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2022.06.14
#腎臓内科 #対象疾患

腎性貧血

腎性貧血とは

貧血とは、赤血球に含まれるヘモグロビンというタンパク質が一定以下に減少した状態のことです。貧血にはさまざまな種類がありますが、中でも腎性貧血は腎臓のはたらきの低下によって生じる貧血のことをいいます。

腎性貧血の原因は、主に腎臓のはたらきが悪くなることです。腎臓は赤血球の産生を促すホルモンを分泌しているため、腎臓のはたらきが悪くなるとホルモンの分泌も減り、赤血球を作る能力が低下して貧血になるといわれています。これは慢性腎臓病(腎臓の障害が3か月以上続いた状態)の合併症として現れることがあります。

また近年は“心腎貧血症候群”という考え方があり、貧血が腎臓病・心臓病の両方の悪化に関与し、悪循環を招いていることが分かっています。この循環を止めるためにも、腎性貧血を改善し、腎臓病・心臓病の悪化を抑えることが大切です。

貧血は鉄を補給すればよいと思われることもありますが、これは貧血の種類によって異なります。腎性貧血の場合は鉄を補給しただけでは改善されにくいといわれているため、自己判断は避けましょう。

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腎性貧血の症状

貧血は徐々に進行するため、体が貧血の状態に慣れてしまい、気が付かないケースもあります。そのため、検診や慢性腎臓病における定期検査で発見されることもあります。症状がある場合は以下のとおりです。

主な症状

  • 疲れやすい
  • 動悸や息切れが起こる
  • めまいが起こる など

受診の目安

腎性貧血による症状は、日常生活に支障をきたす場合があります。また、貧血の状態が重いほど、末期腎不全(腎臓のはたらきが失われた状態)になる確率が高いといわれ、透析や腎移植が必要になることもあります。しかし、早い時期から治療を始めることで、慢性腎臓病の進行を抑えることが期待できるとされているため、腎性貧血が疑われるような症状がある場合は早めに腎臓内科などを受診するとよいでしょう。

また、慢性腎臓病患者さんの場合は、定期的に行う血液検査で貧血かどうか分かるため、腎性貧血の早期発見のためにも、通院や検査を欠かさないようにしましょう。

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腎性貧血の治療のポイント

ホルモン治療

腎性貧血の治療では、赤血球の産生を促すホルモン(エリスロポエチン)の分泌不足を補う注射薬や、ホルモンの産生を促す内服薬を使うことが一般的です。

エリスロポエチンを投与することで貧血を改善する効果や、腎不全の進行を抑える効果が期待できると考えられています。

さらに、必要に応じて食事療法(後述)や鉄剤を使うこともあります。

HIF-PH阻害薬

腎性貧血では、2019年よりHIF-PH阻害薬という飲み薬の処方が可能になりました。HIF-PH阻害薬とは、赤血球の産生を促す“エリスロポエチン”の産生を促す治療薬で、注射薬の使用では効果が不十分だった方や、注射薬の使用に抵抗を感じる方を中心に処方が検討されることがあります。

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腎性貧血になったときに気を付けたいポイント

腎性貧血になった場合は、治療の一環として食事療法を行うことがあります。ただし、具体的な摂取量は個人の病状によって異なるため、自己判断せず医師に確認しながら行うようにしましょう。

たんぱく質の取り方に注意する

腎臓のはたらきが低下している場合は、たんぱく質の摂取制限が必要となります。一方で、血液を作るためにはたんぱく質が必要であり、たんぱく質を十分に摂取することで貧血予防につながるともいわれています。そこで、たんぱく質の摂取量を制限しながらも効率よく血液が作れるように、良質なたんぱく質を摂取することが大切です。

中でも動物性たんぱく質は血液を作りやすいため、良質なたんぱく質といわれています。そのため、摂取するたんぱく質のうち、50~60%ほどを動物性たんぱく質にするとよいとされています。

十分なエネルギーを摂取する

たんぱく質の摂取を制限すると、食事の摂取量も減少して総摂取エネルギーが減少することがあります。すると体内の栄養状態が悪化して体内のタンパク質が崩壊し、貧血の悪化につながることがあるため、十分なエネルギーを摂取する必要があります。

しかし、実際にはたんぱく質を制限しながらエネルギーを十分に取ることは難しいでしょう。そのため、低たんぱく米や粉飴、デンプン餅といった特殊食品を上手に利用したり、1日に1回は油を使った料理を取ったり、1日3食をきちんと食べたりするといった工夫が大切です。

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