再生医療で注目されている幹細胞上清液のことを知っていますか。幹細胞上清液には、細胞を活性化させる重要な成分が多く含まれていて、美肌や発毛などの効果に注目が集まっているのです。この記事では、幹細胞上清液について解説しつつ、含まれる成分や発揮される効果について詳しく解説します。
目次
幹細胞上清液(かんさいぼうじょうせいえき)とは、幹細胞を培養した培養液から幹細胞と不純物を取り除いて、残った培養液をさらに滅菌等の処理をした上澄み液のことです。
幹細胞上清液の中には、500種類以上の生理活性物質(サイトカイン)やエクソソームが含まれています。これらが細胞を活性化させるカギを握っていて、傷ついた細胞の修復や炎症を抑える働きをします。幹細胞上清液が体内を巡ると、失われた機能が回復したり、新陳代謝が促されたりして、体の内側からも外側からも、若返りや健康を取り戻すことができるのです。
エクソソームについては以下で詳しく解説しているので、興味がある方はぜひご覧ください。
>>エクソソームとは細胞間の情報伝達の役割をするもの!効果や治療法も詳しく解説
幹細胞上清液は、下記の6つの効果を発揮します。
幹細胞上清液に含まれる成長因子のサイトカインやエクソソームなどが細胞を活性化させることで、壊れた細胞の修復が行われます。その結果、さまざまな疾患の治療や新陳代謝の促進、若返りの効果を発揮するのです。
幹細胞上清液に含まれる成長因子が血管の修復や新しい血管を作る働きをします。滞っていた血流が再開し、動脈硬化やEDなど血管の老化によって起こる疾患の予防や進行を抑えることが期待できます。
ED(勃起障害)は、陰茎の海綿体の血流が悪くなるのも原因のひとつです。幹細胞上清液の成長因子の作用によって血管が新しくなると、陰茎全体に血液が行き渡るようになり、EDの根本的な改善効果が期待できます。ED治療や男性機能の改善には、幹細胞上清液で作られたクリーム(exstem)も使われます。クリームを直接陰嚢に塗ることで、成分の吸収が高まりより高い効果が期待できるのです。
世界初のED男性更年期改善クリーム”exstem”について以下の記事に詳しく解説しているので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
>>【世界初】男性更年期によるED改善クリーム「exstem」幹細胞上清液エクソソーム配合で根本治療
また、動脈硬化も血液の流れが悪くなって起こる疾患です。幹細胞上清液に含まれる成長因子が、もろくなった血管の修復や再生をすることで血流が改善し、動脈硬化の進行を抑えることができると言われています。
EDの治療方法については以下のページで詳しく説明しているので、勃ちが気になる方はぜひチェックしてみてください。
>>ED(勃起障害)の治療方法を解説!4種類のED治療薬や治すべき生活習慣を紹介
幹細胞上清液に含まれるエクソソームや成長因子には、発毛や育毛を促進する作用があります。幹細胞上清液を使うことで髪の毛の元になる毛母細胞の修復や再生、頭皮環境を整えてくれる効果などが期待できます。
AGA(男性型脱毛症)の発症は、男性ホルモンによる影響や加齢・ストレスなどによる血行不良などさまざまな原因でおこります。AGAは成人男性に多く見られる進行性の脱毛症です。幹細胞上清液を直接頭皮に注入することで、エクソソームやKGFなど発毛に有効な成分が毛根細胞を活性化させ、AGAの改善に効果を発揮します。
幹細胞上清液は、脳神経系の疾患にも効果が期待できます。認知症などの脳疾患は、脳の神経細胞が損傷することで起こります。幹細胞上清液は、損傷した脳の神経細胞を再生・修復してくれるのです。脳の神経細胞が再生・修復されることで、思考力や記憶力が回復するとされています。
認知症やパーキンソン病は、根治治療が難しいとされてきました。しかし幹細胞上清液は、アルツハイマー型に代表される認知症やパーキンソン病の治療にも効果がある可能性が報告されています。特にエクソソームという成分が、損傷を受けた脳の神経細胞の修復を助け、脳の機能を改善させることがわかっています。
関節痛は骨や関節がすり減ることで起こり、高齢の方を中心に悩まされる方が多い疾患です。幹細胞上清液は炎症を抑え、神経の修復を促すことで関節痛などからくる痛みを改善させてくれます。
リウマチは自己免疫疾患のひとつで、免疫機能の異常により関節に炎症が起こり、骨を破壊してしまう疾患です。痛みや腫れの症状があり、関節が変形する進行性の難病でもあります。幹細胞上清液の成分が異常な免疫機能を修復し、リウマチの症状改善や進行を防ぐ効果があるとされています。
また、腰痛、肩痛などに対しても、幹細胞上清液の成分が細胞の働きを活性化させて、関節の炎症を抑え痛みを和らげるのです。
ターンオーバーとは、肌の代謝のサイクルのことで、古い肌が新しい肌に生まれ変わることです。この周期は年齢とともに遅くなり乱れるのが通常です。幹細胞上清液に含まれるKGFやEGFなどの成分がターンオーバーを活性化して、シミやシワ、たるみなどの肌の衰えを改善して美肌効果を示します。
体内の活性酸素が増えすぎると、疲れやすくなることがわかっています。幹細胞上清液には、活性酸素を除去する効果もあります。若いうちは、抗酸化作用のある酵素を作り出す機能が活発で、活性酸素が蓄積することは少ないですが、年齢とともにその機能は低下してしまいます。幹細胞上清液によって活性酸素が除去されることで、疲労回復の効果が期待できるのです。
幹細胞上清液には、体内で細胞の成長に必要な命令を伝達したり、細胞を増殖させたり、修復、再生する能力のある成分などが含まれています。これらの成分の働きが細胞を活性化させ、アンチエイジングや再生医療に力を発揮しているのです。
ここでは、含まれている成分の一部を紹介します。
細胞間の情報伝達物質と呼ばれるとても小さなカプセル状の物質です。組織の再生や修復をおこなったり、修復に必要な成分を作ったりする指令を出します。メッセンジャーRNA、DNA、マイクロRNAといった核酸やタンパク質を含んでいます。エクソソームが細胞間を移動して情報伝達の役割をすることで、代謝を促進したり、細胞が修復されて若返ったりするのです。
エクソソームについては以下で詳しく解説しているので、より知りたいと思う方はぜひチェックしてみてください。
>>エクソソームとは細胞間の情報伝達の役割をするもの!効果や治療法も詳しく解説
細胞活性のカギとなる成長因子を豊富に含んだ生理活性物質です。主に免疫系の細胞を活性化し、炎症をコントロールする働きがあります。組織や細胞の機能回復や老化した細胞の修復、美容に対するさまざまな効果を発揮します。美容や整形外科の分野で特に期待されている物質です。
真皮に存在する成長因子の一種で、線維芽細胞を活性化させます。線維芽細胞が活性化すると、ターンオーバーサイクルの乱れが改善し、肌のハリや弾力がよみがえります。また、発毛や育毛効果もあり、毛包に作用してコシのある強い毛髪を育てる働きをする成長因子です。
血管内皮細胞に作用し、新しい血管の形成や血流の改善を図る増殖因子です。全身の新陳代謝の向上や生活習慣病の予防、肌のハリやつやの改善にも効果があるとされています。また、VEGFが毛根へ栄養を運ぶことにより、発毛、育毛効果も発揮します。
肝細胞再生の細胞増殖因子として発見された成長因子です。肝細胞だけでなく、肌細胞の細胞増殖促進や血管新生など、組織の修復や再生に重要な役割を果たします。
休止期の毛包を成長期へと変化させる働きもあるので、発毛や育毛にも効果が期待できる成分です。
損傷した皮膚の修復を行う成分です。擦り傷の回復が子どもより大人が遅いのは、ターンオーバーのサイクルが乱れ、肌が老化しているからです。EGFにはターンオーバーを促進させる効果があり、肌の若返りが期待できるのです。
幹細胞上清液自体には重篤な副作用はほとんどありません。注射による投与の場合、穿刺部位に痛みや腫れが出ることや、ごくまれに成分が合わなくてアレルギーのような症状が出る場合があります。ここでは、それ以外のリスクやデメリットについて説明します。
幹細胞上清液を用いた治療は保険適用されておらず、自費診療のため高額になります。回数や使用期間によっては、数万〜数十万円以上かかる可能性も十分あります。
点滴時に血糖が下がり、めまいや冷や汗を起こす可能性があります。これは、幹細胞上清液の中にインスリンと似た物質が含まれているからです。また、一過性の耳鳴りが生じる方もいます。
幹細胞上清液はヒト由来の製品であるため、点滴治療を受けた場合はその後献血することができなくなります。ウイルス感染を完全に否定できないので、日本赤十字社では幹細胞上清液を使用した方の献血はお断りしています。
ヒト幹細胞培養上清液療法を受けることができないケースもあります。
以下の条件に該当する方は、この治療を受ける前に医師に相談してください。
幹細胞上清液の投与方法には、以下のようにさまざまな方法があります。
ひとつずつ詳しく説明します。
点滴での投与は、幹細胞上清液が全身に行きわたるのであらゆる細胞の機能回復が見込めます。幹細胞上清液は傷ついた組織に集まる性質があるので、回復を求めている傷ついた部位に優先的に効果を示します。30分〜1時間かけて静脈内に投与し、投与後も日常生活を送ることが可能です。
部分的に効果を得たい場合は、その部位へ直接注射をします。関節痛、AGA、EDにはこの方法が用いられることが多いです。メソガンを用いた美容施術にも幹細胞上清液の局所投与が行われています。
点鼻薬はより脳に近い場所から投与するので、幹細胞上清液の成分を脳内の毛細血管に届けることが可能になります。幹細胞上清液の成分は、点滴では脳内に届かないので点鼻薬が有効です。認知症や脳疾患の治療や改善はもちろん、近年では美肌効果や育毛効果、アンチエイジングの効果も期待されています。点鼻薬はご自身で手軽に使うことができるので継続しやすい方法です。
EDの根本治療と男性更年期障害の改善には、クリーム剤の使用も有効です。当院で扱っている「exstem Rise Up Cream for Men」は、ヒト幹細胞上清液エクソソーム配合のED男性更年期改善クリームです。
幹細胞上清液を使用して開発された初めてのクリーム剤で、エクソソームをはじめ男性機能を向上させるたくさんの成分が含まれています。陰嚢は、腕などに比べるとクリームの成分を多く吸収するので、クリーム剤なら直接吸収され高い効果が期待できます。当院で扱っているクリーム剤は、全ての工程を国内でおこなっている純国産なので安心安全です。
使用目安は1日1〜2回、陰嚢を中心に塗布します。クリームはご自身で塗ることが可能なので、自宅で継続して使用することもできます。
幹細胞上清液の治療は医療保険の適用はなく自費診療です。当院で点滴をする場合は、1回35,000円からとなっています。点滴も局所注射も1度ではなく、効果を持続させるために2週間から1ヶ月に3回から5回の頻度で行うことをおすすめしています。クリーム剤であるexstem Rise Up Cream for Menクリームは1本2~3万円です。月に1〜2本程度の使用になります。
幹細胞上清液には、さまざまな疾患の治療効果や美肌や育毛など若返りに効果のある成分が豊富に含まれています。保険診療ではないので高額にはなりますが、現在の治療法で効果を実感していない方や、慢性的な痛みや不調を改善したい方にはおすすめの治療法です。外見はもちろん、体の内側から若返りたい、元気になりたいと思う方は、「イーヘルスクリニック新宿院」へ相談に来てください。
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【参考文献】
記事作成:天野 方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2016年より帝京大学大学院公衆衛生学研究科に入学し、2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2022年4月東京都新宿区に「イーヘルスクリニック新宿院」を開院。複数企業の嘱託産業医としても勤務中。
日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。