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診療科目
2022.04.26
#泌尿器科 #対象疾患

頻尿

受診の目安になる症状

  • 1日に8回以上の排尿がある
  • 1日の排尿頻度が8回以下でも自身では多いと感じている
  • 頻尿のほかに、排尿時の痛みや血尿、尿が出にくい、残尿感などの症状がある など

頻尿とは、一般的に起床から就寝までの1日の排尿回数が8回以上であることをいいます。正常な場合の1日の排尿回数は5~7回ほどで、昼間の排尿間隔は約3~5時間ぐらいだといわれています。しかし、排尿回数などは水分の摂取量や気温、運動量などで変動するため、目安の回数を超えていなくても自身で排尿回数が多いと感じるようなら頻尿といえるでしょう。

また、頻尿をはじめとする尿に関するトラブルはありふれた症状の1つであるため我慢する人もいますが、時に重大な病気が関係していることもあるため、水分の摂取量が多いなど明らかな原因が見当たらない場合や排尿時に痛みがある、血尿が出る、尿が出にくい、残尿感などの症状がある場合は、原因を見つけ出すためにも早めに泌尿器科などの受診を検討するとよいでしょう。

頻尿の原因と対処法

頻尿は、治療を必要とする病気の症状の1つとして現れていることがあります。具体的な原因の例は以下のとおりです。

水分の取りすぎ

単純に水分を取る量が多ければ、排尿回数も増えます。また、コーヒーや緑茶、豆乳、ビールなど利尿作用のある水分を取りすぎることも頻尿につながります。ただし、過度な水分制限は脱水を招く恐れがあるため注意が必要です。

1日の水分量の目安は、体重の2~2.5%といわれています。たとえば、体重50kgの人の場合は1,000~1,250mLの水分を取るようにするとよいでしょう。

緊張やストレス

緊張やストレス、不安を抱えているなど脳が敏感な状態になっていると頻尿になることがあります。

緊張している場合は、緊張を和らげるために深呼吸や軽めの運動などをするとよいでしょう。また、ストレスを抱えている場合は、大声を出すなどストレス発散を心がけることが大切です。なお、外出時にはトイレがある場所を事前に把握しておくと、トイレに行きたくなった時でも大丈夫だという安心感につながります。

尿路感染

尿路感染とは、尿の出口から細菌やウイルスなどが侵入したことで腎臓や膀胱、前立腺、尿道などの尿の通り道に感染が起こることです。膀胱の知覚神経が刺激されるために頻尿になるとされています。

原因や種類に合わせた治療が行われますが、基本は細菌の増殖を抑えたり殺したりする薬(抗菌薬)の内服が一般的です。しかし、高熱を伴う前立腺炎などの場合は入院して、抗生物質を点滴することもあります。

過活動膀胱

過活動膀胱とは、尿がたまっていなくても、膀胱が勝手に収縮してしまって急な尿意や頻尿につながる状態のことです。考えられる原因としては、加齢や後述する前立腺肥大症、脳卒中、パーキンソン病などの病気がありますが、これといった基礎疾患がなく原因不明の場合もあります。

治療は、膀胱の収縮を抑える薬や膀胱を広げる薬などを使う薬物療法のほか、排尿間隔を少しずつ長くして膀胱の容量を大きくする訓練、骨盤の筋肉を鍛える体操といった行動療法などがあります。

前立腺肥大症

前立腺肥大症とは、男性特有の生殖器の1つである前立腺が肥大してしまう病気のことです。頻尿以外にも、尿が出にくくなったり残尿感があったりする場合もあります。原因はまだ解明されていませんが、男性ホルモンのはたらきが影響していると考えられており、年齢が高くなるにしたがって発症頻度が増加する傾向があります。

治療は、まず薬物療法を行うことが一般的です。主に前立腺や尿道の筋肉の緊張を和らげて尿の排出を促す薬(α1遮断薬)が使われます。ただし、薬物療法でも症状が十分改善しない場合や、膀胱結石、尿路感染、腎臓の機能障害、血尿などがある場合は手術が行われることがあります。このほか、水分や刺激物の取りすぎを控えたり、適度な運動をしたりするなど、日常生活に関する指導を受けることもあります。

神経因性膀胱

神経因性膀胱とは、神経に関係するさまざまな病気によって、膀胱や尿道のはたらきに障害が起こり、排尿障害をきたす病気の総称のことです。原因となる病気は、糖尿病や椎間板(ついかんばん)ヘルニア、がんの手術の後遺症など多岐にわたります。

治療は、症状の改善だけではなく、尿路感染を防いだり、長期的に腎臓のはたらきを守ったりするために行われます。主に薬物療法や電気刺激を与える治療、手術などさまざまな方法があり、患者さんの状態に適した治療が検討されます。

慢性腎臓病

慢性腎臓病とは、腎臓の障害または、腎臓のはたらきの低下が3か月以上続いている状態の総称のことです。症状は徐々に現れることが一般的で、初期は無症状であることが多いです。進行すると、夜間に何度も尿を出したくなる“夜間頻尿”がみられたりするほか、食欲不振や注意力の低下、疲労、むくみなどの症状が現れることもあります。さらに進行すると、命に関わる状態に進展することもあるので注意が必要です。

慢性腎臓病は糖尿病や高血圧、高尿酸血症、たばこなど生活習慣が関係していると考えられており、食事・運動習慣の改善、禁煙などを心がけることが予防につながります。また治療は、原因となっている病気の治療のほか、食事や生活習慣の指導などを総合的に行う必要があります。

膀胱がん

膀胱がんとは、膀胱にできるがんの総称です。頻尿以外にも、切迫した尿意、残尿感、血尿、排尿痛などの症状が現れることがあります。進行すると、尿が出にくい、足がむくむ、背中や脇腹、腰などが痛いといった症状を感じることもあります。

また、膀胱がんの治療には、手術、薬物療法、放射線治療などがあり、がんや体の状態、本人の希望などによって検討することが一般的です。

頻尿になったときに気を付けたいポイント

排尿の記録をつける

頻尿かもしれないと感じたときは、まず水分の摂取量と時間、排尿の量と時間などを記録してみましょう。3日ほど記録して排尿の状態を客観的に確認することで、頻尿の原因が水分の取りすぎなのかそうでないのかの判断材料となります。

もし水分摂取量が多い場合は、調節することで改善されることもあります。

水分を取りすぎない

水の飲みすぎで一時的に尿の回数が増えているだけという場合もあります。前述した排尿の記録を確認しながら、日常生活の中で水分を取りすぎていないか振り返ってみましょう。

ただし、頻尿を避けたいあまり、水分摂取を過剰に控えると体に悪影響を及ぼすこともあるため注意が必要です。成人が1日に必要とする水分量の目安としては、約2.5リットルといわれています。食べ物や体内で作られる水分を除くと、飲み物から約1.2リットルの水分を摂取する必要があるとされているため、適切な水分量の摂取を心がけましょう。

思い当たる原因がなければ受診を検討する

頻尿の原因として、水分の摂取量以外にも病気の可能性も考えられます。もし病気が原因であれば、その病気に対して適切な治療をする必要があるため、思い当たる原因がなければ泌尿器科などの受診を検討することがすすめられます。

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