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2026.05.20
#腎臓内科 #対象外来

IgA腎症の原因と治療法!進行を防ぐための早期対策と生活習慣の改善

健康診断で「尿に異常がある」と指摘されたものの、自覚症状がないために放置していませんか?異常の裏には、腎臓病のひとつ「IgA(アイジーエー)腎症」が潜んでいる可能性があります。「静かな病気」とも呼ばれるIgA腎症は、自覚症状がほとんどないまま、腎臓の機能が徐々に損なわれていくのが特徴です。

早期に適切な対策を講じれば、病気の進行を抑え、大切な腎臓を守ることが可能です。本記事では、IgA腎症の原因や治療法、進行を防ぐための生活習慣の改善について解説します。病気に対する理解を深め、前向きに治療へ取り組むための一助となれば幸いです。

イーヘルスクリニック新宿院では、慢性腎臓病の早期発見から生活習慣の見直し、薬物療法まで、一人ひとりの状態に合わせた診療を行っています。

腎臓の機能低下は自覚症状が少ないまま進行することも多いため、健康診断で数値の異常を指摘された方や、むくみ・だるさなどが気になる方は、早めの受診が大切です。慢性腎臓病が気になる方は、まずは一度ご相談ください。

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記事監修:天野方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
経歴:埼玉医科大学卒業後、東京慈恵会医科大学付属病院足利赤十字病院などで勤務。2016年、帝京大学大学院公衆衛生学研究科へ入学。2018年、ハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)へ留学。予防医療特化のメディカルクリニックで勤務後、2022年「イーヘルスクリニック新宿院」開院。
専門分野:腎臓内科、抗加齢医学(アンチエイジング)、産業医学
資格:日本腎臓学会専門医・指導医抗加齢医学会専門医日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士・博士

IgA腎症に関わる原因

IgA腎症に関わる主な原因は、次の3つです。

  • 免疫異常によるIgAの蓄積
  • 遺伝的要因
  • 感染症との関連性

免疫異常によるIgAの蓄積

IgAは、体を守る抗体の一種です。IgA腎症では、IgAの一部に異常が生じることで、最終的に腎機能の低下へとつながっていきます。IgA腎症が発症する主な流れは、以下のとおりです。

  1. IgAを構成する「糖鎖」の構造に異常があるIgA(低グリコシル化IgA1)が、のどの扁桃などで作られる
  2. 異常IgAが血中に放出され、増加する
  3. 異常IgAに対する抗体が作られる
  4. 異常IgAと抗体が結合し「免疫複合体」が形成される
  5. 免疫複合体が腎臓の糸球体(メサンギウム細胞)に蓄積する
  6. 炎症が起き、腎機能が低下する

炎症が長期間続くことで、腎臓の濾過機能が徐々に損なわれ、IgA腎症を引き起こします。

遺伝的要因

IgA腎症は、家族内で発症することがあり、病気になりやすい体質に関係する「遺伝的な要因」が関与していると考えられています。ただし、親がIgA腎症でも、子どもが必ず同じ病気になるわけではありません。

IgA腎症は、単一の遺伝子だけで決まる病気ではなく、複数の遺伝的要因と、感染症などの環境要因が組み合わさって発症すると考えられています。遺伝的な要因は「発症しやすさ」に関わる一つの要素です。

家族内にIgA腎症の方がいる場合は、ご自身の健康にも少し注意を向けてみましょう。定期的な健康診断や尿検査を受けることが、早期発見につながります。

感染症との関連性

IgA腎症は、風邪や扁桃炎(へんとうえん)などの感染症をきっかけに、症状が現れたり悪化したりします。IgAは、のどや腸などの粘膜でウイルスや細菌と戦う「粘膜免疫」に関わる抗体です。

感染症にかかると、体は病原体に対抗するためにIgAを多く作ります。IgA腎症になりやすい体質を持っていると、異常なIgAも同時に大量に産生されることがあります。腎臓に沈着する免疫複合体の量が増加し、腎臓の炎症が強まり、血尿などの症状が現れます。IgA腎症と関連が指摘される主な感染症は、以下のとおりです。

  • 上気道感染症:風邪、扁桃炎、咽頭炎など
  • 消化管感染症:胃腸炎など

日頃から手洗いやうがいを心がけて感染症を予防することは、腎臓を守ることにつながります。

注意すべきIgA腎症の初期症状

注意すべきIgA腎症の初期症状について、以下の内容を解説します。

  • 初期症状(血尿・蛋白尿)
  • むくみ
  • 倦怠感・疲労感
  • 高血圧

初期症状(血尿・蛋白尿)

IgA腎症の初期症状で多いのは、血尿と蛋白尿です。血尿には、次の2種類があります。

  • 肉眼的血尿:目で見てわかる血尿
  • 顕微鏡的血尿:検査で初めてわかる血尿

肉眼的血尿とは、尿が赤黒いコーラ色のように見える状態です。風邪をひいたり、扁桃が腫れたりした数日後に現れやすいことが、IgA腎症の特徴とされています。顕微鏡的血尿とは、顕微鏡検査で尿に赤血球が混じっていることが確認される状態です。健康診断で「尿潜血陽性」と指摘されるのは、顕微鏡的血尿が見られる場合です。

蛋白尿の主な特徴は、次のとおりです。

  • 尿の泡立ち、しばらく消えない
  • 尿が少し白っぽく濁って見える

腎臓のフィルターである糸球体が炎症で傷つくと、本来は体内にとどまる蛋白質が尿中に漏れ出します。健康診断で尿の異常を指摘された場合は、放置せず専門医に相談してください。

一時的な変化もありますが、持続する場合は蛋白尿の可能性があります。以下の記事では、尿が泡立つ原因や受診の目安、考えられる病気について解説しています。
>>尿が泡立つ原因と対処法|気になる症状の真相を解説

むくみ

むくみ(医学的には浮腫:ふしゅ)は、IgA腎症が進行してきたときに現れる症状です。腎臓の機能が低下すると、体内の余分な水分や塩分を尿として十分に排出できなくなります。行き場を失った水分が皮膚の下にたまり、むくみとして現れます。ご自身でむくみを確認するための具体的な方法として、以下があげられます。

  • 足のすねを指で5秒ほど強く押すと、へこんだ跡がしばらく残る
  • 朝起きたときに、まぶたや顔全体が腫れぼったい感じがする
  • 夕方になると靴がきつくなり、靴下のゴム跡がくっきり残る
  • 普段している指輪がきつくなり、外しにくくなる
  • 食事量は変わらないのに、1週間で1〜2kgほど体重が急増する

尿に大量の蛋白質が漏れ出る「ネフローゼ症候群」という状態になると、血液中の蛋白質が減少します。血液中の蛋白質には、血管内に水分を保つ働きがあります。蛋白質が減ると水分が血管外に漏れ出しやすくなり、全身に強いむくみが生じることがあります。

以下は、ネフローゼ症候群の基本的な症状や原因、治療中に気をつけたいポイントについての解説記事です。
>>ネフローゼ症候群とは?症状や治療時のポイントを解説

倦怠感・疲労感

倦怠感や疲労感は、腎機能の低下によって生じることがあります。老廃物の蓄積により血液が汚れた状態が続くと、神経や筋肉の働きが鈍り、体がだるく感じられたり、集中力が続かなくなったりします。腎性貧血になると、酸素を全身に運ぶ力が弱まり、少しの動作でも息切れやめまい、倦怠感が出ることがあります。

倦怠感や疲労感は、仕事の疲れや他の病気でも見られるため、すぐに腎臓の異常とは気づきにくいです。尿の異常やむくみなど、他の症状とあわせて原因不明の倦怠感が続く場合は、IgA腎症の可能性も考慮する必要があります。

以下の記事では、腎性貧血の原因や主な症状、治療のポイントについて医師監修のもと解説しています。
>>【医師監修】腎性貧血とは?症状や治療のポイントを紹介

高血圧

高血圧と腎臓は、互いに深く影響しあう「悪循環」の関係にあります。IgA腎症と高血圧の関係は、次のように進行します。

  1. IgA腎症によって腎機能が低下する
  2. 水分・塩分の調節がうまくいかなくなり、高血圧になる
  3. 高血圧が腎臓の血管をさらに傷つけ、腎機能がさらに悪化する
  4. 腎機能の悪化により、さらに血圧が上がる

高血圧と腎障害は相互に悪化させ合う関係にあります。高血圧は腎臓だけでなく、心臓や脳の血管にも負担をかけ、心筋梗塞や脳卒中などの命に関わる病気のリスクも高めます。IgA腎症の治療では、腎臓の炎症を抑えることと同時に、血圧管理も重要です。自覚症状がなくても、定期的に血圧を測定する習慣をつけましょう。

IgA腎症の治療法

IgA腎症の治療法について、以下の内容を解説します。

  • 薬物療法
  • 食事療法

薬物療法

薬物療法は、IgA腎症による腎臓の炎症を鎮めることが主な目的です。治療方針は、尿蛋白の量や腎機能、腎生検の結果などをみて総合的に判断します。主な薬物療法について、以下の表にまとめました。

IgA腎症の治療は近年の研究で、病原性IgAの産生や免疫反応の経路に着目した新しい治療薬が開発され、臨床試験で有望な結果が報告されています。これにより、IgA腎症の治療選択肢は広がりつつあります。

食事療法

食事療法は、腎臓への負担を軽くし、病気の進行を緩やかにすることを目的とします。特に重要なのが「減塩」と「蛋白質の調整」です。塩分のとりすぎは、高血圧やむくみを引き起こし、腎臓に負担をかけます。高血圧が続くと腎臓の細い血管が傷つき、病状が進行しやすくなります。1日の塩分摂取量は、6g未満を目指しましょう。

蛋白質は体に必要な栄養素ですが、利用後に生じる老廃物の処理は腎臓に負担をかけます。腎機能が低下している場合には、蛋白質の摂取制限が必要になることがあります。ただし、自己判断で極端に制限するのは危険です。蛋白質の調整が必要かどうか、また摂取量の目安は腎機能の状態によって異なるため、医師や管理栄養士の指導に従って行いましょう。

進行を防ぐ早期対策

進行を防ぐ早期対策について、以下の内容を解説します。

  • 定期的な健康診断
  • 感染症予防(風邪・扁桃炎対策)

定期的な健康診断

IgA腎症の早期発見には、定期的な健康診断がかかせません。自覚症状が出にくく、尿検査の異常が最初のサインとなることが多いためです。健康診断で特に注目したい項目は、以下の3つです。

  • 尿検査(尿蛋白・尿潜血)
  • 血液検査(血清クレアチニン値)
  • 血圧測定

「尿潜血陽性」や「尿蛋白陽性」は、腎臓で何かが起きているサインです。クレアチニンは体内で作られる老廃物で、腎臓から排出されます。腎機能が低下すると排出されにくくなり、血中の数値が上がります。

腎機能が低下すると体内の塩分や水分の調節がうまくいかず、血圧が上昇します。高血圧は腎臓をさらに傷つけるため、早期に異常を見つけて管理することが重要です。

感染症予防(風邪・扁桃炎対策)

IgA腎症の進行を防ぐためには、風邪や扁桃炎などの感染症を予防することが重要です。腎臓を守るために、以下の対策を心がけましょう。

  • 手洗い・うがい
  • 十分な休養と栄養
  • マスクの着用・人混みを避ける

基本はウイルスや細菌を体内に入れないことです。帰宅後や食事の前には、必ず手洗い・うがいを行いましょう。十分な睡眠とバランスの良い食事は、免疫力を高める基本です。感染症が流行している時期は、マスクを着用し、人混みをできるだけ避けることも大切です。

日頃から感染症への対策を続けることが、腎臓への負担を軽減することにつながります。

IgA腎症の進行を防ぐ生活習慣

IgA腎症の進行を防ぐ生活習慣は、以下のとおりです。

  • 食生活の改善(塩分摂取制限)
  • 適度な運動習慣
  • ストレス管理
  • 禁煙・節酒

食生活の改善(塩分摂取制限)

IgA腎症の進行を抑えるには、食事管理が重要です。なかでも塩分の摂取制限は、治療の中心的な要素です。以下のような工夫で、無理なく減塩を続けましょう。

  • だしの旨味を活かす:昆布やかつお節で、薄味でも満足感が出る
  • 香りや酸味を使う:こしょう、酢、レモン汁などで味にメリハリをつける
  • 加工食品を控える:ハムやちくわ、漬物、インスタント食品など
  • 汁物は「食べるもの」にする:具を増やし、汁を控えめにする

体重管理も腎臓を守るために大切です。肥満は腎臓に負担をかけ、糖や脂質の代謝異常は腎機能に悪影響を及ぼす可能性があります。バランスの良い食事で適正体重を保つことも、腎臓保護の一つです。

適度な運動習慣

主治医の許可のもとで行う適度な運動は、腎臓を守るうえでさまざまな良い効果をもたらします。運動を習慣づけることで、血圧の安定や体重管理がしやすくなり、血糖や脂質のバランスも整います。体全体の代謝を健康に保ち、腎臓への負担を総合的に軽減することにつながります。

おすすめは、心臓や関節に負担の少ない有酸素運動です。ウォーキングや軽いジョギング、サイクリング、水泳などが挙げられます。1回30分程度の運動を、週に3〜5日を目安に始めてみましょう。強さの目安は「少し汗ばむが、会話ができる程度」が理想的です。

体調が優れない日は、無理をせずしっかり休むことも大切です。運動の前後にはストレッチを行い、ケガを予防しましょう。水分補給は、こまめに少しずつ行うのがポイントです。何よりも、楽しみながら続けられる運動を見つけることが、習慣化のコツです。

ストレス管理

過度なストレスは、自律神経のバランスを乱し、血圧を上昇させる原因になります。免疫機能にも影響を及ぼし、IgA腎症の病状を不安定にする可能性があると考えられています。無理に我慢せず、上手に気分転換できる方法を見つけることが大切です。以下のヒントを参考に、ストレスと上手に付き合いましょう。

  • 質の良い睡眠をとる
  • 「何もしない」時間を意識して作る
  • 軽い運動でリフレッシュする
  • 気持ちを言葉にする

睡眠は、心身の回復に欠かせません。寝る前のスマートフォン使用を控え、リラックスできる環境を整えましょう。ウォーキングなどの軽い運動は、気分転換やストレス解消に役立ちます。不安や悩みを一人で抱え込まず、家族や友人、医師、カウンセラーなど信頼できる人に話すことも大切です。話すだけで気持ちが軽くなることがあります。

禁煙・節酒

病気の進行を抑えるためには、禁煙と節酒に真剣に取り組むことが重要です。タバコに含まれる有害物質は、全身の血管を硬くして(動脈硬化)、血流を悪化させます。腎臓は細い血管が集まっているため、喫煙による影響を直接受けやすいとされています。禁煙が難しい場合は、禁煙外来などで専門的なサポートを受けることをおすすめします。

アルコールの過剰摂取は、高血圧や脂質異常症を引き起こし、間接的に腎臓に負担をかけます。適量を守ることが大切です。お酒の種類別の目安量(1日あたり)は、以下のとおりです。

  • ビール:中びん1本(500mL)
  • 日本酒:1合(180mL)
  • ワイン:グラス2杯弱(200mL)
  • ウイスキー:ダブル1杯(60mL)

適量には個人差があり、腎機能や体調によって異なります。ご自身に合った量については、必ず主治医に相談してください。週に2日程度は飲酒しない「休肝日」を設けることも、腎臓や肝臓の健康を保つうえで大切です。

 

まとめ

IgA腎症は、初期症状がほとんどなく、体の変化に気づきにくい病気です。大切なのは、健康診断などで見つかる尿の異常という腎臓からの小さなサインを、見逃さないことです。早期に発見し、薬物療法と減塩などの生活習慣改善に取り組むことで、病気の進行を穏やかにし、腎機能を長く保つことができます。

健康診断で異常を指摘された方は、自己判断で放置せず、早めに専門医に相談してください。一人で抱え込まず、医師とともに、あなたの大切な腎臓を守っていきましょう。

イーヘルスクリニック新宿院では、慢性腎臓病の早期発見と進行予防を重視し、生活習慣の改善サポートから薬物療法まで幅広く対応しています。健診で腎機能の低下を指摘された方や、体のむくみ・疲れやすさが続いている方は、早期の評価が重要です。将来のリスクを減らすためにも、まずはお気軽にご相談ください。

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