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2022.07.29
#自費診療 #対象疾患

腎臓の働きを調べる指標「eGFR」とは?検査方法や異常が見つかった場合の対処法を解説

腎機能の低下に多くの方が悩んでいますが、原因は何でしょうか?腎機能を測定するeGFR(推算糸球体濾過量)について、意味や重要性を詳細に解説します。eGFRが示すのは、腎臓がどの程度効率よく老廃物を排出しているかです。記事を読むことで、腎機能の低下を未然に防ぐための知識と対策が得られます。最終的に、健康な生活を送るための重要な一歩となるでしょう。

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記事監修:天野方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
経歴:埼玉医科大学卒業後、東京慈恵会医科大学付属病院足利赤十字病院などで勤務。2016年、帝京大学大学院公衆衛生学研究科へ入学。2018年、ハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)へ留学。予防医療特化のメディカルクリニックで勤務後、2022年「イーヘルスクリニック新宿院」開院。
専門分野:腎臓内科、抗加齢医学(アンチエイジング)、産業医学
資格:日本腎臓学会専門医・指導医抗加齢医学会専門医日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士・博士

eGFRとは腎臓が老廃物を尿に排出する機能の程度を示す数値

eGFR(推算糸球体濾過量)とは、腎臓が老廃物を尿に排出する機能の程度を示す数値で、低いほど腎機能が低下しているといえます。また、慢性腎臓病(腎障害が3か月以上続いている状態)の進行度(ステージ)を確認できる指標にもなっています。

腎機能が低下する原因としては、加齢や生活習慣(肥満につながるような食生活、運動不足、喫煙など)、高血圧症、糖尿病や感染症などさまざまなものが挙げられます。

eGFRの検査方法とは?

eGFRは、血液検査で分かる血清クレアチニン値の指数(女性:-1.094、男性:-1.094)と、年齢と性別を使った計算式によって数値を導きだします。

計算式は以下のとおりです。

男性:194×血清Cr-1.094×年齢-0.287

女性:194×血清Cr-1.094×年齢-0.739

より正確な数値を出すためには、クリアランス検査が必要となります。これは、一定の時間に尿の中にクレアチニンやイヌリンといった物質がどの程度排泄され、どの程度血液中に残っているかを測定する検査です。ただし、最低でも2時間は尿をためる必要があり、簡単にできるものではないため、上記の計算によってクリアランス検査の結果を推定したものがeGFR値となります。

健康診断で行う一般的な検査がきっかけで腎臓病が発見されることも多いとされています。また、すでに腎臓病と診断されている場合、進行度合いを確認するために定期的に検査が行われることもあります。

eGFRの検査前のポイントとは?

血液検査のため、採血時に注射針を刺す痛みを伴います。食事制限などは基本的にありませんが、医師から指示があれば従いましょう。また、気になる症状がある場合は保険適用で検査が受けられる場合もあります。

eGFRの基準値と異常値

eGFRの数値に異常がある場合は、腎臓の機能に異常がある可能性があります。慢性腎臓病の場合は数値によってステージ1(G1)~ステージ5(G5)の5段階に分けられます。詳細は以下のとおりです。

基準値

eGFRの基準値は90以上です。この場合、腎臓のはたらき具合は正常または高いと判断でき、慢性腎臓病ではありませんが、慢性腎臓病のステージに換算するとG1に当てはまります。

異常値

eGFRが90未満の場合は、腎機能が低下していると判断されます。詳細は以下のとおりです。

60以上90未満(G2)

腎機能は正常または軽度に低下している可能性があります。慢性腎臓病においてはステージG2となりますが、タンパク尿()が出ているといった腎障害がなければ、慢性腎臓病ではないとされています。

30以上60未満(G3)

腎機能が正常の3分の1~3分の2くらいに低下している可能性があります。

慢性腎臓病においては、疑いのあるステージG3の状態です。この場合、透析治療が必要となる重い腎不全の予備軍と考えられ、心筋梗塞(しんきんこうそく)や狭心症、脳卒中などの心血管疾患を発症しやすい状態でもあるため、注意が必要です。

15以上30未満(G4)

腎機能が大幅に低下している可能性があります。慢性腎臓病の場合はステージG4の状態です。透析治療が必要となる重症な腎不全になるリスクが高く、心筋梗塞や狭心症、脳卒中などの心血管疾患を発症しやすい状態でもあるため、注意が必要です。

また、慢性腎臓病の場合は、腎機能の低下によって貧血、ミネラルや骨の異常などを合併している可能性が高いとされています。

15未満(G5)

末期腎不全の可能性があり、慢性腎臓病の場合は、ステージがG5となります。この場合は貧血、ミネラルや骨の異常などを合併している場合がほとんどだとされています。

異常が見つかった場合

eGFRが90未満の場合は、腎機能が低下していると推定され、場合によっては慢性腎臓病の可能性もあります。さらに、ほかの病気のリスクがあったり、さまざまな合併症を発症したりしていることもあるため、受診を検討するなど適切な対応を取りましょう。

60以上(G1、G2)

eGFRが60以上であれば、慢性腎臓病の可能性は低いと考えられます。ただし、尿検査で蛋白尿などの異常が続いている場合は慢性腎臓病の疑いもあるため、早めに医療機関を受診するとよいでしょう。

また、慢性腎臓病は自覚症状がないといわれています。そのため、検査では異常がなくても、年に1度程度は健康診断などで検尿や採血を受け、早期発見に努めるとよいでしょう。

そのほか、高血圧症や糖尿病、メタボリックシンドローム、肥満の方、喫煙している方、家族に腎臓病患者さんがいる方などは慢性腎臓病になりやすく、なったときに進行が早くなるリスクにもなるとされています。そのため、これらに当てはまる方は薬による病気の治療や、生活習慣の改善(バランスのよい食生活、野菜をたくさん取り、塩分・脂肪・アルコールの過剰摂取を控える、適度な水分補給、適度な運動、禁煙など)に取り組むとよいでしょう。

30以上60未満(G3)

慢性腎臓病の疑いがあるため、早めに医療機関を受診しましょう。適切な治療によって、心筋梗塞や狭心症、脳卒中などの心血管疾患のリスクを減らすことができるといわれています。

また、腎機能低下によって貧血、ミネラルや骨の異常などを合併している場合はその治療が必要です。さらに、高血圧症や糖尿病、脂質異常症、肥満などは慢性腎臓病の悪化につながるため、薬物療法や生活習慣の改善を行うほか、禁煙も必要とされています。そして、このような病気がなくても、前述したような生活習慣の改善に努めるとよいでしょう。

15以上30未満(G4)

腎機能が大幅に低下している可能性があるため、すぐに医療機関の受診が必要とされています。慢性腎臓病の場合、適切な治療によって、心筋梗塞や狭心症、脳卒中などの心血管疾患のリスクを減らすことができるといわれています。

また、腎機能低下によって貧血、ミネラルや骨の異常などを合併している可能性が高いため、その場合は薬による治療が必要とされています。さらに、ほかのステージと同じく生活習慣病の治療や生活習慣の改善に取り組むとよいでしょう。

15未満(G5)

透析などを要する直前の状態なので、すぐに医療機関を受診する必要があるとされています。また、貧血、ミネラル異常、骨の異常などの合併症の治療や透析、腎移植の説明を受ける必要があります。

まとめ

本記事では、eGFRの基準値と異常値の見分け方、それが示す腎機能の状態を解説しました。重要なポイントは以下のとおりです。eGFRの基準値は90以上で、腎機能が正常または高いと判断されます。90未満は腎機能低下の疑いあり、さらに低い値では腎臓病の進行が懸念されます。 この情報をもって、早期の検査と適切な対策で腎機能の低下を防ぎましょう。

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