リベルサス
新型コロナウイルス感染症は、感染したときの症状の有無や性別、年齢などに関係なく、回復後に後遺症としてさまざまな症状が現れる可能性があります。
後遺症の原因は現段階では明らかになっておらず、治療法もまだ確立していません。ただし症状に対する治療(対症療法)を行うことで、症状の緩和や早期の回復が期待できる可能性もあるため、かかりつけ医や地域の医療機関を受診することが大切です。
新型コロナウイルス感染症の後遺症でみられる症状は倦怠感や息苦しさ、息切れ、味覚障害などさまざまで、これらはほかの病気でもみられることもあります。そのため医療機関では、まずその症状の原因がほかの病気による症状ではないことを判別することから始めます。
一般的にはまず問診や検査などで後遺症であることを診断し、そのうえで症状に対する治療(対症療法)が行われます。
新型コロナウイルス感染症の後遺症として起こり得る呼吸器症状としては、以下のようなものが挙げられます。
呼吸器症状の多くは、時間の経過とともに自然に改善します。ただし、必要に応じて症状に対する治療(対症療法)が検討されることもあります。
たとえば新型コロナウイルス感染症で重篤な肺炎を引き起こした場合などでは、在宅酸素療法や適度な運動などの呼吸リハビリテーションが検討されることがあります。また感染後に気管支喘息が悪化したり、一度治った小児喘息が再発したりすることもあり、この場合には吸入ステロイドなどの吸入療法が検討されます。これまでに喘息などの病気がなかった方で、咳や痰の症状が長引いている方に対しては、感染症にかかった後に生じる“感染後咳嗽”として薬物療法が検討されることが一般的です。なお喫煙習慣のある方については、まず禁煙がすすめられます。
※呼吸器症の特徴や治療法について、詳しくはこちらをご覧ください。
新型コロナウイルス感染症の後遺症として起こる可能性のある循環器症状には、以下のようなものがあります。
新型コロナウイルス感染症になると、その重症度にかかわらず心臓へダメージが加わる可能性があるという報告があります。ウイルスに感染したことによる心筋障害や心膜炎などの後遺症を引き起こすことがあるほか、これまで無症状だった狭心症や弁膜症に自覚症状が現れることもあります。心膜炎ではまず薬物療法が検討されることが一般的です。また狭心症や弁膜症では薬物療法や血管内に医療用の細い管を挿入して行うカテーテル治療、手術治療などが検討されます。
※循環器症状の特徴や治療法について、詳しくはこちらをご覧ください。
新型コロナウイルス感染後に起こる嗅覚・味覚症状としては、以下のようなものが挙げられます。
新型コロナウイルス感染症の後遺症として起こる嗅覚・味覚症状には確立された治療法はありません。嗅覚障害については点鼻薬や内服薬など、かぜを引いた後に起こる“感冒後嗅覚障害”と同じ治療が行われることがあります。また後遺症として生じる味覚障害の多くは嗅覚障害に伴って生じるため、嗅覚障害で匂いが分かりにくくなることによる味覚・風味障害が多いと考えられています。
※嗅覚・味覚症状の特徴や治療法について、詳しくはこちらをご覧ください。
新型コロナウイルス感染症の後遺症として現れる精神・神経症状にはさまざまなものがありますが、主には以下のとおりです。
神経症状を抱えている方は後遺症について強い不安を抱えている場合もあるため、後遺症が生じることがまれではないことを伝えたうえで生活指導や漢方薬などの処方が行われます。精神症状の場合、睡眠薬や漢方薬などの処方が検討されることがあります。
※精神・神経症状の特徴や治療法について、詳しくはこちらをご覧ください。
新型コロナウイルス感染症の後遺症として、以下のような部位に痛みの症状が現れることがあります。
痛みの症状もそのほかの後遺症と同様、多くは時間の経過とともに回復します。症状によっては解熱鎮痛剤や漢方薬などの薬物療法をはじめとする治療が検討されます。
※痛みの特徴や治療法について、詳しくはこちらをご覧ください。
リハビリテーションとは、体の機能を回復・適応させることによって日常生活を送りやすくするための治療法です。新型コロナウイルス感染症の後遺症として現れる息切れや筋力低下については、有酸素運動や呼吸練習、下肢の筋肉を鍛える運動などさまざまなリハビリテーションが行われることがあります。そのほかの後遺症に対してもリハビリテーションが検討されることがありますが、その内容は患者さんそれぞれの症状や体の状態によっても異なります。
※リハビリテーションの特徴や内容について、詳しくはこちらをご覧ください。
新型コロナウイルス感染症の後遺症の多くは、時間の経過とともに回復していくといわれています。しかし、時に重症化してしまう可能性もあります。そのため、新型コロナウイルス感染後に気になる症状が続く場合には、放置せずに医療機関の受診を検討することが大切です。かかりつけ医に相談するほか、後遺症の専門外来を設置している医療機関を選択するのもよいでしょう。
新型コロナウイルス感染症・罹患後症状のマネジメント 厚生労働省