水素ガス吸入療法
糖尿病とは、ホルモンの1つであるインスリンが不足して血液中のブドウ糖が増えてしまう病気です。生活習慣などの変化に伴い、患者さんの数は増加しているといわれています。放置しても治ることはなく、進行すると腎症や神経障害などを起こすことがあるため、糖尿病について理解して予防に努めることが大切です。では、糖尿病になるとどのような症状がみられるようになるのでしょうか。
この記事では、糖尿病の症状について解説します。
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記事監修:天野方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
経歴:埼玉医科大学卒業後、東京慈恵会医科大学付属病院や足利赤十字病院などで勤務。2016年、帝京大学大学院公衆衛生学研究科へ入学。2018年、ハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)へ留学。予防医療特化のメディカルクリニックで勤務後、2022年「イーヘルスクリニック新宿院」開院。
専門分野:腎臓内科、抗加齢医学(アンチエイジング)、産業医学
資格:日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士・博士
糖尿病では初期症状が現れないことが一般的です。しかし、以下のような症状がある場合には糖尿病が関係していることが考えられます。
糖尿病は大きく分けて、病気が原因となる1型糖尿病と、原因が明らかではない2型糖尿病があり、種類によって症状の特徴が異なります。
1型糖尿病は全糖尿病患者の5%以下とまれな病気です。インスリンを作り出すβ細胞が何かしらの要因によって破壊され、インスリンをほとんど分泌できないことで起こり、症状は突然現れることが特徴です。
1型糖尿病の代表的な症状として、以下が挙げられます。
2型糖尿病は遺伝のほか、肥満や運動不足などの環境的要因が原因となる病気であり、日本の糖尿病患者さんの約95%が該当します。
2型糖尿病の症状は現れないこともあり、自分が気付かないうちに進行していることがあります。ただし、血糖値が一定のレベルを超えると、以下のような症状が現れることがあります。
糖尿病を放置すると、さまざまな合併症が生じることがあります。それぞれの合併症の特徴と代表的な症状は以下のとおりです。
慢性合併症とは、血糖値が高い状態で生活を送ることで血管に影響が及び(血管病)、臓器にさまざまな障害が起こるものです。
慢性合併症には、細い血管に生じる合併症(細小血管症)と、太い血管に生じる合併症(大血管症)の2種類があります。また、それ以外にも歯周病が悪化したり、皮膚や尿路などの感染症にかかりやすくなったりすることがあります。
血糖値が高い状態が長期間続くと細い血管の血流が悪くなり、細い血管が集まっている箇所に以下のような合併症が起こります。
これらの合併症は三大合併症と呼ばれ、糖尿病の合併症として代表的なものです。
血糖値が高い状態が続くことで、太い血管では動脈硬化(動脈の血管が硬くなり、弾力がなくなった状態)が加速し、血管が詰まりやすくなって以下のような病気を発症することがあります。
急性合併症とは、極度のインスリン作用不足によって突然起こるもので、治療を中断したり、感染症や脱水などが引き金になって高血糖を引き起こしたりします。
血糖値が上昇し、突然喉が渇いたり、腹痛や吐き気を伴ったりすることがあり、酷いときには昏睡状態になることもあります。インスリン不足が原因となるものであり、1型糖尿病でインスリン注射を打たなかった場合などに起こることがあります。
糖尿病ケトアシドーシスと同様、血糖値が異常なまでの高い数値を示す合併症です。高齢者や2型糖尿病を発症している人に起こりやすく、高血糖による意識障害や昏睡状態を引き起こします。
以下では、IgA腎症について解説している記事もあるので、ぜひ参考にしてください。
>>IgA腎症とは?症状や原因、治療法を解説

糖尿病を診断する際には、血液検査による血糖値を基準にして判断します。血糖値は測るタイミングなどによって、(1)早朝空腹時血糖値(2)随時血糖(3)75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)(4)HbA1cがあります。また、数値によって、正常範囲内を示す“正常型”、糖尿病の診断基準内の数値を示す“糖尿病型”、正常型と糖尿病型のどちらの数値にも当てはまらない “境界型”の3段階に分類され、糖尿病は“糖尿病型”に該当する数値が2回確認できた場合、または(1)〜(3)のいずれかと(4)が確認された場合に初めて診断されます。
前述のとおり、糖尿病は“糖尿病型”に該当する数値が2回確認できた際に診断されます。具体的な数値は以下のとおりです。
検査当日の朝食を取らず、空腹状態で採血して血糖値を測定した値のことです。早朝空腹時血糖値が126mg/dL以上の場合、糖尿病型と診断されます。
特に時間を決めずに食後に採血し、血糖値を測定した値のことです。随時血糖値が200mg/dL以上の場合、糖尿病型と診断されます。
ブドウ糖を摂取し、一定の時間が経過するごとに採血を行い、時間による血糖値の変化を調べた値です。具体的には、検査当日の朝まで10時間以上絶食し、空腹状態で採血を行って血糖値を測定します。その後、ブドウ糖液を飲み、30分後、1時間後、2時間後にそれぞれ採血を行い、血糖値を測定します。2時間後に測定した75gOGTT値が200mg/dL以上の場合、糖尿病型と診断されます。
ただし、明らかに高血糖であると考えられる場合は、診断においてこの検査は必要ありません。ひどい高血糖の場合、75g経口ブドウ糖負荷試験を行うことでさらなる高血糖が生じることもあります。
HbA1c検査(採血)を行うことで、過去1~2か月の血糖値の状況を把握することができます。HbA1cとは、赤血球の中の全てのヘモグロビンのうち、血液中の糖と結びついたものの割合のことです。血糖値が高いほどヘモグロビンと結びつくブドウ糖は多くなり、一度ブドウ糖と結びついたヘモグロビンは、赤血球の寿命である120日が経つまで元に戻りません。そのため、血糖値が低い状態が続くとHbA1cの数値は低くなり、血糖値が高い状態が続くとHbA1cの数値は高くなり、直近1~2か月間の血糖値の状況の判断材料となるのです。
数値が5.6%~6.4%で特定保健指導(保健師などによる生活習慣の見直しサポート)、6.5%以上で糖尿病と診断され、医療機関の受診が推奨されます。
糖尿病予備軍(境界型糖尿病)は、以下2点に当てはまる場合に診断されます。

注1)空腹時血糖値が100~109mg/dLの場合、HbA1cが5.6~5.9%の場合では、将来的に糖尿病を発症するリスクが高いという判断になり、特に高血圧や脂質異常症、肥満などがある場合は75g OGTTの検査をすることが望ましいとされています。
注2)空腹時血糖値が110~125mg/dLの場合、HbA1cが6.0~6.4%の場合では、糖尿病の疑いが否定できないという判断となり、75g OGTTの検査を行うことがすすめられています。
糖尿病予備群の段階では、目立った自覚症状がありません。そのため、健康診断で血糖値について指摘されても、糖尿病ではないから大丈夫と考える人も少なくありません。しかし、体の中ではすでにインスリン(血糖値を下げるホルモン)が出にくくなったり、作用しにくくなったりするといった変化が起きているといわれています。
放置すると糖尿病になるリスクが高くなります。実際に糖尿病予備軍の方が糖尿病になる確率は、正常な方の6~20倍ともいわれています。そのため早めの対策が肝心です。
また、糖尿病予備群や糖尿病では動脈硬化を招きやすく、心筋梗塞や脳梗塞などの命に関わる病気の発症率が高くなることが分かっています。正常型の方と比べると糖尿病予備群は2.2倍も心筋梗塞や脳梗塞などの病気を発症するリスクがあるといわれています。そのため、糖尿病予備群に当てはまる方の場合も早めの受診・対策が重要となります。
まず、健康診断で糖尿病予備軍と指摘された場合は、医療機関を受診するようにしましょう。糖尿病予備軍の場合は、糖尿病になるリスクを下げることが大切です。糖尿病の発症リスクを高める要因には、肥満(食べすぎ、運動不足)、過剰な飲酒、喫煙、遺伝などがあげられます。遺伝的な要因は避けられませんが、食事や運動などの生活習慣を見直し、改善することで糖尿病を予防することができるといわれています。実際に海外の研究では、脂肪の摂取量を減らす、食物繊維を30g取る、30分の運動を行う、といった改善によって4年間での糖尿病発症率が半減したという結果が出ています。
>>糖尿病予防のためにできることって? ~バランスのよい食事と続けやすい運動が大切~
具体的な糖尿病予防の対策については、医師や看護師、管理栄養士などの指示に従って行うようにしましょう。また、糖尿病予備軍は自覚症状が乏しいことから、定期的な検診を受け、早期発見に努めることが大切です。少なくとも半年に1回は血糖値の状態をチェックするとよいでしょう。
尿中の糖の濃さを調べます。健康な人の場合はほとんど尿中に糖はでませんが、血糖値が160~180mg/dLを超えると出てくるといわれています。糖尿病の正確な診断材料にはなりませんが、糖尿病を見つけ出す材料として検査されます。
健康診断の尿検査で、ケトン体を指摘されたことはありませんか。ケトン体が検出される原因は、欠食による一時的なものや体調不良の可能性があります。一方でケトン体と尿糖が同時に陽性の場合は、糖尿病が疑われるため注意が必要です。糖尿病はケトン体が増えやすく、糖尿病ケトアシドーシスのリスクが高まります。
尿検査でケトン体が出る原因は、以下の4つがあります。
糖尿病は、ケトン体が上昇する原因の一つです。糖尿病になるとインスリンが不足するため、エネルギー源であるブドウ糖が制限されます。体は代わりに脂肪をエネルギー源にしますが、脂肪分解の過程でケトン体を産生します。
1型糖尿病では膵臓がほとんどインスリンを作れないため、ケトン体が増えやすい状態です。2型糖尿病は、感染症や体調不良などがケトン体の上昇に影響する可能性があります。その結果、ケトン体の増加は、糖尿病ケトアシドーシスを引き起こしやすいことが報告されています。
ケトン体は、体がエネルギー不足に対応する際の生理的な反応としてみられることがあります。食事で炭水化物が減るとエネルギー源を脂肪に切り替え、ケトン体が産生されます。研究でも12時間絶食すると、体はブドウ糖から脂肪代謝へと切り替わることが報告されています。
激しい運動は、エネルギー消費が急激に増えることで脂肪分解が亢進し、ケトン体が増加しやすいです。食事が不十分な状態でアルコールを多量に飲酒すると、肝臓がアルコールの分解を優先するため、糖を作り出す働きが低下します。結果として、エネルギー源の糖が不足し、脂肪分解によるケトン体の産生が促されます。
妊娠中や体調不良の場合、ケトン体が出やすくなります。妊娠中はお腹の赤ちゃんに栄養を送るため、お母さんの体は脂肪をエネルギーとして利用しやすい状態です。研究でも、妊婦さんのケトン尿が一般的であることが報告されています。つわりで食事が十分に摂れないときは、ケトン体がさらに増加しやすいです。
発熱や嘔吐などの体調不良の場合、食事ができず、エネルギー不足で脱水になりやすい状態です。お子さんの場合、大人と比べ、体内に糖を蓄える量が少ない傾向があります。体調不良で食事が摂れずぐったりしている場合は、早めに小児科を受診しましょう。
特定の病気が原因でケトン体が増えることがあります。考えられる病気の一つが甲状腺機能亢進症です。新陳代謝を活発にするホルモンが過剰に分泌される病気です。糖によるエネルギー供給が追いつかず脂肪の分解が進み、ケトン体が増加する可能性があります。
成長ホルモンや副腎皮質ホルモンの過剰分泌も影響します。インスリンの働きが相対的に弱まり、脂肪の分解が促されてケトン体が増える場合があります。ケトン体陽性を指摘された際は、他の症状や体の状態を総合的に見た判断が大切です。
体は食事で摂取したブドウ糖をエネルギー源にしていますが、ブドウ糖を細胞内に取り込むにはインスリンホルモンが必要です。糖尿病は、インスリンの分泌量が減ったり、働きが低下したりするため、血液中のブドウ糖が取り込みにくくなります。
体はエネルギー不足を補うために、脂肪を分解し、肝臓でケトン体を産生します。インスリン不足による脂肪分解が進むと、ケトン体が過剰に増えて血中濃度が上昇します。増えすぎたケトン体は尿中にも排泄されるため、尿検査のケトン体陽性に影響します。
糖尿病ケトアシドーシスは、迅速な対応が大切です。以下の場合は、救急外来を受診するか、必要であれば救急車を呼びましょう。
1型糖尿病の方やインスリン治療中の方が、体調を崩したときは糖尿病ケトアシドーシスを起こしやすいため注意が必要です。尿検査ではケトン体の一部を測定するため、病院では血液検査を行い、正確にケトン体の量を調べて重症度を判断します。
自己判断で様子を見ず、気になる症状がある場合は、かかりつけや救急外来に相談しましょう。
健康診断で指摘された場合、以下のポイントをチェックしましょう。
尿検査で尿糖とケトン体が同時に陽性の場合、血糖値が高い可能性があります。血液検査項目の血糖値やHbA1cの数値を確認し、基準を超えている場合は糖尿病の可能性があります。自覚症状の有無に関わらず、内科や糖尿病内科を受診しましょう。
健診前に発熱や嘔吐などで食事が十分に摂れなかった場合も、一時的にケトン体が陽性となる場合があります。最近の体調の変化を振り返ることも大切です。
糖尿病治療中の方には、シックデイルールがあります。風邪や胃腸炎などで食事が摂れない(シックデイ)場合は、血糖コントロールが乱れやすくなります。日常生活では、以下の点に注意しましょう。
食事をしていなくても、体は糖を作り出し血糖値が上がります。自己判断で治療を止めると、血糖値悪化の可能性があります。体調不良時は、事前に医師から指示された通りに対応しましょう。
脱水予防のため、水分や経口補水液などをこまめに飲むことも大切です。食欲がなくても、消化が良くエネルギーになるものを摂りましょう。血糖値は定期的に測定し、体の変化を正確に把握します。
吐き気で水分も摂れない、血糖値が高いままで下がらない、意識がはっきりしないなどの場合は注意が必要です。医師に相談するか、夜間でも救急外来を受診しましょう。
血液中のタンパクの一種であるアルブミンとブドウ糖が結合したもので、1~2週間前の血糖値の状態を反映します。
1,5-AGは、血液中の糖の中でブドウ糖の次に含まれるもので、過去数日間の血糖コントロールの指標となります。血中の1,5-AGは尿糖が出るほど減るため、数値が低いほど血糖コントロールが悪いことが判明します。
血糖値が高い状態が続くと、神経や腎臓、目などに病気が生じることがあります。これを糖尿病における慢性合併症といいます。糖尿病によって合併症を起こさないようにするために、あるいはすでに合併症がある場合には悪化させないために、血糖コントロール(血糖値を適切な数値に維持すること)が重要です。血糖コントロールを行うために、食事や運動、薬による治療が行われます。
血糖コントロールの目標数値は下記のとおりです。
糖尿病による合併症を起こさない、もしくは悪化させないためにはHbA1cを7%未満にすることが推奨されています。
ただし、体の状態や治療内容は一人ひとり異なるため、目標値もその人に合ったものを設定する必要があります。一般的に、高齢者や合併症が進行している方は目標数値を緩やかに、若年者や妊娠中の方はより厳しい数値に設定したほうがよいとされています。そのため、目標数値の詳細は主治医に確認しておきましょう。
糖尿病の初期症状は明確な自覚症状がないことも多いため、上記で解説した糖尿病の症状や合併症の症状に当てはまる体調の変化を感じたら、早めに受診を検討するとよいでしょう。また、診断済みの場合には、医師の指示の下で生活習慣の改善や治療を行い、合併症の予防に努めるようにしましょう。
糖尿病について当院のコラムでも詳しく解説しているので、知りたい方はぜひチェックしてみてください。
当院では、糖尿病の治療を行っています。
検査などが必要な場合を除き、オンライン診療も対応しています。
また、管理栄養士が在籍しているため、食生活の手厚いサポートも可能です。
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