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2023.01.11
#腎臓内科 #対象疾患

慢性腎臓病における減塩の重要性!腎機能を守る食事療法と実践のコツ

慢性腎臓病と診断され、医師から減塩の指導をされたものの、食事療法を行うことへの不安や戸惑いを感じていませんか?過剰な塩分は腎臓に負担をかけるだけでなく、高血圧を招き、腎機能を低下させる可能性があります。腎機能の低下は、将来の透析や心不全のリスクを高めることにつながります。

この記事では、減塩が腎臓を守るための治療の基本である理由を解説します。出汁や香辛料を活かした美味しい減塩のコツも紹介します。ただ我慢するのではなく、食事療法に工夫を取り入れ、大切な腎臓を守りましょう。

イーヘルスクリニック新宿院では、慢性腎臓病の早期発見から生活習慣の見直し、薬物療法まで、一人ひとりの状態に合わせた診療を行っています。

腎臓の機能低下は自覚症状が少ないまま進行することも多いです。健康診断で数値の異常を指摘された方や、むくみ・だるさなどが気になる方は、早めの受診が大切です。

慢性腎臓病が気になる方は、まずは一度ご相談ください。

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記事監修:天野方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
経歴:埼玉医科大学卒業後、東京慈恵会医科大学付属病院足利赤十字病院などで勤務。2016年、帝京大学大学院公衆衛生学研究科へ入学。2018年、ハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)へ留学。予防医療特化のメディカルクリニックで勤務後、2022年「イーヘルスクリニック新宿院」開院。
専門分野:腎臓内科、抗加齢医学(アンチエイジング)、産業医学
資格:日本腎臓学会専門医・指導医抗加齢医学会専門医日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士・博士

慢性腎臓病に減塩が重要な理由

慢性腎臓病の食事療法の中でも、減塩は腎臓を守るための基本です。減塩が必要な理由を、以下の3つ解説します。

  • 塩分が多いと腎臓に負担がかかる
  • 高血圧は腎機能の低下を進める可能性がある
  • むくみ・心不全リスクにもつながる

塩分が多いと腎臓に負担がかかる

腎臓は血液中の老廃物や余分な塩分・水分を濾過し、尿として体の外に出す働きがあります。食事から塩分を摂りすぎると、血液中の塩分濃度が高くなり、体は濃度を正常に戻そうとして水分を溜め込んでしまいます。その結果、血液量が増え腎臓にかかる負担が大きくなります。

多くの血液を処理する状態は、常に高い圧力が腎臓にかかっているのと同じで、過剰濾過(かじょうろか)と呼ばれます。過剰濾過が長期間続くと、腎臓のフィルターの役割を担う糸球体(しきゅうたい)が傷つき、硬くなってしまいます。

この結果、腎臓の働きが徐々に低下する可能性があります。塩分の摂取量が多い人ほど腎機能の低下が進みやすく、将来的に透析が必要な腎不全に至るリスクが高まる可能性があると、研究で報告されています。

高血圧は腎機能低下を進める原因になる

塩分の摂りすぎは、高血圧の原因の一つです。塩分を多く摂ると体内の血液量が増えます。増えた血液が血管を通るとき、血管の壁への圧力が高まり、血圧が上がりやすくなります。腎臓の中には、髪の毛よりも細い血管が無数に張り巡らされています。高血圧の状態が続くと繊細な血管は傷つき、硬くなることがあります。

これを動脈硬化といい、腎臓の働きが悪化する原因になります。腎臓の機能が低下するとさらに血圧が上昇しやすくなるという悪循環に陥ります。糖尿病性腎臓病の治療でも血圧コントロールは、腎臓を守るための基本です。減塩は、血圧コントロールの基本であり、降圧薬(血圧を下げる薬)の効果を高めるうえでも役立ちます。

糖尿病がある方の場合、エネルギー量や塩分、脂質、炭水化物のバランスを意識した食事が求められます。以下の記事では、糖尿病の食事療法における具体的な栄養指導の内容や、日常生活の食事のポイントについて解説しています。
>>糖尿病の食事療法における栄養指導の内容とは?〜食事のポイントをご紹介〜

むくみ・心不全リスクにもつながる

靴下の跡が残ったり、夕方に足が張ったりしてしまうなどのむくみも、塩分の摂りすぎと関係しています。腎臓の機能が低下すると、余分な塩分と水分を、体の外にうまく排出できなくなります。行き場を失った水分は血管の外に漏れ出し、皮膚の下などに溜まることで、むくみとして現れます。

体中に余分な水分が溜まる状態(体液貯留)が続くと、心臓にも負担がかかります。心不全で入院される方では、塩分や水分の溜め込みによる体液貯留が、大きな要因の一つと考えられています。心臓は増えた血液を全身に送り出すために、通常よりも多く働く必要があります。

過剰な働きが続くと、心臓は次第に疲弊し、ポンプ機能が低下する心不全を引き起こすことがあります。心不全は、むくみが悪化するだけでなく、少し動いただけでも息切れがするなどの症状が出ることがあります。

減塩は、体内の余分な水分を減らしてむくみを改善するだけでなく、心臓への負担を軽くし、心不全などを予防するためにも大切です。

慢性腎臓病の減塩食事療法

食事療法は薬での治療と同じくらい、腎臓を守るために大切な治療です。減塩食事療法のおすすめの工夫は、以下の4つです。

  • 出汁・香辛料・香味野菜の活用
  • 外食・コンビニでの減塩ポイント
  • 塩分が多い食品・調味料
  • 栄養成分表示の見方(食塩相当量)

出汁・香辛料・香味野菜の活用

減塩と聞くと、ただ薄味にするだけだと思われがちです。塩分の代わりに他の風味を上手に使うことで、食事の満足度を大きく高めることができます。

昆布やかつお節、きのこ類の出汁(だし)には、料理の味を深くするうま味成分が含まれています。うま味を効かせることで、醤油や味噌の使用量を減らしても、物足りなさを感じにくくなります。減塩でも満足感を高めるために活用したい風味の種類と使い方を、以下にまとめました。

種類 具体例 活用法
香辛料 ・こしょう
・唐辛子
・カレー粉
・わさび
炒め物や和え物の味を引き締める
ハーブ ・バジル
・パセリ
・ローズマリー
・しそ
肉や魚料理の臭み消しや風味付けに役立つ
香味野菜 ・ねぎ
・しょうが
・にんにく
・みょうが
薬味や炒め物の香りづけに役立つ
酸味類 ・レモン
・すだち
・酢
塩味の代わりに料理の味を引き締める

これらの風味を上手に取り入れることで、塩分を控えても満足感のある食事につながります。

外食・コンビニでの減塩ポイント

外食やコンビニの食事は、塩分が多くなりがちですが、選び方や食べ方を少し工夫して、塩分をコントロールしましょう。無理なく減塩を続けるメニュー選びのコツは、以下のとおりです。

  • 定食を選ぶ
  • 汁物は残す
  • 漬物は控える

丼物や麺類の単品メニューは、塩分の調整が難しいです。主菜と副菜がわかれている定食がおすすめです。味噌汁や麺類のスープには、塩分が多く含まれています。具だけを食べるように心がけましょう。

外食やコンビニでは、醤油やソースはかけずに小皿に取り、少しずつつけることがおすすめです。ドレッシングは別添えにし、食べる直前に少量だけ使うと、塩分を抑えられます。コンビニ商品を選ぶときは、以下の点に注意しましょう。

  • 麺類や丼物よりおかずがわかれている弁当を選ぶ
  • 栄養成分の食塩相当量を確認する
  • 練り物や加工肉を控える
  • ドレッシングはノンオイルや減塩タイプを選ぶ

食品選びと食べ方を工夫することが、外食時の塩分管理につながります。

塩分が多い食品・調味料

日常的に食べている食品や調味料の中で、塩分が多く含まれているものを知ることは、減塩生活を成功させるための第一歩です。特に注意が必要な食品は以下の表のとおりです。

種類 具体例
加工食品 ・ハム
・ソーセージ
・ベーコン
練り製品 ・ちくわ
・かまぼこ
・さつま揚げ
魚の加工品 ・干物
・塩鮭
・たらこ
・しらす干し
漬物や佃煮 ・梅干し
・たくあん
・キムチ
・のりの佃煮
インスタント食品 ・カップ麺
・インスタントスープ
・レトルトカレー

食品の中には、保存性の向上や風味付けを目的として、多くの塩分が含まれているものがあります。摂取頻度や摂取量には注意が必要です。調味料は少量でも塩分摂取量が多くなりやすい食品群です。日本食品標準成分表を基にした、調味料大さじ1杯あたりの食塩相当量の目安は以下のとおりです。

  • 濃口醤油:約2.6g
  • 薄口醤油:約2.9g
  • 味噌:約2.2g
  • ウスターソース:約1.5g
  • 3倍濃縮めんつゆ:約1.8g

色が薄い薄口醤油は塩分が少ないと思われがちですが、実際には濃口醤油より塩分濃度が高いので注意が必要です。

栄養成分表示の見方(食塩相当量)

食品を選ぶ際に、栄養成分表示を確認する習慣をつけることは、減塩生活において大切です。スーパーやコンビニで商品を買うときは、パッケージの裏側を確認しましょう。食品表示法により食塩相当量の表示が義務付けられています。食塩相当量を見るだけで、食品にどれくらいの塩分が含まれているかわかります。

古い商品や一部の輸入品では、ナトリウム(Na)の量で表示されていることがあります。以下の計算式で食塩相当量に換算できます。

食塩相当量(g)=ナトリウム量(mg)×2.54÷1000

計算が難しい場合は、ナトリウム400mgがおよそ食塩1gと覚えておくと便利です。カップ麺の場合で考えてみましょう。栄養成分表示にナトリウム2.0gと記載があれば、ナトリウムが2000mgとわかります。ナトリウム400mgは、食塩1gと同等なため、食塩相当量は5gだと言えます。

栄養成分表示の見方を知ることで、食事療法を進めやすくなることが期待できます。医師や管理栄養士とも相談しながら、上手に活用していきましょう。

減塩生活を前向きに実践するコツ

塩分量を1日単位で厳密に管理するのではなく、2〜3日の合計で調整するなど、柔軟な姿勢で取り組むことが大切です。減塩生活を前向きに実践するためのコツは、以下のとおりです。

  • 美味しい減塩レシピ
  • 減塩以外の食事制限(たんぱく質・カリウム)との両立
  • 食事制限のストレスを乗り越える
  • イベントを乗り切る食事の工夫

美味しい減塩レシピ

減塩食をおいしく続けるためには、塩味以外の風味を活用することがポイントです。出汁のうま味を活かしたり、香味野菜などで香りを足したりすることで、味にアクセントが付きます。食材を揚げたり焼いたりすることで、香ばしい風味が加わります。

いつもの料理に少し工夫を加えるだけで、減塩でも物足りなさを感じにくくなり、満足感のある一品に変えることができます。

減塩以外の食事制限(たんぱく質・カリウム)との両立

慢性腎臓病の進行度によっては、減塩に加えて、たんぱく質やカリウムの制限が必要になることがあります。腎臓の状態に合わせて、食事の内容を調整していくことが大切です。ステージごとのたんぱく質・カリウムの1日の目安量(標準体重1kgあたり)を以下の表にまとめました。

腎臓病のステージ たんぱく質 カリウム
ステージG3a 0.8〜1.0g/kg/日 制限無し
ステージG3b 0.6〜0.8g/kg/日 2,000mg以下
ステージG4〜G5 0.6〜0.8g/kg/日 1,500mg以下

近年、SGLT2阻害薬のように腎臓保護効果が期待される薬が登場し、治療の選択肢が広がりました。複数の大規模研究では、SGLT2阻害薬は腎機能のステージや尿中のたんぱく(アルブミン)量に関わらず、腎臓病が進行するリスクを抑え、腎臓を保護する可能性が示唆されています。

薬物療法の効果を最大限に引き出すためにも、食事療法を行うことが大切です。自己判断で食事内容を変えず、医師や管理栄養士の指示に従いましょう。

特に高齢者の場合は、腎機能の低下リスクと同時に、筋力低下や低栄養のリスクも考慮する必要があります。たんぱく質を制限しすぎることで体力や免疫力が落ちてしまう可能性もあるため、「どのくらいまでなら安全か」という視点が重要です。

以下の記事では、日本の高齢者におけるたんぱく質摂取量と腎機能の変化との関係について、研究データをもとにわかりやすく解説しています。
>>日本の高齢者におけるタンパク質摂取量と腎機能変化の関係性を解説

食事制限のストレスを乗り越える

毎日続く食事制限で、ストレスを感じることもあります。考え方を少し変えるだけで、ストレスを減らすことができる可能性があります。ストレスを乗り越えるためのポイントは、以下のとおりです。

  • 禁止ではなく調整と考える
  • 完璧を目指さない
  • 好きなものを取り入れる
  • 1人で抱え込まない

食べてはいけないのではなく、指示された量の範囲で調整すると考えてみましょう。毎食きっちり計算するのは大変です。制限の範囲内で、好きなものを取り入れながら調整することも大切です。医師や管理栄養士、家族に相談することで、不安や負担が和らぐことがあります。

イベントを乗り切る食事の工夫

旅行や外食、お祝い事などのイベントでの食事は、以下のポイントを意識すると安心して食事を楽しめます。

  • ステーキや焼き魚など、シンプルな調理方法のメニューを選ぶ
  • ドレッシングやソースは別添えにしてもらい、自分で量を調節する
  • お寿司は魚介類を控えめにし、巻物を組み合わせる
  • 天ぷらは、魚や海老よりも野菜を多めに選ぶ

イベントの日は楽しむと決めて、前後の食事で塩分やたんぱく質を控えめにするなど、柔軟な対応をしましょう。食べ方やメニューを工夫することで、家族と一緒に食卓を囲む楽しみを保つことができます。

まとめ


慢性腎臓病の進行を抑え、大切な腎臓を守るためには、食事療法や薬物療法を組み合わせた総合的な治療が必要です。食塩の摂取量を抑えることは、腎臓への直接的な負担を軽くします。

減塩は、高血圧やむくみの改善につながり、心臓病などのリスク低減につながります。出汁のうま味や香辛料の風味を活かす工夫を取り入れて、無理なく減塩を続けていきましょう。糖尿病などを合併している場合は、複数の薬を組み合わせて治療を行うこともあります。自己判断をせず、医師とよく相談することが大切です。

イーヘルスクリニック新宿院では、慢性腎臓病の早期段階から継続的な管理まで、患者さまの状態や生活背景に配慮した診療を行っています。健康診断で腎機能の数値について指摘を受けた方や、むくみ・倦怠感などが気になる方は、そのままにせず一度医師にご相談ください。

気になる症状がある場合は、早めの受診が安心につながります。

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