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2022.10.17

発熱と倦怠感が現れる病気とは?~疑われる7つの病気と対処法についてご紹介~

日本の感染症法によると、発熱は体温が37.5℃以上になった状態のことを指します。しかし、人によって正常な体温は異なるほか、1日の間で変動することがあるため、総合的にみて判断することが大切です。また、倦怠感とは普段より日常生活を送りづらいと感じるような疲れた感覚のことを指し、この程度にも個人差があります。

このような症状の原因はさまざまにあり、早めに対処する必要がある場合も考えられるため、自己判断せずに気になることがあれば受診を検討しましょう。この記事では、発熱や倦怠感をもたらす原因となる病気やその治療法などについて解説します。

発熱と倦怠感の原因になる病気と治療法

かぜ

かぜはウイルス感染によって鼻から喉にかけての上気道に炎症を起こす病気です。発熱倦怠感のほかにも、喉の痛みや鼻水、鼻づまり、頭痛などさまざまな症状が出ることがあります。

通常、安静にして水分と栄養を補給すれば自然に治癒するとされています。症状によっては、鼻水や発熱を緩和する薬を投与することもあります。

インフルエンザ

インフルエンザウイルスへの感染によって発症します。かぜによく似た症状を伴いますが、インフルエンザはかぜより症状も伝染力も強い病気とされています。また、比較的症状が急速に現れ、発熱・倦怠感以外に、咳、喉の痛み、頭痛、筋肉痛、関節痛などがみられることもあります。

治療には、抗インフルエンザウイルス薬を使うことがあります。ただし、発症後48時間以内に服用できなければ、あまり効果は期待できません。

新型コロナウイルス感染症

原因となるのは“SARS-CoV-2”というウイルスです。感染すると、発熱・倦怠感のほか、悪寒、咳、痰、だるさなどの症状が出ることがあります。重症化した場合は呼吸困難、意識もうろう、胸部圧迫感といった症状が起こることがあり、人工呼吸器が必要になる場合もあります。

感染の心配がある場合は、かかりつけ医に電話で相談するか、新型コロナコールセンターや新型コロナ受診相談窓口に電話で相談をするとよいでしょう。

また、軽症であればほとんどが自宅療養で回復するため、消化のよい食事、十分な水分、十分な睡眠を取って外出を控えることを心がけましょう。一方、中等症以上になると、呼吸不全が生じるために酸素投与が必要となったり、ECMO(エクモ)という機械で呼吸や体内循環を助けたりすることもあります。

肺炎

細菌やウイルスなどが肺に侵入して炎症を起こす病気です。上気道に病変が起こる気管支肺炎は、最初に咳、痰といった症状が現れ、次に発熱することが多いです。一方、肺の周囲にある肺胞に病変が起こる大葉性肺炎は、咳や痰が出ることはなく、多くは急に高熱が出るとされています。特に高齢者の場合は、意識障害や歩行困難を起こすことも多いです。

かぜとの大きな違いは、38℃を超える発熱が数日程度続き、悪寒、全身倦怠感、呼吸困難、黄色や緑色の痰などの症状がみられる点です。

一般的には入院加療の対象となり、抗菌薬を投与したり、呼吸や水分などを含めた全身管理を行ったりします。

肝炎(急性肝炎・慢性肝炎)

ウイルスなどを原因とし、急激に肝臓の細胞が破壊される急性肝炎と、肝細胞が破壊されて肝機能異常が半年以上続く慢性肝炎があります。

初期は自覚症状がそれほどありませんが、中には発熱、倦怠感、頭痛のようなかぜに似た症状が現れることもあります。褐色の尿が出たり、皮膚や白目が黄色くなったりするのも肝炎の特徴的な症状です。

治療においては、慢性肝炎では抗ウイルス剤を投与しますが、急性肝炎の場合には入院して安静を保つことが一般的です。

膠原病

膠原病(こうげんびょう)とは、自己免疫機能の異常によって全身の皮膚や内臓に炎症が起こる病気の総称です。共通する症状として、発熱・倦怠感のほかに、筋肉痛、関節痛、発疹(ほっしん
)
、息切れなどがあります。治療ではステロイド薬を使うことが一般的です。

慢性疲労症候群

検査では異常がほとんど見つからないのに、半年を超える長期にわたって全身の倦怠感を訴える病気のことです。微熱、喉の痛み、筋肉痛などのかぜに似た症状を伴うこともあります。

現在のところ原因は明らかになっていませんが、ウイルス感染や免疫系などが関係しているのではないかと考えられています。原因として疑われる病気があれば、その治療を行うことがあります。

発熱と倦怠感が生じたときの対処法

かぜやインフルエンザなどの感染症にかかったときは、免疫機能を活性化するために熱が出るため、発熱そのものは危険ではないとされています。そのため、発熱だけであれば、慌てず少し様子を見てもよいでしょう。このとき、脱水予防のために十分な水分摂取を心がけましょう。発熱のほかに倦怠感を感じる場合も、まずは安静にして休養を取りましょう。これらで回復が見込めることもあります。

しかし、以下に当てはまる場合は、かぜなのか、ほかの病気なのかを診断してもらうためにも受診を検討するとよいでしょう。

  • 発熱が3~4日続く
  • 休養しても倦怠感を伴った発熱がある
  • 発熱に加えて意識の状態が悪く、呼吸困難などがみられる

なお、新型コロナウイルス感染症を疑う場合は、かかりつけ医か新型コロナ受診相談窓口へ電話で相談してください。

発熱・倦怠感が続く場合は受診の検討を

発熱と倦怠感の背景には、さまざまな病気が潜んでいる可能性があります。単なるかぜであれば、少し様子を見てもよいのですが、症状が重かったりほかに気になる症状があったりする場合は、早めに受診を検討するとよいでしょう。