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2022.06.01
#発熱外来

新型コロナウイルス感染症の後遺症 精神・神経症状

新型コロナウイルスの後遺症

新型コロナウイルスに感染すると、感染中の症状の有無にかかわらず、回復後に後遺症としてさまざまな症状が現れる可能性があります。この後遺症は年齢や性別に関係なく、新型コロナウイルスに感染すればどのような方でも起こり得ることが特徴です。

また、多くの症状は時間の経過とともに改善しますが、中には時間が経過してもなかなか改善しない例もあります。

新型コロナウイルス感染症の後遺症が起こる原因は、現段階でははっきりと分かっていません。また治療方法についても確立されたものはありませんが、症状に合わせた治療(対症療法)を行うことで、症状が和らいだり、回復が早くなったりする可能性もあります。

後遺症の1つ“精神・神経症状”とは

新型コロナウイルス感染症の後遺症とみられる症状にはさまざまありますが、その中に精神症状や神経症状があります。精神症状とは抑うつや不安をはじめとする、精神面に現れる症状を指します。また神経症状とは、さまざまな体の機能を司る神経系に不具合が生じることによって起こる症状です。具体的な症状は以下のとおりです。

主な症状

  • 体のだるさ、疲れやすさ
  • 頭がボーっとする
  • 集中力の低下
  • 不安や焦り
  • 抑うつ
  • 体の痛み、しびれ
  • 筋力低下 など

新型コロナウイルス感染症の回復後に起こり得る精神・神経症状は、神経の異常や精神面・心理活動面の異常に加え、筋肉、骨格、内臓の異常なども原因の一部になっている可能性が高いといわれています。中でも、もっとも多く報告されているのは体のだるさや疲れやすさです。ただし、後遺症として現れるほとんどの精神・神経症状は、時間の経過とともに改善するといわれています。

後遺症が疑われる場合の対処法

新型コロナウイルス感染症にかかった後、前述のような精神面の不調や体の不具合が続く場合には、かかりつけ医や地域の医療機関への受診を検討しましょう。医療機関によっては後遺症を専門的に診る後遺症外来を設けている場合もあります。

医療機関では、症状が新型コロナウイルス感染症の後遺症によるものなのか、そのほかの病気によるものなのかを見極め、適切な治療法を検討します。

またお住いの地域によっては、自治体で新型コロナウイルス感染症の後遺症に関する相談窓口を設置していることもあるため、必要に応じてサポートを受けるのもよいでしょう。

診断の流れ

新型コロナウイルス感染症の後遺症が疑われる場合、まずはその症状が後遺症によるものなのかを確認する必要があります。ほかの病気や、感染以前からもともと持っていた病気の悪化による症状ではないかどうかを確認するために、問診や検査などが行われます。また精神・神経症状と思っていた症状が、呼吸・循環器症状などほかの症状である可能性もあるため、幅広い検査が行われることが一般的です。

精神・神経症状に対する治療法

新型コロナウイルス感染症の後遺症として生じる精神・神経症状は、時間の経過とともに改善することがほとんどです。そのため、一般的にはかかりつけ医や地域の医療機関で経過観察が行われます。ただし症状が強く、緊急で対応が必要と判断された場合には、専門医療機関への紹介が行われることもあります。専門医療機関に紹介された場合でも、かかりつけ医や地域の医療機関が治療中のサポートや回復後の診療などを行うことがあります。また精神症状の度合いによっては、精神保健福祉センターや保健所への紹介を検討する場合もあります。

新型コロナウイルス感染症の後遺症として現れる精神・神経症状に対する、有効な治療方法はまだありません。そのため、治療を行う際は医師と本人がよく話し合って治療の目標を定め、その目標を達成するための方法を一緒に考えることが大切です。

<参考文献>

新型コロナウイルス感染症 罹患後症状のマネジメント 厚生労働省