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2022.09.08
#糖尿病内科(内分泌・代謝外来) #対象疾患

糖尿病の運動療法の内容は?リハビリの効果や注意点について解説

糖尿病とは、ホルモンの一種であるインスリンが不足することで血糖(血液中のブドウ糖)が増加する病気です。治療の基本は運動療法や食事療法であり、必要に応じて飲み薬やインスリン注射などを行うことがあります。また、糖尿病には1型と2型があり、どちらも治療として運動療法が用いられますが、主な原因が肥満や過食、運動不足である2型糖尿病においては特に運動が重要とされています。この記事では、リハビリテーションの一つである運動療法の効果や内容、注意点などについて解説していきます。

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記事監修:天野方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
経歴:埼玉医科大学卒業後、東京慈恵会医科大学付属病院足利赤十字病院などで勤務。2016年、帝京大学大学院公衆衛生学研究科へ入学。2018年、ハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)へ留学。予防医療特化のメディカルクリニックで勤務後、2022年「イーヘルスクリニック新宿院」開院。
専門分野:腎臓内科、抗加齢医学(アンチエイジング)、産業医学
資格:日本腎臓学会専門医・指導医抗加齢医学会専門医日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士・博士

糖尿病における運動療法の目的と効果

運動療法の目的は、エネルギーを消費することで肥満や運動不足を解消し、インスリンのはたらきを改善することです。食後1時間前後に運動を行うことで、血糖値を下げる効果が期待できるといわれています。

また、運動療法を行うことで糖尿病の合併症である高血圧や脂質異常症が改善し、脳卒中の発症率や死亡リスクが半減するといわれています。このほかにも、骨や関節が丈夫になって末梢血管(まっしょうけっかん)が鍛えられ、心臓や肺の機能が向上するというメリットもあります。

運動療法の内容

糖尿病における運動療法では、有酸素運動とレジスタンス運動がすすめられています。有酸素運動とは、ウォーキングやジョギング、水泳などの全身を使った運動のことです。レジスタンス運動とは腹筋や腕立て伏せ、ダンベルなどの筋肉に負荷をかける運動のことです。どちらか一方の運動だけを行うよりも、組み合わせて行うことがより効果的だといわれています。

また、肥満かつ糖尿病の場合には、有酸素運動とレジスタンス運動を同時に行うことができ、膝への負担も少ない水中運動がよいとされています。

運動療法の頻度や時間

一度運動を行うと、その後約12~72時間は糖代謝が改善された状態が続くとされています。そのため、有酸素運動は可能であれば毎日、最低でも週3~5回行うとよいでしょう。1回の運動時間は20~60分程度で、週の合計時間は150分以上が推奨されています。また、歩行運動を行う場合は1日に約10,000歩を意識し、1回15~30分を1セットとして1日2セット行います。レジスタンス運動の場合は週に2~3回程度行うとよいでしょう。

運動を行う時間はいつでも問題ありませんが、食後1~2時間のうちに行うことで食後の高血糖状態が改善するとされています。

運動療法の注意点

運動療法は軽い内容からスタートして、慣れてきたら徐々に時間を長く、強度も上げていくようにしましょう。動きやすい服装や靴を着用し、けがをしないように準備運動を十分に行うことも心がけましょう。

なお、運動療法は継続することが重要です。激しすぎて継続が難しそうな運動を取り入れると、挫折などにつながるため注意しましょう。また、体調が悪いと感じたときや気温の変化が激しいときには無理して行わないようにするほか、血糖コントロールがうまくいっていない場合は、軽い運動を短時間行い、血糖値の変化を観察しましょう。

運動療法を避ける・制限したほうがよい場合

合併症がある場合や血糖コントロールが不十分(尿ケトン体が陽性、空腹時の血糖値250mg/dL以上)な場合には、運動を控えなければならないことがあります。また、下記の病気や症状に当てはまる場合は、運動を行う前にかかりつけ医に相談するとよいでしょう。

  • 心筋梗塞(しんきんこうそく)などの重度の心臓病
  • 肺、骨、関節の病気
  • 腎臓の病気や網膜症が進行している
  • 眼底出血がある
  • 足に潰瘍(かいよう)壊疽(えそ)がある

レジスタンス運動を行う場合、虚血性心疾患のような合併症を抱えている場合は強い負荷をかけないように注意することが大切です。高齢者の場合は回数や頻度にも注意が必要です。このように人によって運動療法の内容や程度は異なるため、自己判断せずに医師と相談しながら進めるようにしましょう。

適切な運動療法で糖尿病の改善を

運動療法は糖尿病の治療の基本ですが、合併症などを併発している場合は行わないほうがよいこともあります。また、体の状態や年齢によって適切な運動内容や程度が異なるため、実施する際には医師の指示にしたがい、無理をせず自分の生活スタイルに合わせて継続可能な範囲の運動を行うことを心がけましましょう。

eHealth clinicの糖尿病内科では糖尿病の診療を行なっています。健康診断で糖尿病予備軍と指摘された方も、ぜひご相談ください。糖尿病予備軍は自覚症状に乏しいですが、放置すると糖尿病に進行します。糖尿病になると、さまざまな合併症を引き起こすこともあるため、予備軍の段階から適切な対処を行うことが大切です。eHealth clinicでは医師をはじめ看護師や管理栄養士、検査技師などが多方面からサポートいたします。ご不安なことがありましたらお気軽にお問い合わせください。

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