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診療科目
2022.04.27
#内科 #対象疾患

便秘症

便秘症とは

便秘症とは“便秘”によって腹痛やお腹の張り、不快感などの症状が現れる状態のことで、治療を必要とします。便秘は何らかの原因で排便がしづらくなり、排便が週2~3回未満にとどまることと定義されており、便秘症とは異なります。なお、正常範囲の排便回数の目安としては、1日3回~週3回程度がといわれています。

便秘症は若い女性に多いといわれていますが、加齢に伴って患者が増加し、高齢者では男女差はないことが特徴です。

便秘症の種類

便秘症には腸の機能低下が原因で起こる“機能性便秘症”と、がんなどの病気で大腸の形が変わることで起こる“器質性便秘”があります。もっとも多いタイプは機能性便秘症です。原因には生活習慣、ストレス、加齢などが挙げられます。

便秘症の症状

主な症状

便秘症になると以下のような症状が現れることがあります。

  • 便秘の回数が少ない(週2回以下程度)
  • 便が硬く排便しづらい

など

進行した場合の症状

重症化すると腸閉塞ちょうへいそく腸穿孔ちょうせんこうといった深刻な合併症を引き起こし、以下のような症状が現れることがあります。

  • お腹の張りや痛み、食欲不振(腸閉塞)
  • 突然の腹部の激しい痛み(腸穿孔)

など

受診の目安

便秘はありふれた症状の1つですが、便秘症になると肌が荒れたり、疲れやすくなったりすることがあり、放置するとより便が硬くなり、症状がひどくなるという悪循環につながることもあります。また、時にさまざまな病気が関係して発症している可能性が考えられるほか、便秘症は大腸がんや脳卒中、心疾患などの病気を引き起こしやすくなるともいわれているため、気になる症状がある場合は我慢せずに医師に相談することも大切です。

特に便秘に伴い吐き気、嘔吐、強い腹痛、細い便、排便時の出血などの症状がある場合は病気の可能性を踏まえ、内科やかかりつけ医などの受診を検討するとよいでしょう。

便秘症の治療のポイント

器質性便秘や、糖尿病や甲状腺機能低下症などの病気によって起こる便秘は、原因となる病気の治療が必要となります。それ以外の便秘の場合は、まず手術以外の治療(保存療法)を行い、効果がない場合は外科治療を検討することが一般的です。

保存療法

便秘症においては食習慣を含む生活習慣の改善、薬物療法、摘便などの理学療法が選択肢となります。

生活習慣の改善

まずは生活習慣の改善、適切な食事の摂取、運動、腸のマッサージなどを行います。排便リズムを整えるために、規則正しい生活を心がけましょう。食事は1日3食を規則正しく取り、野菜や海藻などの食物繊維を積極的に食べます。また、適度な運動は腸のはたらきを促し、便秘改善につながるとされています。

下剤

生活習慣を見直しても便秘が改善しない場合は薬の使用が検討されます。下剤や、腸のはたらきをよくする薬を使うことがあります。

理学療法

生活習慣を見直しても便秘が改善しない場合は、理学療法(物理的な手段を伴う治療法)も選択肢となります。具体的な方法としては、以下の通りです。

  • 浣腸:肛門こうもんから薬を注入し、便を軟らかくしたり腸を動きやすくしたりして排便を促す方法
  • 摘便:肛門から指を入れて排便しやすくする方法
  • 逆行性洗腸法:肛門から洗浄液を注入し、大腸を洗浄して便をためないようにする方法

外科治療

便秘症の原因が直腸が肛門から出てしまう“直腸脱”、直腸が突出して腟のほうに出てしまう“直腸瘤ちょくちょうりゅう”、排便時に直腸が腸内に折り込まれてしまう“直腸重積”などの場合、保存療法で便秘が改善されなければ外科治療を行うことがあります。

便秘症になったときに気を付けたいポイント

むやみに下剤を使用しない

長期間にわたって頻繁に刺激性下剤(腸を大きく動かして排便を起こすタイプの下剤)を飲むと、大腸が疲れて動かなくなる“弛緩性便秘”になってしまい、下剤の効果が低くなることがあります。そのため、自己判断で下剤を飲むことには注意し、便秘が続く場合は早めに受診を検討するとよいでしょう。