認められました。ジャディアンスが糖尿病治療薬としてだけでなく、心不全治療薬としても有効である可能性を示しています。
心不全は生命予後に大きく影響する疾患であり、予防や進行抑制は重要です。ジャディアンスによる心不全リスク低下効果は、特に心血管疾患リスクの高い2型糖尿病患者にとって大きな意義があります。
ジャディアンスの腎機能保護効果は、糖尿病による腎機能低下の進行抑制において重要です。作用メカニズムは以下のとおりです。
上記のメカニズムにより重篤な腎臓病の発症や進行のリスクが減少することが報告されています。糖尿病による腎機能低下が続くと透析を導入しなければいけない可能性もあり、その進行抑制は患者のQOL維持と医療経済的観点から重要です。
ジャディアンスの体重減少効果は、尿中への糖排出による間接的な作用です。ジャディアンスの服用により、1日約60〜80gの糖が尿中に排出されます。約240〜320 kcalのエネルギー損失に相当します。体重減少のメカニズムは以下のとおりです。
肥満は2型糖尿病の主要なリスク因子であり、体重減少は血糖コントロールの改善や心血管リスクの低下につながります。
ジャディアンスの効果発現について、以下を解説します。
血糖効果作用の開始時期や最大効果、HbA1cの低下は以下のとおりです。
約4か月の服用で、最大効果を得ることができます。
体重が減少し始める時期や持続時間は以下のとおりです。
期待される減少量として、6か月〜1年で平均2〜3kg程度の減少が報告されています。
心血管系のリスクを低下させるには長期的な服用が効果的であり、数か月〜数年の服用で効果が現れます。EMPEROR-Reduced試験では、平均観察期間16か月で有意なリスク低下が確認されました。
腎機能を保護する効果についても心血管系と同様に、長期的な服用が効果的であり、数か月〜数年の服用で効果が現れます。eGFRの低下抑制効果は、服用開始後比較的早期から観察されます。
医師と相談しながら、最適な治療計画を立てることが重要です。ジャディアンスの効果は個人差が大きいため、定期的な評価と必要に応じた調整が求められます。
ジャディアンスの副作用と注意点は以下のとおりです。
ジャディアンスの作用機序により、尿中に糖を排出することで血糖値を低下させますが、同時に体内の水分も失われやすくなります。脱水症状のリスクが高まります。脱水症状の例は以下のとおりです。
注意が必要な方は、高齢者や腎機能が低下している患者さんです。夏季や高温環境下でも気をつける必要があります。脱水予防のために以下の対策を取ることをおすすめします。
軽度の脱水症状は経口補水液やスポーツドリンクで改善できますが、重度の場合は点滴治療が必要になることがあります。
ジャディアンスの服用により尿糖が増加するため、性器周辺での細菌や真菌の繁殖リスクが高まり、感染症の可能性が増加します。性器感染症の症状は以下のとおりです。
性器感染症の具体例は以下のとおりです。
性感染症に罹患しないためにも以下の予防策を取りましょう。
治療には抗真菌薬や抗生物質が使用されますが、再発を繰り返す場合はジャディアンスの服用中止を検討する必要もあります。
ケトアシドーシスは、血中のケトン体が過剰に蓄積することで起こる危険な状態です。意識障害や呼吸困難などの重篤な症状を引き起こす可能性があります。
ケトアシドーシスの症状は以下のとおりです。
ケトアシドーシスのリスク因子は以下のとおりです。
ケトアシドーシスは生命を脅かす可能性があるため、症状が現れた場合は直ちに医療機関を受診してください。
ジャディアンス単独では低血糖のリスクは低いですが、スルホニルウレア薬(SU薬)やインスリン製剤などの他の血糖降下薬と併用すると、低血糖のリスクが高まります。低血糖の症状は以下のとおりです。
低血糖の可能性が考えられる場合は以下の対処法を取りましょう。
腎機能が低下している患者さんは、ジャディアンスの効果や副作用の現れ方が異なる可能性があります。そのため、個々の腎機能に応じて投薬量や服用方法を調整する必要があります。腎機能障害患者への注意事項は以下のとおりです。
クレアチニンクリアランス値が低い場合や人工透析を受けている場合は、投薬量の調整や服用中止を検討する場合があります。また、腎機能障害のある患者さんは特別な注意が必要です。
ジャディアンスの効果を最大限に引き出しつつ、副作用のリスクを最小限に抑えるためには、患者さん自身が薬剤について正しく理解し、医療専門家と協力して治療に取り組むことが大切です。
ジャディアンスの服用方法として以下の3つを解説します。
ジャディアンスの標準的な服用方法は以下のとおりです。
服用時間は毎日同じ時間帯に設定します。服用を習慣化するコツとしてスマートフォンのアラーム機能を活用、お薬手帳に服用記録もしましょう。
ジャディアンスと他の薬剤との併用には注意が必要です。特に以下の点に留意してください。
上記の薬と併用する場合には、低血糖や脱水に注意する必要があります。
妊娠中や授乳中のジャディアンス使用は、原則として推奨していません。動物実験で胎児への影響が報告されており、妊娠の可能性がある、または妊娠を希望する女性は医師に相談が必要があります。
場合によっては授乳中止などの対応が必要です。個々の患者の状況に応じて、医師の指導のもとで適切に使用することが重要です。
ジャディアンスは、2型糖尿病治療に効果的なSGLT2阻害薬です。主な特徴は以下のとおりです。
効果を最大限に引き出し、副作用を最小限に抑えるためには、医師との密接な相談が不可欠です。
健康診断でクレアチンが高い、尿蛋白や血尿が陽性の場合は、当院の腎臓内科を受診してください。基礎疾患や腎機能のリスク因子を検査し、最適な治療プランを提案します。治療オプションは理解しやすく説明し、患者様の了承を得た上で治療方針を共に決定します。当クリニックには管理栄養士もおり、食事に関する専門的なアドバイスも受けられます。健康な未来への一歩を踏み出すお手伝いをさせていただきます。
Packer M, Anker SD, Butler J, Filippatos G, Pocock SJ, Carson P, Januzzi J, Verma S, Tsutsui H, Brueckmann M, Jamal W, Kimura K, Schnee J, Zeller C, Cotton D, Bocchi E, Böhm M, Choi DJ, Chopra V, Chuquiure E, Giannetti N, Janssens S, Zhang J, Gonzalez Juanatey JR, Kaul S, Brunner-La Rocca HP, Merkely B, Nicholls SJ, Perrone S, Pina I, Ponikowski P, Sattar N, Senni M, Seronde MF, Spinar J, Squire I, Taddei S, Wanner C, Zannad F and EMPEROR-Reduced Trial Investigators. Cardiovascular and Renal Outcomes with Empagliflozin in Heart Failure. The New England journal of medicine 383, no. 15 (2020): 1413-1424.
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