子宮頸がん検診の超音波検診では何が分かるの? ~検査の内容や痛みの有無~
2023.02.27健康診断(健診)とは、体の健康状態を総合的に確認するために行われる検査のことです。健康づくりや健康維持・増進、生活習慣病の発症や悪化防止、病気の早期発見によって早期治療につながることなどを目的としています。
名前が似ているものに“検診”がありますが、検診はある特定の病気を見つけるために検査するものであり、健康診断とは異なります。
健康診断には、法律に則って実施義務がある“法定健診”(定期健診、一般健診とも呼ばれる)と、個人が任意判断で受ける“任意健診”(人間ドックなど)に分けられます。
法定健診には、会社での定期健康診断や乳幼児健診、学校での健康診断などがあり、会社での定期健康診断に関しては、事業者が労働者に対して基本的に年1回以上受けさせる義務があるとされています。また、人間ドックに関しては、日本人間ドック学会が原則として1年に1回が望ましいとしています。
診察は、病気の有無や病状などを判断するために、体の状態について質問したり(問診)、実際に触れたり(触診)聴いたり(聴診)して体を調べることです。診察によって、血液検査やX線検査といった、ほかの検査では診断しづらい病気の発見につながることがあります。
たとえば問診では、気になる症状の有無や生活習慣、本人や家族の既往歴(これまでかかった病気のこと)などを聞き取り、診断の参考にします。さらに、触診、聴診で異常がないか確認が行われます。この際、首や鎖骨周辺のリンパ節、甲状腺に腫れやむくみがないか、呼吸音や心臓の音に異常がないかなどが確認されます。
身長、体重、腹囲を測定します。体重(kg)÷(身長(m)÷身長(m))で算出したBMIは、肥満度や内臓脂肪型肥満かどうかを判断するための指標となります。
BMI22の体重が標準体重となっており、BMI22前後がもっとも病気が少ないとされています。
BMI25以上は肥満と定義されています。肥満は糖尿病や脂質異常症、高血圧症、心血管疾患などの生活習慣病のほか、さまざまな病気の原因となるため、健康づくりにおいて肥満の予防・対策は重要だといわれています。
一方で、BMI18.5未満はやせと定義されており、極端な食事制限によって過度に痩せている場合も健康を害すことがあるため注意が必要です。たとえば、栄養不良、病気にかかりやすくなる、体力や筋力の低下、骨が脆くなるなどのリスクが高まるほか、“やせ願望”が深刻化すると、拒食症や過食症を招く恐れがあります。さらに、女性の低栄養は、将来出産したときの子どもの生活習慣病リスクを高める可能性が示唆されています。
また、腹囲が基準値を外れていた場合は、内臓脂肪型肥満の可能性があります。内臓脂肪型肥満は動脈硬化を進行させることがあるため、注意が必要です。
アルファベットのCのような形の切れ目がどの方向にあるか答える検査です。近視、遠視、乱視などの異常を調べるほか、目の病気の診断にも役立つことがあります。
屈折異常(近視、遠視、乱視)、緑内障、加齢黄班変性(目の中の黄斑という組織が変化し、視力が低下する病気)、糖尿病網膜症(糖尿病によって網膜が障害され、視力が低下する病気)、白内障、網膜剥離の可能性があります。
4000Hz(高音)と1000Hz(低音)の音量を少しずつ上げていき、耳の聞こえを調べる検査です。難聴やその原因を突き止めるために役立ちます。
ただし、高齢者の場合、4000Hzの聴力は40dB程度でも異常なしと判定されることがあります。
外耳炎(鼓膜の手前部分の炎症)、中耳炎、老人性難聴などの可能性があります。
X線で胸部(肺や心臓など)を画像で確認する検査です。
異常な所見がみられた場合は“要精密検査”のような結果が出ます。また、X線は一方向のみの画像であることから明らかに正常と判断できない場合は、異常の可能性をふまえ、念のために精密検査をすすめる判定が出ることがあります。
また、“要経過観察”などと評価されることもあります。異常なし以外の場合は適切な対応をとるとよいでしょう。
結核、肺炎、気胸、胸水、肺がん、心肥大、大動脈瘤、側弯症、骨折などの可能性があります。
血圧とは、血液から血管の壁にかかる圧力のことです。血圧検査では、上腕の動脈の血圧を測定することで、心臓の機能や血管の異常の有無を判断する材料となります。
高血圧症、動脈硬化、心臓の病気、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)の可能性があります。
血液を採取して、さまざまな病気の有無を調べます。血液は全身に栄養を送ったり、不要なものを回収したりするはたらきがあるため、血液を調べることで血液の病気はもちろん、全身の健康状態の把握に役立ちます。
血液検査で調べる項目と基準値は以下のとおりです。
【貧血検査】
貧血とは、赤血球にある酸素を運ぶヘモグロビンの量が少なくなった状態のことで、さまざまな症状がみられるようになります。
胃・十二指腸潰瘍といった消化管からの出血、生理の異常、鉄分不足、血液の病気、貧血、多血症などの可能性があります。
【肝機能検査】
肝臓には、(1)体に必要なタンパク質を合成したり栄養をためたりする(2)有害物質を解毒したり分解したりする(3)食べたものを消化するのに必要な胆汁を作り出すといったはたらきがあります。検査では、肝臓のはたらきが低下しているときに血液に流れ込むGOT(AST)、GPT(ALT)、γ-GTPと呼ばれる物質の量を調べます。
急性肝炎、劇症肝炎、慢性肝炎、薬剤性肝障害、アルコール性肝障害、アルコール性肝炎、非アルコール性脂肪肝炎、脂肪肝、肝硬変、肝がん、胆道系疾患などの可能性があります。
【血中脂質検査】
血中脂質は、血液中に含まれる脂質、主に中性脂肪やコレステロールのことを指します。それぞれ体に必要なものですが、バランスが崩れると動脈硬化などの病気を引き起こす恐れがあります。
動脈硬化、脂質異常症、膵炎、慢性腎不全、肝硬変、糖尿病、甲状腺機能異常、低栄養などの可能性があります。
【血糖検査】
血糖とは血液中のブドウ糖のことで、ブドウ糖は私たちの細胞が生きていくうえで欠かせないエネルギー源です。しかし、増えすぎると糖尿病などの病気につながることがあります。
糖尿病、甲状腺機能亢進症、肝硬変、腎機能障害、ホルモンの病気などの可能性があります。
尿検査では、尿に含まれるタンパク(尿タンパク)や糖(尿糖)を調べます。尿タンパクは、尿中の漏れたタンパク質の量のことで、尿糖は尿中の糖分の量のことです。腎臓の機能が低下するとタンパク質が腎臓で吸収されずに尿に出てしまうことがあります。また、血液中の糖の濃度が一定を超えると尿中に漏れ出てしまうことがあり、これらを調べるために行います。
腎臓病(慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症など)、その他の尿路感染症、結石、溶血性貧血、糖尿病や甲状腺機能亢進症、腎性糖尿などの可能性があります。
心臓の動きを波形にあらわして記録し、それによって心臓の状況を把握するための検査です。なお、定期健康診断においては、40歳未満の方(35歳の方を除く)で医師が必要でないと認めるときは省略することができます。
心電図検査の結果は、心電図の所見と血圧測定値などの結果を用い、総合的に判断します。
不整脈、狭心症、心筋梗塞、心肥大、心不全などの可能性があります。
健診によっては、事前に何らかの準備が必要な場合があります。
血液検査の項目で“血糖検査”“血中脂質検査”がある場合は食事制限が必要なことがあるため、医療機関などからの事前の指示に従いましょう。食事制限の一例は以下のとおりです。
心臓病、高血圧の薬を服用している場合は、朝7時までに服用を済ませましょう。そのほかの薬を服用している場合は、主治医の指示に従うか、当日は飲まずに持参し、検査終了後に服用するとよいでしょう。
さらに、喫煙は検査に影響が出ることがあるため、当日は控えたほうがよいでしょう。
ただし、詳細は検査を受ける医療機関などで確認するようにしましょう。
妊娠中は被ばくするX線検査は受けられないことが一般的です。また、妊娠中や授乳中は血液検査や尿検査の数値に影響が出ることがあり、生理中も尿検査の結果に影響が出ることがあります。そのため、当てはまる場合は医療機関に相談するとよいでしょう。
検査の内容によっては、痛みや不快感を伴うこともあります。今回解説した検査の中では、血液検査の際に痛みを感じることがあるでしょう。