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2022.10.18

ピロリ菌の検査から治療までの流れとは~検査と治療の必要性や内容についてご紹介~

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、胃炎や()十二指腸潰瘍(じゅうにしちょうかいよう)の原因となったり、胃がんの発生リスクを高めたりする可能性がある細菌です。ピロリ菌は感染経路が不明であるため、感染を予防するのは難しいですが、胃炎などが判明した場合は早期に検査・治療することによって、胃がんへの進行を予防できるといわれています。

そこで今回は、ピロリ菌検査を行うタイミングや検査から治療までの流れ、治療内容などについて解説します。

ピロリ菌検査から治療までの流れ

ピロリ菌の除菌治療を行う前に、まずは治療の対象となるのかどうかを検査で確認します。検査の方法とタイミングは以下のとおりです。

ピロリ菌検査を行うタイミング

ピロリ菌検査を行うタイミングは、内視鏡検査などで胃炎や胃・十二指腸潰瘍があることが分かった後になることが一般的です。また、以下の病気や状態にある場合も、ピロリ菌検査を行うことがあります。

  • 胃炎や胃・十二指腸潰瘍の再発を繰り返している
  • 早期の胃がんの内視鏡的治療を行った
  • 胃MALTリンパ腫を発症している
  • 免疫性(特発性)血小板減少性紫斑病を発症している

上記に該当する場合、ピロリ菌検査には保険が適用されることが一般的です。それ以外の場合も、人間ドックや検診などであれば、自費で検査を受けることが可能です。

ピロリ菌検査の方法

ピロリ菌検査の種類は豊富で、内視鏡を使用する方法・使用しない方法のどちらも存在します。 内視鏡を使用しない検査方法には、以下の3種類があります。この中でも、血液などを用いた抗体検査は簡便であるため、健診などで実施されることもある一般的な検査方法です。

  • 尿素呼気試験:診断薬を服用した後の呼気を集めて調べる
  • 糞便中抗原測定:糞便の中にピロリ菌の抗原があるかどうかを調べる
  • 抗体測定:血液や尿の中にピロリ菌の抗体(体内から異物を排除するタンパク質)があるかどうかを調べる

内視鏡を使用する主な検査方法は、以下の3種類です。

  • 迅速ウレアーゼ試験:ピロリ菌が出すアンモニアの反応の有無を試薬で調べる
  • 鏡検法:顕微鏡で胃の組織にピロリ菌がいるかどうかを調べる
  • 培養法:胃の組織を培養し、ピロリ菌が増殖するかどうかを調べる

以上の検査はどれも100%の結果が出せるわけではなく、偽陰性になる(感染しているのに陰性になる)ことがあり、複数の検査を行うことでより正確に判定できるとされています。

ピロリ菌の除菌治療

検査によってピロリ菌に感染していると判明した場合は、除菌治療を受ける必要があります。除菌治療を行うことで、胃炎の改善、胃・十二指腸潰瘍の再発予防、胃がんの発症リスク低下などにつながるとされています。

ピロリ菌の除菌治療の方法

ピロリ菌の除菌治療では、胃酸の分泌を抑える薬と2種類の抗生物質を1週間服用することが一般的です。必要に応じて、胃の粘膜を保護する薬を使うこともあります。除菌治療の成功率は約8割で、除菌できなかった場合は再度除菌を行います。

治療後に効果を測定する(判定検査)

ピロリ菌は、1度の治療では除菌しきれないことがあります。そのため、薬を服用した後に判定検査を行い、ピロリ菌がいなくなったかどうかをチェックすることが重要です。除菌治療完了から4週目以降に、尿素呼気試験か糞便中抗原測定のいずれかで判定検査を行うことが一般的です。

また、1回目の治療でピロリ菌が除菌できなかった場合は、1回目とは違う薬を使って2次除菌を行います。2次除菌で除菌しきれなかった場合は3次除菌、3次除菌でもダメだった場合は4次除菌と、繰り返し除菌治療を行うことがあります。

ピロリ菌感染は早期の検査・治療が大事

ピロリ菌に感染したまま放置すると、胃炎などを引き起こすだけでなく、胃がんにつながることもあります。そのため、胃炎の改善、胃・十二指腸潰瘍の再発予防、胃がんの発症予防などのためにも、早期に検査・治療を行うことが大切です。

また、治療後は除菌が成功したかどうかをチェックするために、判定検査を受ける必要があります。判定検査のタイミングは医療機関によって異なるので、医師の指示にしたがって受診しましょう。さらに除菌治療が終わっても胃がんのリスクがゼロになるわけではないため、定期的に検査を受け、胃がんの早期発見に努めることが大切です。