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2023.02.09
#糖尿病内科(内分泌・代謝外来) #対象疾患

糖尿病と糖質制限の関係!食事療法のポイントと注意点を解説

糖尿病と診断されたことで、食事制限に対して不安を抱える方がいます。厳しいカロリー制限を想像し、憂鬱になる方も少なくありません。糖尿病の食事療法に取り入れられているのが糖質制限です。糖質制限は調理やメニュー選択を工夫することで、楽しく食事療法を続けやすくなります。

この記事では、糖質制限の仕組みから安全な実践方法までを解説します医師や管理栄養士の指導のもと、食事療法のポイントを理解し、正しい知識を身につけて、適切な治療を進めましょう。

イーヘルスクリニック新宿院では、血糖値や体格、生活スタイルを踏まえた無理のない糖質コントロールをご提案します。医師が全身状態を評価し、必要に応じて栄養指導も実施します。まずはお気軽にご相談ください。

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記事監修:天野方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
経歴:埼玉医科大学卒業後、東京慈恵会医科大学付属病院足利赤十字病院などで勤務。2016年、帝京大学大学院公衆衛生学研究科へ入学。2018年、ハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)へ留学。予防医療特化のメディカルクリニックで勤務後、2022年「イーヘルスクリニック新宿院」開院。
専門分野:腎臓内科、抗加齢医学(アンチエイジング)、産業医学
資格:日本腎臓学会専門医・指導医抗加齢医学会専門医日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士・博士

糖質制限が注目される理由

糖尿病の食事療法で糖質制限が注目されている主な理由について、以下の4つを解説します

  • 血糖値・HbA1cが下がる仕組み
  • インスリンへの影響
  • カロリー制限との違い
  • 食事療法の基本的な考え方

血糖値・HbA1cが下がる仕組み

糖質制限は、血糖値を上げる糖質の量を減らす食事療法です。糖質の摂取量を調整することで、食後の血糖値の急上昇を抑え、HbA1cの改善が期待できます。食後の血糖値の急激な変化は、血管にダメージを与える要因の一つです。食後の血糖値の変動を抑えることで、糖尿病の合併症リスクの低減が期待できます。

HbA1cは、過去1〜2か月の血糖値の平均を反映する指標です。日々の血糖値が安定することで、HbA1cの改善を目指せます。研究によっては、炭水化物制限による糖質制限でHbA1cの低下を示しました。糖質が多く含まれている食品を控えることで、血糖管理の安定が期待できます。

インスリンへの影響

インスリンは、すい臓から分泌されるホルモンで、血液中のブドウ糖を細胞に取り込み血糖値を下げる働きがあります。食事で糖質を摂ると血糖値が上がるため、すい臓はインスリンを出して血糖値を下げようとします。糖質を多く摂ると、すい臓は必要以上にインスリンを出さなければなりません。

糖質制限はインスリン分泌量を抑え、すい臓への負担軽減につながります。糖質制限は体重や内臓脂肪の減少に期待できます。内臓脂肪が減ると、インスリンの働きが改善されることがわかっています。インスリンの働きを助け、すい臓の負担を軽減することが、糖尿病の進行抑制において重要です。

カロリー制限との違い

従来の食事療法はカロリー制限食で、摂取する総エネルギー(カロリー)を制限することで減量効果を目指していました。糖質制限とカロリー制限の違いは、以下の表のとおりです。

カロリー制限では、指定されたごはん量を摂れますが、糖質が含まれているため食後の血糖値が上昇しやすいです。日本人を対象とした研究調査では、摂取カロリーやBMIが血糖コントロールに直接関連しないことが報告されています。

カロリーを制限して減量するだけでは、血糖値のコントロールが不十分である可能性があります。糖質制限は肉や魚、野菜などを食べられるため、満足感を得やすいと感じる方が多いです。

以下の記事では、糖尿病の食事療法における栄養指導の具体的な内容や実践しやすい食事のポイントについて解説しています。
>>糖尿病の食事療法における栄養指導の内容とは?〜食事のポイントをご紹介〜

食事療法の基本的な考え方

糖尿病の薬物療法を導入している方が自己判断で糖質制限を始めると、低血糖になる可能性があります。糖質制限は、病状やお薬の種類によって内容が異なるため、開始する際は医師や管理栄養士に相談してください。専門家とともに栄養バランスや生活習慣の見直しや、糖質の代わりに以下の栄養分を補います。

  • タンパク質
  • 脂質
  • ビタミン
  • ミネラル
  • 食物繊維

多様な食品をバランス良く組み合わせることが大切です。運動習慣や睡眠、ストレス管理なども血糖値に影響します。ご自身の生活習慣を振り返り、糖尿病と上手に付き合うために医師や管理栄養士に相談しましょう。

糖質制限の実践方法

糖質制限を実践するための具体的な方法について、以下の4つを解説します。

  • 1日の糖質量の目安
  • 食べてよい食品・控えたい食品リスト
  • 外食・コンビニでのメニュー選びのコツ
  • 献立作りを続けるための調理・レシピの考え方

1日の糖質量の目安

糖質制限の制限内容は、レベルごとに摂取量の目安が異なります。ご自身の糖質制限目安は、医師と相談して決めましょう。3つの糖質制限レベルと特徴をまとめた表は以下のとおりです。

糖尿病の治療では、スタンダード糖質制限以上が推奨されることがあります。糖尿病の薬物療法を導入されている方の急激な糖質制限は、低血糖状態になる可能性があるため、注意が必要です。

食べてよい食品・控えたい食品リスト

糖質制限の基本は糖質の多い食品を減らし、タンパク質や脂質を摂ることです。具体的な食品リストを下記の表にまとめています。毎日の食事の中で意識できるようにしましょう。

加工品は、つなぎに糖質が使用されている場合があるため、栄養成分表示を確認してください。食後の血糖値を急激に上げやすい糖質を多く含む食品を、以下の表にまとめました。日頃の摂取量を減らすことから意識しましょう。

白米を玄米に、パンを全粒粉パンに変更するなど主食の食品からの見直しが実践しやすくおすすめです。

外食・コンビニでのメニュー選びのコツ

外食やコンビニの利用が多い方でも、メニュー選びのコツを知れば糖質の摂りすぎを抑えられます。外食するときは、定食屋や居酒屋などで単品注文できるお店がおすすめです。

主食の代わりにサラダチキンや焼き魚、おでんなどを選択すると満足感が得られます。副菜には、ほうれん草のおひたしや惣菜を取り入れるとバランス良く摂取できます。間食が欲しい場合は、ナッツやチーズなど甘さを控えた商品を選び糖質制限に取り組みましょう。

献立作りを続けるための調理・レシピの考え方

毎日糖質制限メニューの献立を作り続けるのは大変です。長続きさせるためには、完璧を目指さず、無理なく続けることが重要です。糖質制限を継続させる調理の考え方は、以下を意識しましょう。

  • 主食を置き換える
  • 調理法を工夫する
  • 調味料を見直す
  • 作り置きを活用する
  • 家族の食事と両立する

白米の代わりに細かく刻んだカリフラワーや豆腐に置き換えるのが簡単です。「焼く」「蒸す」「煮る」などのシンプルな調理法は、余計な糖質を加えにくく、素材を味わえます。砂糖やみりんの代わりに、糖質ゼロの甘味料を使ってみましょう。醤油や味噌、ハーブなどを活用すると、味に深みが出ます。

時間に余裕がある際には、きのこのマリネや鶏肉のハーブ焼きなど、糖質の低い常備菜を作り置きしておくと忙しい日でも便利です。家族には通常通りの食事を用意し、自分だけ主食を抜くなどの工夫で、食卓を分けるストレスを減らせます。

糖質制限のメリット・デメリット

糖質制限のメリット・デメリットについて、下記の3つを解説します。

  • 血糖管理・体重への効果
  • 低血糖・栄養不足のリスク
  • 糖質制限が向いている人・注意が必要な人

血糖管理・体重への効果

糖質制限のメリットの一つとして、血糖管理の改善と体重減少の効果が期待できます。糖質制限による食後の血糖値をコントロールすることで、日々の血糖値の安定が期待できます。血糖管理の安定は、長期的な指標であるHbA1cの改善や体重管理にも役立ちます。

血糖コントロールに悩まれている方や、体重増加・内臓脂肪の増加に悩まれている方は、糖質制限に取り組むメリットがあります。

低血糖・栄養不足のリスク

糖質制限で注意すべきリスクは、低血糖と栄養不足です。特に糖尿病のお薬を使っている方は低血糖に注意が必要です。お薬は、今までの食事で糖質を摂ることを前提に処方されています。自己判断で急に糖質を減らすと、薬が効きすぎて低血糖になる可能性があります。

間違った糖質制限を行うと、栄養バランスが崩れ栄養不足になる可能性があります。栄養不足による全身への影響や出現しやすい症状は、以下の表を参考にしてください。

低血糖は、冷や汗や手の震え、動悸などの症状が出現します。ご自身の症状変化に気づかれた場合は、医師や管理栄養士に食事内容を相談して見直してください。

糖質制限が向いている人・注意が必要な人

糖質制限は、すべての人におすすめできる食事療法ではありません。体の状態によっては健康を損なう可能性もあります。ご自身の状態に適しているのか確認することが大切です。

糖質制限は、2型糖尿病で肥満や内臓脂肪が多い方、食後の血糖値が高くなりやすい方は導入を検討する必要があります。導入後は、医師や管理栄養士の指導を守り定期的に通院できることも必要です。以下の項目に当てはまる方は、体に負担がかかる可能性があるため、糖質制限はおすすめできません。

  • 腎臓の機能が落ちている
  • 重い肝臓の病気がある
  • 既往歴に膵炎がある
  • 1型糖尿病である
  • 妊娠中、または授乳中である
  • ご高齢で食が細く筋肉が少ない
  • 成長期のお子さん

持病や体の状態によって、適切な食事は異なります。安全に治療を進めるため、糖質制限を導入する段階であるのか、医師の判断を確認してください。

糖質制限の注意点

糖質制限の注意点について、以下の5つを解説します。

  • 薬物治療中の低血糖対策
  • 腎臓病がある場合の注意
  • 1型糖尿病・妊娠中・高齢者は要注意
  • 自己判断が危険な理由
  • リバウンドを防ぐ食事の戻し方

薬物治療中の低血糖対策

糖尿病の薬物治療中の方が糖質制限を導入する際には、低血糖対策を準備する必要があります。低血糖は、対応が遅れるとけいれんや昏睡など重症化するため、日頃から事前対策を準備しておきましょう。

外出時は、低血糖になったときのためにブドウ糖やジュース、飴などを常に持ち歩いてください。低血糖症状を感じた際や、食前などこまめに血糖値を測定することをおすすめします。

ご自身の血糖値の動きを把握することが、低血糖の予防につながる可能性があります。安全に治療を進めるために、血糖値データや食事内容など医師と管理栄養士との情報共有が不可欠です。

腎臓病がある場合の注意

糖尿病が進行すると腎臓の機能が低下する「糖尿病性腎症」を引き起こす可能性があります。腎臓の機能が低下している方が糖質制限を行う場合は、注意深く進める必要があります。

糖質を制限すると、肉や魚などのタンパク質を多く摂る傾向があります。タンパク質は体内で利用された後、老廃物となり腎臓で濾過されて排出されます。腎臓の濾過機能が低下すると、負担がかかり腎臓を悪化させる可能性があります。

腎機能の低下や糖尿病性腎症と診断されている方は、自己判断で糖質制限を始めるのは避けてください。腎臓の状態に合わせて、タンパク質の摂取量を厳密に管理する必要があります。医師や管理栄養士に相談し、ご自身の腎臓に合わせた食事指導を受けましょう。

1型糖尿病・妊娠中・高齢者は要注意

糖質制限は、1型糖尿病や妊娠中の方、ご高齢の方などにはおすすめできません。糖質制限によって、低血糖や筋力低下を起こす可能性があります。1型糖尿病は、インスリンを自分で作ることができません。食事で摂る糖質の量と、注射するインスリンの量を調整する必要があります。

最近の研究では、食事や腸内環境が1型糖尿病に関わる可能性も指摘されており、治療には専門的な管理が不可欠です。自己判断で糖質を極端に減らすと、インスリンとのバランスが崩れ、低血糖や「糖尿病ケトアシドーシス」という重篤な状態に陥るリスクがあります。

妊娠中の方は、胎児が育つために糖質を含めた栄養が必要です。妊娠糖尿病の方の極端な糖質制限は、ケトン体を増やし胎児に影響を与える可能性があります。ご高齢の方の糖質制限は、エネルギー不足による筋力低下を招くリスクがあります。活動的な日常を送るためには、食事エネルギーは不可欠です。

以下の記事では、糖尿病でみられる症状について、1型糖尿病を解説しています。
>>糖尿病ではどんな症状が出るの? 〜初期症状や種類別の症状をご紹介〜

自己判断が危険な理由

自己判断の糖質制限は、リスクを察知できないため注意が必要です。自己判断が危険な理由は以下のとおりです。

  • 低血糖のリスク:薬物治療中の方が低血糖を起こす可能性
  • 栄養バランスの偏り:必要なビタミンやミネラル、食物繊維が不足
  • 隠れた病気の悪化:糖質制限が病状を悪化させる可能性
  • 生活の質の低下:過度な制限による心理的負担と過食の可能性

定期的に血糖値や血液検査の数値的な評価のもとで、ご自身に適した方法を調整することが大切です。糖質制限を始めたい場合は、現在の身体状況を医師に客観的に判断してもらいましょう。

リバウンドを防ぐ食事の戻し方

糖質制限で血糖値や体重管理が目標に到達した後も、リバウンドを防ぐために引き続き注意が必要です。元の食生活に戻すと、血糖値が急上昇したり、体重が戻ったりリバウンドが起きやすいです。リバウンドを防ぐためには、糖質の質を選び、量を少しずつ増やしましょう

1日の糖質量を10〜20gずつ増やし、1〜2週間ほど体重や血糖値の変化を見ます。問題がないことを確認して、段階的に糖質を増やします。糖質を戻した後も、野菜から先に食べるベジファーストを続け、糖質吸収をゆるやかにさせましょう。

ご自身の体の変化を観察しながら、段階的に食事を調整していくことがリバウンドを防ぐために重要です。

まとめ

糖質制限は、正しく行えば血糖コントロールや体重管理に役立ちます。自己判断の糖質制限は低血糖や栄養不足などのリスクを伴います。糖尿病のお薬を処方されている方や持病のある方は、低血糖時の対策を準備しておく必要があります。

糖質制限で重要なのは、ご自身の体の状態を正しく知り、専門家と相談しながら進めることです。食事療法を開始したい方は、かかりつけの医師や管理栄養士に糖質制限に興味があることを伝えてください。血糖値や体重管理などの評価を定期的に行い、ご自身に適した方法を専門家と相談しながら安全な糖質制限を実施しましょう。

イーヘルスクリニック新宿院では、血糖や体重、服薬状況を確認しながら安全な糖質制限をサポートします。定期検査と丁寧なフォローで、無理なく続けられる食事療法をご提案します。まずは一度ご相談ください。

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