ゼップバウンド

腎臓は、自覚症状がほとんど現れないまま病気が進行しやすい臓器です。実際に、慢性腎臓病(CKD)の初期段階(ステージ1〜3)では無症状の方や気づいていない人が多いことが報告されています。腎臓の機能は一度大きく低下すると、回復が難しいことが知られています。
放置すると慢性腎臓病が進行し、心筋梗塞や脳卒中などの重大な疾患のリスクが高まる可能性もあります。この記事では、腎臓病の初期症状や自宅でできるセルフチェックの方法、受診の目安までをわかりやすく解説します。ご自身やご家族の健康を守る第一歩として、ぜひ参考にしてください。
イーヘルスクリニック新宿院では、尿検査や血液検査を通じて腎機能を評価し、早期発見と進行の予防に取り組んでいます。気になる症状や健診異常があれば、お早めにご相談ください。
▼【来院】のご予約はこちら▼
▼【オンライン診療】のご予約はこちら▼

記事監修:天野方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
経歴:埼玉医科大学卒業後、東京慈恵会医科大学付属病院や足利赤十字病院などで勤務。2016年、帝京大学大学院公衆衛生学研究科へ入学。2018年、ハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)へ留学。予防医療特化のメディカルクリニックで勤務後、2022年「イーヘルスクリニック新宿院」開院。
専門分野:腎臓内科、抗加齢医学(アンチエイジング)、産業医学
資格:日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士・博士
腎臓病の初期症状について、以下の内容を解説します。
尿の変化は、腎臓病の代表的な初期症状の一つです。特に泡立ちや色の変化、夜間頻尿に注意しましょう。排尿後に細かい泡が立ち、しばらく消えないことがあります。尿が赤色や茶褐色(コーラ色)になったり、白く濁ったりする場合もあります。
腎機能が低下すると尿を濃縮する力が弱まり尿量が増えるため、就寝中に何度もトイレに起きる夜間頻尿につながります。
むくみ(浮腫)も、腎臓病の代表的な初期症状の一つです。腎臓の働きが低下すると、体内の余分な水分や塩分を体外へ排出できなくなり、水分が体に溜まりむくみが現れます。腎臓からタンパク質が尿中に漏れ出ると、血液中のタンパク質濃度が低下する低タンパク血症と呼ばれる状態になります。
タンパク質が減少すると血管内に水分を保ちにくくなり、水分が血管の外に漏れやすくなることも、むくみの原因となります。
原因不明の倦怠感や疲労感は、腎機能の低下が関係している場合があります。腎機能が低下すると、本来は尿として排出される老廃物(尿毒素)が血液中に蓄積し、倦怠感や疲労感につながります。
腎臓は赤血球の産生を促すホルモン「エリスロポエチン」を分泌しています。腎機能が低下すると分泌が減少し「腎性貧血」を起こす可能性があります。貧血は、全身への酸素運搬が不足するため、少しの動作でも息切れや疲労感を感じやすくなります。
腎機能の低下が進み、体内に老廃物(尿毒素)が蓄積すると、胃や腸などの消化器に影響が及ぶことがあります。具体的には、以下の症状が現れる場合があります。
症状は、尿毒素が消化管の粘膜を刺激したり、脳の嘔吐中枢に作用したりすることで起こると考えられています。風邪や胃腸炎と似た症状のため見過ごされやすいです。原因がはっきりせず長引く消化器症状は注意が必要です。
腎臓病が進行すると、全身に強いかゆみが現れる場合があります。保湿剤を使用しても改善しにくいのが特徴です。次の要因が関係していると考えられています。
背中や胸、腕、足など広い範囲に生じやすく、夜間に強くなる傾向があります。研究では、慢性腎臓病に伴うかゆみが、末期腎不全患者の約40%にみられると報告されています。睡眠の質の低下や抑うつ、生活の質(QOL)の低下、死亡率の上昇とも関連する重要な症状です。
腎臓病は自覚症状や体の変化に気づく前に、健康診断や他疾患の受診をきっかけに見つかることが少なくありません。高血圧や貧血が判明し、原因を調べる過程で腎機能の低下が明らかになるケースがあります。
高血圧や糖尿病などで通院している方は、定期的な血液検査や尿検査が腎臓病の早期発見につながります。自覚症状がない段階での継続的な検査と健康管理が重要です。
腎機能が低下すると、赤血球をつくるホルモン(エリスロポエチン)の分泌が減少し、腎性貧血を起こすことがあります。以下の記事では、腎性貧血の仕組みや主な症状、治療のポイントについて医師監修のもと解説しています。
>>【医師監修】腎性貧血とは?症状や治療のポイントを紹介
腎臓病のセルフチェックについて、以下の内容を解説します。
尿のセルフ観察のポイントは「泡立ち」「色」「回数」の3つです。以下の表に、注意すべき変化と考えられる状態をまとめました。
研究では、腎機能の低下が塩分・水分の恒常性を乱し、夜間多尿を引き起こして夜間頻尿の原因となることが報告されています。1晩に2回以上トイレに起きる場合は医療機関での検査が推奨されます。気になる変化があれば記録し、医療機関に相談することが大切です。
むくみは、顔(特にまぶた)や足のすね・足首に現れやすいのが特徴です。腎機能が低下すると、体内の塩分や水分のバランスが乱れ、余分な水分がたまりやすくなります。顔のむくみは朝に目立ちやすく、足のむくみは重力の影響で夕方に強くなる傾向があります。自宅でできるチェック方法は以下のとおりです。
心不全患者においても、3日間で2Kg体重が増加する心不全患者は、早期受診が必要であることが報告されています。ただし、むくみは心臓や肝臓や、薬の影響などが原因でも起こる可能性があります。医療機関でむくみの症状の原因を精査しましょう。
高血圧は腎臓病の危険因子の一つです。自覚症状の少ない高血圧は、気づかないまま進行し、腎機能を低下させる可能性があります。そのため、家庭血圧の記録が診断や血圧の状況を把握するのに役立ちます。家庭血圧は、起床後と夜の就寝前に測定しましょう。
測定時の体調変化や測定値は、記録して医師と共有することが大切です。受診時に、医師が診断や治療方針を検討する際の参考情報になります。
健康診断は、腎臓病の早期発見につながる大切な機会です。健康診断の結果や数値は、内容を確認しましょう。腎機能の変化を確認するためには、尿検査と血液検査を確認します。
主なチェック項目とそれぞれの数値が示す内容を以下の表にまとめました。各検査項目の基準値は、厚生労働省が公表している資料を参考にしています。
異常を指摘された場合は、症状がなくても放置せず、医療機関で相談することが大切です。早期発見と適切な管理が、将来の腎機能を守ることにつながります。
以下の記事では、eGFRの基礎知識から検査方法、異常が見つかった場合の具体的な対処法を解説しています。
>>腎臓の働きを調べる指標「eGFR」とは?検査方法や異常が見つかった場合の対処法を解説
汗をたくさんかくような暑い夏や運動後、または皮膚から水分が蒸発するような乾燥する冬などに水分摂取が不足すると、尿が濃くなり泡立つことがあります。この場合は水分摂取量を増やせば泡立ちの程度が軽くなるとされています。
蛋白尿のなかには、病気が原因ではなく、一時的な体への負担で起こる一過性蛋白尿があります。一過性蛋白尿は、以下の状況で起こりやすいです。
検査前日の射精や月経中の出血が尿に混ざることでも、蛋白尿と判定される可能性があります。一過性の蛋白尿は、原因が取り除かれることで自然に消えるため、通常は治療の必要はありません。
妊娠中は、蛋白尿が出やすいです。多くの場合は生理的変化による一時的なものですが、妊娠高血圧症候群(妊娠20週以降の高血圧と蛋白尿)には注意が必要です。妊娠高血圧症候群は、母体と胎児の両方に悪影響を及ぼす可能性があるため、早期発見と管理が重要です。
妊婦健診では、毎回尿検査と血圧測定が行われます。検査で蛋白尿を指摘された場合は、必ず医師の指示に従って行動してください。
病的蛋白尿とは、毎回の検査で蛋白尿が持続して検出される状態です。原因は、腎臓そのものの病気、または他の疾患による腎臓への影響に分けられます。それぞれの具体的な疾患例を、以下の表にまとめています。
腎臓移植後の方も、蛋白尿は拒絶反応の兆候である可能性があり、慎重な経過観察が必要です。病的蛋白尿は、腎機能低下の初期サインでもあります。早期発見・早期治療が腎機能の維持に重要です。
ネフローゼ症候群とは、さまざまな理由で血液中のタンパク質が尿に大量に漏れ出てしまうことにより、血液中のタンパク質の濃度が薄くなってしまうことをいいます。主な症状として体のむくみや体重の増加、尿の泡立ち、疲れやすさ、だるさなどが挙げられます。
ネフローゼ症候群には、ほかの原因疾患がない“一次性ネフローゼ症候群”と糖尿病などの病気に伴って起こる“二次性ネフローゼ症候群”があり、種類に応じて治療方法が異なります。
原因疾患のない“一次性ネフローゼ症候群”の場合にはステロイドなどによる薬物療法が、“二次性ネフローゼ症候群”では原因となる病気に対する治療が検討されることが一般的です。そのほか、むくみに対する塩分制限などの食事療法や利尿薬などの薬物療法、一時的な透析治療なども検討されることがあります。
糖尿病とは、インスリン(ホルモン)の不足やはたらきの低下で血糖値が高い状態が続く病気です。
血糖値が高くなると尿中に糖が排出されるようになり(尿糖)、尿糖が増加すると尿の粘度が高くなって尿が泡立つとされています。特に、果物や糖分が含まれる飲み物の摂取後や、食後に尿の泡立ちが目立つ場合は糖尿病の可能性があります。放置すると目や腎臓、神経などの病気につながることもあります。
治療は血糖値のコントロールを目的に、食事療法、運動療法、薬物療法などを行います。
白血病や多発性骨髄腫といったがんによって血液中のタンパク質が増加し、尿に排出されることで尿が泡立つ場合があります。
白血病は骨髄で血液を作る過程に異常が生じ、赤血球、白血球、血小板ががん化して増殖することで発症する病気です。多発性骨髄腫は骨髄の中にある形質細胞ががん化して増殖する病気です。いずれも、尿の泡立ち以外に貧血や感染、発熱、体重減少、骨の痛みなどの症状が現れることがあります。
治療には、抗がん剤などによる薬物療法や造血幹細胞移植などの選択肢があります。
蛋白尿を放置すると危険な理由として、主に次の点が挙げられます。
蛋白尿が続く場合、考えられるのは腎臓の病気です。自覚症状がないまま慢性腎臓病(CKD)が進行している可能性があります。慢性腎臓病は、腎臓の働き(eGFR)が60%未満に低下もしくは、蛋白尿の検出が3か月以上続く状態です。慢性腎臓病の主な原因には、次のような病気があります。
腎臓の病気は自覚症状が出にくいのが特徴です。比較的早期に出現する蛋白尿を見逃さないことが、腎臓を守るうえで大切です。
蛋白尿は、高血圧や糖尿病といった生活習慣病と深く関係しています。高血圧が続くと、腎臓の細い血管に強い圧力がかかり、血管やフィルターが傷つき蛋白尿が検出されやすいです。
血糖値が高い状態が続くと、腎臓のフィルターが目詰まりの状態になり、糖尿病性腎症を引き起こす可能性があります。透析治療を開始する理由で、糖尿病腎症が多い傾向があります。慢性腎臓病の予防と管理では、血圧や血糖を適切に保つことが欠かせません。
服用している薬が腎臓に負担をかけ、蛋白尿の原因になることがあります。薬剤性腎障害といい、特定の薬によって腎機能が急に悪化し、蛋白尿が現れる場合があります。原因となりやすい薬剤は、以下のとおりです。
非ステロイド性抗炎症薬は、市販の風邪薬や鎮痛剤にも含まれ、長期間の使用には注意が必要です。薬などが原因で腎機能が急激に悪化する状態を急性腎障害(AKI)といいます。早期に原因薬を中止するなど、迅速な対応が重要です。
腎臓病になりやすい人の特徴は、以下のとおりです。
高血圧や糖尿病は腎臓病の主な原因です。脂質異常症や高尿酸血症も血管に負担をかけ、腎機能低下を招きます。家族に腎臓病がいる場合は、遺伝体質や塩分過多などの生活習慣が影響すると考えられています。自覚症状がなくても油断はできません。定期的に健康診断を受け、腎臓状態を確認しましょう。
腎臓病は症状に気づきにくいことがあるため、わずかな変化でも見過ごさない姿勢が大切です。以下の場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
受診先に迷う場合は、内科やかかりつけ医に相談しましょう。必要に応じて腎臓内科などの専門医を紹介してもらえます。健康診断の結果を持参すると、診察がスムーズに進みます。

腎臓病は自覚症状が乏しいまま進行する場合があります。尿の泡立ちやむくみ、原因不明の倦怠感など、日常の小さな初期症状に気づくことが大切です。健康診断の結果とあわせて、ご自身の体のサインを見逃さないようにしましょう。
高血圧や糖尿病などの持病がある方や、ご家族に腎臓病の方がいる場合は、注意が必要です。症状がなくても定期的に検査を受けることで、早い段階で変化に気づけます。少しでも気になることがあれば自己判断せず、早めに医療機関へ相談することが重要です。早期発見と適切な対応が、将来の腎機能を守ることにつながります。
イーヘルスクリニック新宿院では、尿検査やeGFRで腎機能を丁寧に評価し、早期発見と進行予防に努めています。不安を感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。
▼【来院】のご予約はこちら▼
▼【オンライン診療】のご予約はこちら▼
関連記事
■慢性腎臓病とは?症状や罹患時に気をつけたいポイントを解説
■高尿酸血症・痛風の症状、検査、合併症、治療のポイントを解説■腎機能低下の予防に役立つ!3つの食事の基礎知識を解説
■糖尿病ではどんな症状が出るの? 〜初期症状や種類別の症状をご紹介〜