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コラム
2025.06.04

チルゼパチド(マンジャロ®)がもたらす体重減少とQOL(生活の質)の向上効果

体重減だけじゃない!チルゼパチド(マンジャロ®)でQOL(生活の質)も改善へ ~SURMOUNT-3試験の結果から~

「体重は減ったけれど、なんだか毎日が楽しくない…」
「ダイエットしても、身体の不調が続いて活動的になれない…」

肥満や過体重は、見た目の問題だけでなく、健康への影響、そして日々の生活の質(QOL: Quality of Life)にも深く関わっています。近年、2型糖尿病治療薬として日本でも承認された「チルゼパチド(マンジャロ®)」が、海外の研究では肥満症においても顕著な体重減少効果を示すことが明らかになり、大きな注目を集めています。

この度、チルゼパチド(マンジャロ®)が体重減少だけでなく、QOLの大幅な改善にも寄与する可能性を示す重要な研究結果が報告されました(SURMOUNT-3試験)。

今回は、医学雑誌『Diabetes, Obesity and Metabolism』に掲載されたこの研究結果1 を基に、チルゼパチド(マンジャロ®)が私たちのQOLにどのような影響を与えるのか、詳しく解説していきます。

 

肥満外来(医療ダイエット外来)~来院治療に加え、オンライン診療でも受診可~

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そもそもQOL(生活の質)とは?

QOLとは、単に病気がない状態を指すのではなく、身体的な健康状態、精神的な安定、社会的活動、日常生活の満足度など、私たちがどれだけ人間らしく、自分らしく充実した生活を送れているかを示す指標です。肥満や過体重は、関節への負担による身体的な痛み、息切れ、気分の落ち込み、社会活動への参加意欲の低下などを引き起こし、QOLを著しく低下させる可能性があります。

SURMOUNT-3試験とは? チルゼパチド(マンジャロ®)のQOL改善効果を検証

今回注目するSURMOUNT-3試験は、まず参加者に12週間の集中的な生活習慣介入(食事療法、運動、週1回のカウンセリング)を行っていただき、そこで5%以上の体重減少を達成した肥満(BMI 30以上)または過体重(BMI 27以上で何らかの肥満関連合併症を持つ)の成人(海外の基準)を対象としました。

その後、これらの参加者をランダムに2つのグループに分け、一方にはチルゼパチド(マンジャロ®に相当する薬剤、最大耐量10mgまたは15mgを週1回皮下注射)を、もう一方にはプラセボ(偽薬)を72週間投与し、QOLの変化などを比較検討しました。

試験結果:チルゼパチド(マンジャロ®)群でQOLが有意に改善!

その結果、チルゼパチド(マンジャロ®に相当する薬剤)を投与されたグループ(287名)は、プラセボを投与されたグループ(292名)と比較して、QOLに関する多くの指標で統計学的に有意な改善が認められました。

具体的には、以下のQOL評価指標で大きな改善が見られました。

  • IWQOL-Lite-CT (Impact of Weight on Quality of Life-Lite Clinical Trials Version):
    体重がQOLに与える影響を評価する指標です。チルゼパチド群では総スコアが平均15.5ポイント改善したのに対し、プラセボ群では1.9ポイントの改善に留まりました。特に「身体機能」「自尊心」「性生活」「公的苦痛」「仕事」といった全ての項目で、チルゼパチド群の改善が顕著でした。
  • SF-36v2 (Short Form-36 Health Survey version 2):
    健康関連QOLを包括的に評価する指標です。チルゼパチド群では、特に身体的側面を反映する「身体機能サマリースコア(PCS)」が平均6.4ポイント改善しましたが、プラセボ群では0.8ポイントの改善でした。
    さらに、SF-36v2の8つの下位項目のうち、「身体機能」「日常役割機能(身体的)」「身体の痛み」「全体的健康感」「活力」「社会生活機能」「心の健康」の7項目で、チルゼパチド群がプラセボ群よりも有意に改善しました。(精神的側面を反映する「精神的健康サマリースコア(MCS)」については、両群間で有意な差は見られませんでした。)

つまり、チルゼパチド(マンジャロ®に相当する薬剤)による治療は、体重が減ることによる身体的な動きやすさの向上、痛みやだるさの軽減、そしてそれに伴う自信の回復や社会参加への意欲向上など、多岐にわたるQOLの改善に繋がる可能性が示されたのです。

体重減少が大きいほど、QOL改善効果も大きい傾向

さらに興味深いことに、より大きな体重減少(20%以上)を達成した人々や、試験開始時点で身体機能に何らかの制限があった(SF-36v2身体機能スコアが90点以下だった)人々において、QOLの改善がより大きい傾向が見られました。これは、チルゼパチド(マンジャロ®に相当する薬剤)が特に体重による身体的負担が大きい方々にとって、より大きな恩恵をもたらす可能性を示唆しています。

副作用について

チルゼパチド(マンジャロ®に相当する薬剤)の投与に伴う有害事象としては、吐き気や下痢などの胃腸系の症状がプラセボ群よりも多く報告されましたが、そのほとんどは軽度から中等度であったと報告されています。

まとめ:チルゼパチド(マンジャロ®)は肥満に悩む方のQOL改善への新たな希望となるか

今回のSURMOUNT-3試験のQOLに関する解析結果は、チルゼパチド(マンジャロ®に相当する薬剤)が単に体重を減らすだけでなく、肥満や過体重に悩む方々の生活の質そのものを向上させる可能性を強く示唆しています。

どのような治療法であっても、医師による適切な診断と指導のもとで行うことが最も重要です。また、治療の基本は適切な食事療法と運動療法であることに変わりはありません。

 

イーヘルスクリニック新宿院での対応

当院では、GLP-1受容体作動薬(例:マンジャロ、リベルサスなど)を使用した肥満治療に加え、以下のようなトータルサポートを提供しています:

  • 医師による安全な処方と経過観察
  • 管理栄養士による食事・栄養指導
  • 定期的な血液検査による副作用チェック

単なる「体重を落とす」だけでなく、健康的に痩せて、リバウンドしにくい体を作ることを目的としたメディカルダイエットをサポートします。

 

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イーヘルスクリニック新宿院の特徴は?

一般的な肥満外来(医療ダイエット外来)では、健康状態のヒアリングが不十分で、薬の処方が中心になっていることが多いのが現状です。しかし、イーヘルスクリニック新宿院の肥満外来(医療ダイエット外来)では、単に体重減量を目指すだけでなく、肥満によって引き起こされる健康問題の早期発見と治療にも重点を置いています。 当院の治療方針は”薬物療法”と”食事・栄養への介入”の2本柱で行っています。 診療は土日祝日も対応しており、24時間365日診療予約がネットから可能です。忙しい方でも受診しやすい体制を整えていますので、お困りごとがありましたらお気軽にご相談ください

 

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参考文献
1. Heise T, Tahrani AAR, Laimer M, et al. Effects of tirzepatide on health-related quality of life in participants with obesity or overweight who had completed an intensive lifestyle programme: A post hoc analysis of the SURMOUNT-3 randomized controlled trial. Diabetes Obes Metab. 2024. doi:10.1111/dom.16463

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