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2022.09.22
#糖尿病内科(内分泌・代謝外来) #対象疾患

糖尿病を予防するには?今日から実践できる食事・運動・生活習慣のポイント

健康診断で血糖値を指摘されたり、最近疲れやすかったりと変化を感じていませんか?糖尿病は、自覚症状がほとんどないまま進行しやすい病気です。「自分はまだ大丈夫」と思っていても、気づかぬうちに病気のリスクが高まっている可能性があります。

糖尿病は、一度発症すると完治が難しいため予防が大切です。本記事では、糖尿病の基礎知識と今日から実践できる食事・運動・生活習慣の具体的なポイントを解説します。ご自身の生活を見直すきっかけにしましょう。

イーヘルスクリニック新宿院では、血糖値やHbA1cなどの検査結果をもとに、糖尿病の早期発見から食事・運動を含む生活習慣の見直し、必要に応じた薬物療法まで、一人ひとりの状態に合わせた診療を行っています。

糖尿病は自覚症状が少ないまま進行することもあります。健康診断で血糖値を指摘された方や疲れやすさ、のどの渇き、体重変化などが気になる方は、早めの受診が大切です。糖尿病が心配な方は、まずは一度ご相談ください。

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記事監修:天野方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
経歴:埼玉医科大学卒業後、東京慈恵会医科大学付属病院足利赤十字病院などで勤務。2016年、帝京大学大学院公衆衛生学研究科へ入学。2018年、ハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)へ留学。予防医療特化のメディカルクリニックで勤務後、2022年「イーヘルスクリニック新宿院」開院。
専門分野:腎臓内科、抗加齢医学(アンチエイジング)、産業医学
資格:日本腎臓学会専門医・指導医抗加齢医学会専門医日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士・博士

糖尿病の基礎知識

糖尿病は、高血糖値状態が続く病気です。糖尿病について以下の3つを解説します

  • 糖尿病の主な原因
  • 糖尿病の初期症状
  • 糖尿病発症リスクが高い人

糖尿病の主な原因

糖尿病には1型糖尿病と2型糖尿病があります。1型糖尿病は、自己免疫の異常によって引き起こされやすいです。2型糖尿病の原因は遺伝的な要因と日々の生活習慣が関連すると考えられています。ご家族や親戚に糖尿病の方がいる場合、糖尿病になりやすい体質を受け継いでいる可能性があります。

以下の生活習慣が糖尿病の要因となる場合もあります。

  • 高カロリー、高脂肪、高糖質な食事
  • 運動不足によるエネルギー消費の減少
  • 肥満
  • 強いストレス
  • 慢性的な睡眠不足
  • 喫煙習慣

加齢によりインスリンを作る力は少しずつ衰えていきます。食生活の変化などを背景に、若い世代で発症する「若年発症2型糖尿病」が懸念されており、年齢に関わらず注意が必要です。

糖尿病は初期に自覚症状が乏しい一方、進行すると“体のサイン”が出ていることもあります。以下の記事では、初期症状の具体例や種類別の症状の特徴を整理しています。
>>糖尿病ではどんな症状が出るの?〜初期症状や種類別の症状をご紹介〜

糖尿病の初期症状

糖尿病は初期段階ではほとんど自覚症状がありません。以下の症状に心当たりがある場合は注意が必要です。

  • 異常にのどが渇く
  • 尿の回数や量が増える(多尿)
  • 食事量は変わらない、または増えているのに体重が減る
  • 全身がだるく疲れやすい
  • 目がかすむ、視力が落ちたと感じる
  • 手足がしびれたり、感覚が鈍くなったりする
  • 傷や火傷などが治りにくい

血液中の糖分濃度が高くなると、水分で薄めようとします。多尿になる理由は、体が余分な糖分と尿を一緒に排出するためです。糖分の代わりに、筋肉や脂肪を分解してエネルギー源にするため体重減少を引き起こします。症状が複数当てはまる場合は、放置せず早めに病院を受診しましょう。

糖尿病発症リスクが高い人

糖尿病は、特定の体質や生活習慣を持つ方に発症のリスクが高まります。ご自身の生活を振り返り、以下のリスクがないかチェックしましょう。

  • BMI25以上またはお腹周りの脂肪が気になる
  • 外食やコンビニ食が多く、食生活が不規則になりがちである
  • つい早食いをしてしまう癖がある
  • お酒を飲む機会が多い
  • 健康診断で「血糖値が高め」「糖尿病予備群」と言われたことがある
  • 高血圧や脂質異常症(コレステロールや中性脂肪)を指摘されている

糖尿病予備群とは、糖尿病に将来なりやすい状態です。厚生労働省によると、空腹時血糖値が100mg/dl以上、またはHbA1cが5.6%以上の場合をいいます。糖尿病を予防するため、生活習慣を見直しましょう。

糖尿病予備群(境界型)は、放置すると糖尿病へ進行するリスクが高まります。以下の記事では、予備群の診断基準や放置のリスク、受診の目安を解説しています。
>>糖尿病の予備軍の症状とは?診断基準や放置のリスクについてご紹介

糖尿病予防に向けた食事のポイント

糖尿病の予防に大切なのは、血糖値の急な上がり下がり(血糖値スパイク)を避け、栄養バランスを整えることです。毎日の生活に取り入れられる食事のポイントについて、以下を解説します。

  • 炭水化物
  • 食物繊維
  • タンパク質
  • 飲酒習慣
  • 外食時の注意点

炭水化物

炭水化物は、体や脳を動かすために大切なエネルギー源です。炭水化物に含まれる糖質は、血糖値を上げる成分であり、糖尿病予防では炭水化物の「質」と「量」が大切です。

炭水化物は、食物繊維が豊富なものを選びましょう。食物繊維が多いと糖の吸収がゆるやかになり、血糖値の急上昇が抑えられます。白米を玄米やもち麦ごはんに、食パンを全粒粉パンに変えるのがおすすめです。

丼やラーメンなどの単品メニューは、炭水化物に偏りがちです。普段のごはんの量をいつもの半分~3分の2程度に減らし、少しずつ糖質制限から始めてみましょう。

食物繊維

食物繊維は、食後の血糖値の急上昇を抑える効果が期待される栄養素です。水に溶ける水溶性食物繊維は、小腸での糖質の吸収をゆるやかにし、食事への満足感を高め食べすぎを防ぐ効果も期待されます。

研究では、腸内細菌が食物繊維を発酵させることで「短鎖脂肪酸(SCFA)」が生成される主要な代謝物と報告されています。短鎖脂肪酸は、免疫応答の調整などを通じて、健康維持に関与する物質です。腸内環境を整えることは、糖尿病予防に加え、全身の健康維持に役立つ可能性があります。

食事の際には、食物繊維が豊富なメニューから食べることを意識しましょう。野菜やきのこ、大豆などを先に食べる「ベジタブルファースト」は、炭水化物の吸収をゆるやかにします。

タンパク質

糖尿病を予防するにはタンパク質を摂ることが大切です。タンパク質は、筋肉や臓器、血液など体を作る基本の栄養素です。筋肉は、血液中のブドウ糖をエネルギーとして消費する役割を担います。筋肉量が維持されると糖の消費量が増え、血糖値の管理がしやすくなります。

タンパク質はバランス良く食事に取り入れることを心がけましょう。肉や魚、卵などの「動物性タンパク質」と大豆製品などに含まれる「植物性タンパク質」があります。毎食ご自身の手のひらサイズを目安にタンパク質のおかずを一品加えることがポイントです。

飲酒習慣

アルコール飲料は種類によって糖質を含むため、飲みすぎは糖尿病リスクを高める可能性があります。ビールや日本酒などの醸造酒は糖質が多く、血糖値を上げやすいお酒です。焼酎やウイスキーなどの蒸留酒は糖質がほとんど含まれませんが、アルコール自体のエネルギー量が高いため注意が必要です。

アルコールは1gあたり約7kcalのエネルギーを持ち、炭水化物(4kcal/g)よりも高く、脂質(9kcal/g)に近い値です。アルコールには食欲を増進させる作用があり、食べすぎやすいため、以下のポイントを意識しましょう。

  • 休肝日を設ける
  • ゆっくり時間をかけて楽しむ
  • おつまみに枝豆や冷奴、野菜スティックなどを選ぶ
  • お酒と同量の水を飲む

お酒との付き合い方を見直すことも、大切な糖尿病予防の一つです。

外食時の注意点

外食やコンビニの食事は、注意しないと栄養が偏りがちです。丼や麺類などの単品メニューは、糖質や脂質が多くなる傾向があります。メニューの選び方を工夫すると、外食でも健康的な食事が可能です。外食時のポイントは、以下のとおりです。

  • 主食・主菜・副菜がそろった定食メニューを選ぶ
  • ごはんは少なめで注文する
  • 単品メニューで野菜やタンパク質を追加する
  • コンビニではサラダチキンやゆで卵、惣菜を組み合わせる

ポイントを参考に、外食やコンビニ食を上手に活用しましょう。

糖尿病予防に向けた運動のポイント

糖尿病の予防において運動は大切な役割を担います。糖尿病予防に向けた運動は、以下の3つがあります。

  • 有酸素運動
  • 筋力トレーニング
  • 日常生活の活動量

有酸素運動

有酸素運動は酸素を使い、体の中の糖や脂肪を燃やしてエネルギーにする運動です。血液中のブドウ糖を使うため、食後の血糖値上昇を抑制する効果が期待できます。食事後30分~1時間後くらいに運動を始めると、血糖値の急上昇を防ぎやすいです。少し息が弾む程度で会話ができる強さを目安に始めましょう。

ご自身の生活スタイルに合わせて計画を立てることが、長続きのコツです。無理なく楽しみながら続けましょう。

筋力トレーニング

筋力トレーニングで筋肉量を増やすことは、普段から血糖値が上がりにくい体質作りが期待できます。筋肉は、体の中で多くのブドウ糖をエネルギーとして消費する組織です。

筋力トレーニングにより骨格筋から分泌される物質は「マイオカイン」です。インスリンの働きを助けたり、慢性的な炎症を抑えたりする作用があり、糖代謝の改善が報告されています。自宅でできる筋力トレーニングは、以下の2つがあります。

  • スクワット:肩幅に足を開き、お尻を後ろに引き、太ももが床と平行になるまでゆっくりと腰を落とす
  • かかと上げ:壁や椅子に手をつき、ふくらはぎの筋肉を意識しながら、かかとをゆっくり上げ下げする

10回1セットとして、1日に2~3セットを目安に週に2~3回から始めてみましょう。

日常生活の活動量

運動の時間を確保するのが難しい方は、日常生活の中での活動量を増やすことから始めてみましょう。「NEAT(ニート/非運動性熱産生)」は、通勤や家事など普段の生活の中で消費されるエネルギーのことです。以下の行動を日常生活に取り入れてみましょう。

  • エレベーターやエスカレーターではなく、階段を使う
  • 買い物は少し遠くのスーパーまで歩いて行く
  • 電車やバスでは一駅手前で降りて歩く
  • テレビを見ながら足踏みや軽いストレッチをする
  • 歯磨きをしながら、かかとの上げ下げ運動をする
  • 電話で話すときは、座らずに部屋の中を歩き回る
  • デスクワークは定期的に立ち上がって伸びをする

「ついで運動」や「ながら運動」を意識し、1つでもできそうなことを見つけ実践しましょう。

糖尿病予防に向けた生活習慣のポイント

糖尿病の予防は食事や運動だけでなく、毎日の睡眠や禁煙、ストレスとの付き合い方などの生活習慣全体の改善が大切です。生活習慣のポイントについて、以下を解説します。

  • 良質な睡眠習慣
  • 禁煙
  • ストレス管理
  • 定期的な健康診断

良質な睡眠習慣

良質な睡眠習慣は、糖尿病予防において大切です。睡眠不足が続くと、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きが悪くなります。「インスリン抵抗性」は、血糖値が下がりにくい状態です。食欲をコントロールするホルモンのバランスも乱れ、食欲を抑えるホルモンが減るため食べすぎる可能性があります。

質の高い睡眠を確保するために、以下の習慣を心がけましょう。

  • 休日も同じ時間に寝て同じ時間に起きる
  • 就寝1〜2時間前からスマートフォンやパソコンの使用を避ける
  • 夕方以降のカフェインやアルコールを控える

良質な睡眠は、体の疲れをとるだけでなく、心の健康やストレスの軽減にも期待できます。できることから心がけ、睡眠の質を高めていきましょう。

糖尿病予防では、生活習慣の見直しとあわせて「健診の数値が何を意味するのか」を理解しておくと、次に取るべき行動が明確になります。以下の記事では、血糖値やHbA1c、75gOGTTなど、糖尿病の評価に使われる代表的な検査項目をわかりやすく解説しています。
>>糖尿病の検査法とは?〜検査項目や基準値、診断基準についてご紹介〜

禁煙

喫煙習慣は、糖尿病の発症リスクを高める要因の一つであることが報告されています。タバコに含まれるニコチンなどの有害物質は、インスリンの働きを妨げるほか、交感神経を刺激し血糖値を上げるホルモン分泌を促します。

喫煙は動脈硬化も進めるため、糖尿病の合併症である心筋梗塞や脳卒中などのリスクも高める要因です。禁煙は、インスリンの働きが改善し血糖値がコントロールしやすくなる効果が期待されます。合併症のリスク低下に加え、血圧の安定や呼吸が楽になるなど体調改善を感じる方がいます。

禁煙を一人で続けるのが難しい場合は、禁煙外来や薬局で相談できる禁煙補助薬もあるため、医師や薬剤師に相談しましょう。

ストレス管理

体は、強いストレスを感じると「コルチゾール」などのストレスホルモンを分泌します。血糖値を上げる作用があり、ストレスが続くと血糖値が高い状態が慢性化し、糖尿病のリスクを高めます。

ストレスによる暴飲暴食や運動不足は、血糖コントロールに不利になりやすいです。自分に適したストレス解消法を見つけ、心と体をリフレッシュさせる時間を作りましょう。具体的な方法は、以下の表のとおりです。

研究では、家族や友人からの社会的サポートが、糖尿病の苦痛を軽減することが報告されています。一人で悩みを抱え込まず社会的サポートを利用することが大切です。

定期的な健康診断

糖尿病症状がなくても定期的に健康診断を受けることが大切です。健康診断は客観的な数値を見ることで、生活習慣を見直すきっかけになります。健康診断では、以下の項目に注目しましょう。

  • 空腹時血糖値:10時間以上絶食後に測定した血液中のブドウ糖の濃度を表す
  • HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー):過去1〜2か月間の血糖値の平均的な状態を表す
  • 尿糖:腎臓で再吸収されない糖が尿中に排出していることを表す

数値が基準値を超えていた場合、放置せずに医療機関を受診しましょう。早期に発見し、適切な対策を始めることが合併症を防ぐために大切です。ご家族と健診結果について話し合うことも、健康的な生活を続けるための良い方法です。

健診では判定基準を知ると整理しやすくなります。以下の記事では、空腹時血糖・随時血糖・HbA1cなどの診断基準をまとめています。
>>糖尿病の診断基準とは? 糖尿病と糖尿病予備軍の診断基準の違いを解説

まとめ

糖尿病の予防は、何かを厳しく制限するのではなく、生活習慣の工夫が大切です。食事は栄養バランスを意識し、運動も無理なく続けられるものから始めることで長続きします。質の良い睡眠やストレスとの上手な付き合い方も健康維持に欠かせません。

「食事の最初に野菜を食べる」「一駅手前で降りて歩いてみる」など、今日からできそうなことを1つずつ始めてみましょう。健康診断は、症状がなくても定期的に受けることが大切です。数値や日常生活の習慣で気になることがあれば、一人で悩まず、医師に相談しましょう。

イーヘルスクリニック新宿院では、血糖値やHbA1cなどの検査結果をもとに、糖尿病のリスク評価から生活習慣(食事・運動・睡眠)の見直し、必要に応じた治療まで、一人ひとりの状態に合わせてサポートしています。

糖尿病は自覚症状が少ないまま進行することも多いため、健康診断で血糖値を指摘された方や、数値が境界域と言われた方は早めの受診がおすすめです。将来のリスクを減らすためにも、気になる方はまずは一度ご相談ください。

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