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2022.10.31
#腎臓内科 #対象疾患

糖尿病治療薬のSGLT2阻害薬とは? 特徴と注意すべき点などを理解して正しく服用しよう

糖尿病とは、インスリンの分泌や作用が十分に機能せず、血糖値が慢性的に高くなる病気です。糖尿病治療薬には多くの種類がありますが、その中でもSGLT2阻害薬は、腎臓でのブドウ糖の再吸収を抑え、体外への排泄を促す作用があります。特に食後高血糖や空腹時高血糖の改善に効果が期待されています。

この記事では、どの部位に作用し、どのようなメカニズムで血糖値を下げるのかなどSGLT2阻害薬の特徴を解説します。適している患者さんのタイプや注意すべき副作用なども把握しましょう。

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記事監修:天野方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
経歴:埼玉医科大学卒業後、東京慈恵会医科大学付属病院足利赤十字病院などで勤務。2016年、帝京大学大学院公衆衛生学研究科へ入学。2018年、ハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)へ留学。予防医療特化のメディカルクリニックで勤務後、2022年「イーヘルスクリニック新宿院」開院。
専門分野:腎臓内科、抗加齢医学(アンチエイジング)、産業医学
資格:日本腎臓学会専門医・指導医抗加齢医学会専門医日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士・博士

糖尿病とSGLT2阻害薬

SGLT2阻害薬は腎臓の近位尿細管に作用し、ブドウ糖の体内再吸収を抑える効果があります。血液中の余分なブドウ糖が尿として排出され、血糖値が下がります。インスリンに依存せずに血糖値を調整できる点が大きな特徴です。SGLT2阻害薬は、基本的に2型糖尿病(主に生活習慣などが原因となる糖尿病)に使用される経口血糖降下薬です。

SGLT2阻害薬について詳しく知りたい方は以下のページを合わせてご覧ください。
>>SGLT2阻害薬の大規模臨床試験の分析|腎機能が低下した慢性腎臓病患者でも効果あり

SGLT2阻害薬の作用の仕方

血糖(血液内にあるブドウ糖)は、腎臓にある糸球体でろ過された後、尿細管を通って体内に戻されます。これを再吸収といいます。再吸収のはたらきをしているのが、SGLT2という物質で、健康な場合は糖が体の外に排泄されることはありません。

SGLT2阻害薬は、再吸収を妨げます。再吸収を邪魔されたブドウ糖は、体の外へ排泄され、その結果血糖値が下がることになります。

糖尿病治療でのSGLT2阻害薬の位置づけ

糖尿病治療薬には、さまざまな種類があります。インスリン製剤はインスリンそのものを体内に入れるもので、自己注射で行われます。飲み薬でも、インスリンの抵抗性を改善するもの、インスリンの分泌を促すもの、糖の吸収、排泄を調整するものに分かれます。

なかでも、SGLT2阻害薬は、他の糖尿病治療薬とは異なり、インスリンの分泌や感受性に依存せず、腎臓での糖の排泄を促すことで血糖値を下げます。特に血糖値が高くなる食後高血糖や空腹時高血糖の改善に有効とされています。また、他の薬剤と併用して使用されることが多く、糖尿病治療において重要な位置を占めています。

SGLT2阻害薬の特徴

経口の糖尿病治療薬は、それぞれの特徴に応じて単独、あるいは組み合わせて処方されるのが一般的です。SGLT2阻害薬の特徴は以下のとおりです。

  • インスリン自体に作用しないため、単独使用で低血糖*になる危険性は低い
  • カロリー消費から脂肪分解が促されるため、体重減少が期待できる
  • インスリンの分泌に関わる膵β細胞を刺激しないため、インスリンの分泌を促進する効果がある薬と併用できる
  • 成人1型糖尿病の補助療法という位置づけで使用が認められているものがある

*低血糖:低血糖とは血糖値が正常な範囲を超えて低下した状態のことです。頻脈やけいれん、震えなどが現れ、重度になると意識障害なども起こります。糖尿病治療薬を使用している際、もっとも注意が必要な副作用です。

また近年では、慢性腎臓病や慢性心不全に対する有効性が認められたことから、SGLT2阻害薬は糖尿病治療薬としてだけではなく、腎臓病や心不全の患者さんにも使用されることがあります。

SGLT2阻害薬を用いる際の注意点

特徴や利点は注意点にもなります。注意点については以下のとおりです。

  • 体重減少は肥満でない人にも認められる(特に高齢者では注意が必要)
  • 腎機能が低下している人では効果が下がる
  • 作用から血糖コントロールが良好な人でも、尿糖は陽性になる
  • 腎不全や、透析を行っている人には使用できない
  • 尿量が増えるため、脱水が起こりやすい(特に高齢者では注意が必要)
  • 尿路感染症、性器感染症に注意する必要がある(特に女性)
  • 脂肪分解が促されるため、ケトーシス*に注意が必要になる

*ケトーシス:ケトーシスとは、血液中の“ケトン体”が多い状態のことです。特に低炭水化物食を摂取している患者さんは注意が必要です。体内のブドウ糖が減ると、エネルギー不足が起こります。すると体は脂肪を分解してエネルギーをつくりますが、副産物としてケトン体を作ります。ケトン体が増えることで血液が酸性になり、意識障害のような副作用をもたらす危険があります。

適正な使用のためにもわからないことは医師に相談を

SGLT2阻害薬は、腎臓の近位尿細管におけるブドウ糖再吸収を抑え、尿中への排泄を促進することで血糖値を下げる薬です。単独使用では低血糖のリスクが低く、体重減少効果も期待できるため、特に肥満を伴う2型糖尿病の患者さんに適しています。ただし、脱水やケトーシスといった副作用をもたらす可能性があります。

医療機関でSGLT2阻害薬を処方された場合は、服用のための説明書を必ず確認しましょう。また、お薬手帳なども活用し、気になる症状が現れ場合は、医師、あるいはかかりつけの薬局などに相談するようにしましょう。日頃から相談しやすい関係をつくっておくことが大切です。

イーヘルスクリニック新宿院の糖尿病内科では、糖尿病の診療を行っています。本人の生活スタイルなどに合わせたよりよい治療法を提案できるよう、医師はもちろん、看護師や管理栄養士などがチームになって高血圧の改善をサポートします。ご不安なことがあればお気軽にご相談ください。

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