産業医が必要になる要件とは？～産業医の役割や種類についてもご紹介～

産業医とは、医学に関する専門的な立場から、職場における労働者の健康管理などを行う医師のことをいいます。産業医はいわゆる、労働安全衛生規則において企業での配置が義務付けられた“労働者の健康を守る医師”です。それぞれの事業所が、その規模に応じて雇用あるいは契約する必要があります。そこで本記事では、産業医が必要となる要件や、その必要性についてご紹介します。

産業医が必要になる事業所の条件

労働安全衛生規則では“従業員数が50人以上の事業場は産業医を選任しなければならない”と定められています。また、労働安全衛生法第13条での定義では“会社が成長して事業場の従業員数が50人を超えた場合は（産業医を選任すべき事由が発生したら）、14日以内に産業医を選任しなければならない”とされています。これに気付くのが遅れて違反してしまった場合は、50万円以下の罰金に処するという罰則規定が設けられています（労働安全衛生法より）。

産業医が必要とならない事業所の条件

一方で従業員数が50人未満の事業所の場合は、産業医を設ける義務はありません。ただし、月80時間以上の時間外・休日労働を行い、疲れの蓄積が認められる場合などでは、以下に当てはまる場合は、従業員から申し出がなくても「企業は医師による面接指導を受けさせなければならない」とされています。また、労働契約法第5条では「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」と記載れており、従業員の人数に関わらず従業員の健康をサポートすることが事業所の義務と言えるでしょう。

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従業員数別の選任する産業医の種類

産業医には “専属産業医”と“嘱託産業医”があり、各事業所の労働者数によってどちらの産業医を設ける必要があるかが決まります。

まず専属産業医とは、その名のとおり、その事業所専属の産業医のことです。常時1,000人以上の労働者を使用する事業場の場合は、常勤する専属産業医が必要です。そして常時3,000人を超える事業場は、専属産業医を2人以上置かなければいけません。

従業員数が50～999人の場合は、嘱託産業医が必要です。嘱託産業医とは、非常勤の産業医のことであり、複数の企業を担当している場合もあります。

産業医のメリット

事業所が産業医を選任することによるメリットは、以下のとおりです。

労働者の健康管理に役立つ
衛生教育などを通して、職場の健康意識が向上する
職場における作業環境の管理などについて助言を得られる

たとえば、産業医はストレスチェックによる判定結果が思わしくない従業員に対するケアや、長時間労働者への対応、医師の目線による職場巡視などを行います。

健康な社員が多いほうがパフォーマンスも上がるので、企業業績につながり、健康で活力ある職場づくりに大きく役立つと期待されています。この考え方を健康経営といい、近年この考え方が注目されています。してがって、従業員数が50人未満であったとしても、従業員の健康を維持・増進する上記の“健康経営”を意識し、そのパートナーとして産業医の採用を検討することも大切です。