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2026.05.25
#糖尿病内科(内分泌・代謝外来) #対象疾患

尿検査でケトン体が出る原因とは?糖尿病との関係と対処法を解説

健康診断の尿検査で、ケトン体を指摘されたことはありませんか。ケトン体が検出される原因は、欠食による一時的なものや体調不良の可能性があります。一方でケトン体と尿糖が同時に陽性の場合は、糖尿病が疑われるため注意が必要です。糖尿病はケトン体が増えやすく、糖尿病ケトアシドーシスのリスクが高まります。

本記事では、ケトン体が検出される原因やすぐに受診すべき目安、状況別の正しい対処法までを解説します。ご自身の状況と照らし合わせ、健診結果と向き合う機会にしましょう。

イーヘルスクリニック新宿院では、尿検査や血液検査を通じてケトン体の原因を丁寧に評価します。早期の対応で重症化予防をサポートします。健診結果について不安がある方は、ぜひご相談ください。

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記事監修:天野方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
経歴:埼玉医科大学卒業後、東京慈恵会医科大学付属病院足利赤十字病院などで勤務。2016年、帝京大学大学院公衆衛生学研究科へ入学。2018年、ハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)へ留学。予防医療特化のメディカルクリニックで勤務後、2022年「イーヘルスクリニック新宿院」開院。
専門分野:腎臓内科、抗加齢医学(アンチエイジング)、産業医学
資格:日本腎臓学会専門医・指導医抗加齢医学会専門医日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士・博士

尿検査でケトン体が出る原因

尿検査でケトン体が出る原因は、以下の4つがあります。

  • 糖尿病が疑われる場合
  • 食事不足・運動・アルコールによる増加
  • 妊娠・発熱・嘔吐など体調不良
  • その他の病気やホルモン異常

糖尿病が疑われる場合

糖尿病は、ケトン体が上昇する原因の一つです。糖尿病になるとインスリンが不足するため、エネルギー源であるブドウ糖が制限されます。体は代わりに脂肪をエネルギー源にしますが、脂肪分解の過程でケトン体を産生します。

1型糖尿病では膵臓がほとんどインスリンを作れないため、ケトン体が増えやすい状態です。2型糖尿病は、感染症や体調不良などがケトン体の上昇に影響する可能性があります。その結果、ケトン体の増加は、糖尿病ケトアシドーシスを引き起こしやすいことが報告されています。

食事不足・運動・アルコールによる増加

ケトン体は、体がエネルギー不足に対応する際の生理的な反応としてみられることがあります食事で炭水化物が減るとエネルギー源を脂肪に切り替え、ケトン体が産生されます。研究でも12時間絶食すると、体はブドウ糖から脂肪代謝へと切り替わることが報告されています。

激しい運動は、エネルギー消費が急激に増えることで脂肪分解が亢進し、ケトン体が増加しやすいです。食事が不十分な状態でアルコールを多量に飲酒すると、肝臓がアルコールの分解を優先するため、糖を作り出す働きが低下します。結果として、エネルギー源の糖が不足し、脂肪分解によるケトン体の産生が促されます

妊娠・発熱・嘔吐など体調不良

妊娠中や体調不良の場合、ケトン体が出やすくなります。妊娠中はお腹の赤ちゃんに栄養を送るため、お母さんの体は脂肪をエネルギーとして利用しやすい状態です。研究でも、妊婦さんのケトン尿が一般的であることが報告されています。つわりで食事が十分に摂れないときは、ケトン体がさらに増加しやすいです。

発熱や嘔吐などの体調不良の場合、食事ができず、エネルギー不足で脱水になりやすい状態ですお子さんの場合、大人と比べ、体内に糖を蓄える量が少ない傾向があります。体調不良で食事が摂れずぐったりしている場合は、早めに小児科を受診しましょう

その他の病気やホルモン異常

特定の病気が原因でケトン体が増えることがあります。考えられる病気の一つが甲状腺機能亢進症です。新陳代謝を活発にするホルモンが過剰に分泌される病気です。糖によるエネルギー供給が追いつかず脂肪の分解が進み、ケトン体が増加する可能性があります。

成長ホルモンや副腎皮質ホルモンの過剰分泌も影響します。インスリンの働きが相対的に弱まり、脂肪の分解が促されてケトン体が増える場合があります。ケトン体陽性を指摘された際は、他の症状や体の状態を総合的に見た判断が大切です

糖尿病との関係(糖尿病性ケトアシドーシス)

ケトン体と糖尿病の関係で注意が必要なのは、糖尿病ケトアシドーシスです。糖尿病との関係について、以下の4つを解説します。

  • インスリン不足でケトン体が増える仕組み
  • 初期症状
  • 重症化のサイン
  • すぐ受診すべき目安

インスリン不足でケトン体が増える仕組み

体は食事で摂取したブドウ糖をエネルギー源にしていますが、ブドウ糖を細胞内に取り込むにはインスリンホルモンが必要です。糖尿病は、インスリンの分泌量が減ったり、働きが低下したりするため、血液中のブドウ糖が取り込みにくくなります。

体はエネルギー不足を補うために、脂肪を分解し、肝臓でケトン体を産生します。インスリン不足による脂肪分解が進むと、ケトン体が過剰に増えて血中濃度が上昇します。増えすぎたケトン体は尿中にも排泄されるため、尿検査のケトン体陽性に影響します。

初期症状

糖尿病ケトアシドーシスは、以下の初期症状に早く気づくことが大切です。

  • 異常な喉の渇き(口渇)
  • 多量の水分摂取
  • 頻尿、多尿
  • 原因不明の体重減少
  • 全身の倦怠感、だるさ
  • 吐き気や嘔吐
  • 腹痛

血糖値が異常に高くなると、体は余分な糖を尿として排泄しようとします。排泄時に多くの水分が失われるため、脱水状態となり異常なほど喉が渇きます。夜中に何度もトイレに起きる、頻尿や多尿の症状も大切な変化です。

食事を普段通り摂っていても、体がエネルギー源として脂肪や筋肉を分解するため、急に体重が減ることがあります。細胞はエネルギーを作れないため、少し動くだけでも疲れ、倦怠感を感じる症状が特徴です。

血液が酸性に傾き始めると、胃腸の働きが悪くなります。風邪や胃腸炎と間違えやすく、他の症状と合わせて考えることが大切です。症状が複数当てはまる場合は、自己判断で様子を見ず、病院に相談しましょう

糖尿病は初期の段階では症状が軽く、見過ごされやすいことも少なくありません。以下の記事では、糖尿病でみられる代表的な症状や初期症状の特徴、種類による症状の違いについて解説しています。
>>糖尿病ではどんな症状が出るの? 〜初期症状や種類別の症状をご紹介〜

重症化のサイン

初期症状への対処が遅れると、血液中のケトン体がさらに増え、アシドーシスの状態が進行します。重症化のサインは、以下のとおりです。

  • 深く、速い呼吸
  • 甘酸っぱい口臭
  • 意識がもうろうとしている状態
  • 昏睡状態

血液が酸性に傾くと、深く速い呼吸で二酸化炭素を体外に排出し、バランスを保とうとします。甘酸っぱい口臭は、アセトンが呼吸とともに体外に排出されるために起こる特有な匂いです。

意識がもうろうとする症状は、血液が酸性に傾くことで脳機能が低下しています。話がかみ合わないことや眠り込んでしまうなどの意識障害が起こります。呼びかけに反応しない昏睡状態は、意識を失っている可能性があるため、緊急要請が必要です

すぐ受診すべき目安

糖尿病ケトアシドーシスは、迅速な対応が大切です。以下の場合は、救急外来を受診するか、必要であれば救急車を呼びましょう。

  • 自宅で測定した血糖値が250mg/dL以上かつ尿ケトン体が陽性
  • 水分を摂っても改善しない喉の渇き
  • 止まらない吐き気や嘔吐
  • 強い腹痛
  • 呼吸回数が増え、息苦しい
  • 声かけしても意識がはっきりしない
  • 甘酸っぱい匂いがする

1型糖尿病の方やインスリン治療中の方が、体調を崩したときは糖尿病ケトアシドーシスを起こしやすいため注意が必要です。尿検査ではケトン体の一部を測定するため、病院では血液検査を行い、正確にケトン体の量を調べて重症度を判断します。

自己判断で様子を見ず、気になる症状がある場合は、かかりつけや救急外来に相談しましょう。

ケトン体陽性の対処法

ケトン体が陽性の場合、自分の体の状態を正しく知り、状況に応じた適切な対処が大切です。ケースに合わせた対処法について、以下の3つを解説します。

  • 健診で指摘された場合
  • 糖尿病治療中の対応(シックデイルール)
  • 糖質制限中の見直し

健診で指摘された場合

健康診断で指摘された場合、以下のポイントをチェックしましょう。

  • 尿糖
  • 血糖値
  • HbA1c

尿検査で尿糖とケトン体が同時に陽性の場合、血糖値が高い可能性があります。血液検査項目の血糖値やHbA1cの数値を確認し、基準を超えている場合は糖尿病の可能性があります。自覚症状の有無に関わらず、内科や糖尿病内科を受診しましょう。

健診前に発熱や嘔吐などで食事が十分に摂れなかった場合も、一時的にケトン体が陽性となる場合があります。最近の体調の変化を振り返ることも大切です。

以下の記事では、糖尿病の検査方法や主な検査項目、基準値や診断基準についてわかりやすく解説しています。
>>糖尿病の検査法とは?〜検査項目や基準値、診断基準についてご紹介〜

糖尿病治療中の対応(シックデイルール)

糖尿病治療中の方には、シックデイルールがあります。風邪や胃腸炎などで食事が摂れない(シックデイ)場合は、血糖コントロールが乱れやすくなります。日常生活では、以下の点に注意しましょう。

  • 自己判断で薬やインスリン注射をやめない
  • 水分を十分に摂る
  • 糖分と炭水化物を補給する
  • 血糖値をこまめに測る

食事をしていなくても、体は糖を作り出し血糖値が上がります。自己判断で治療を止めると、血糖値悪化の可能性があります。体調不良時は、事前に医師から指示された通りに対応しましょう。

脱水予防のため、水分や経口補水液などをこまめに飲むことも大切です。食欲がなくても、消化が良くエネルギーになるものを摂りましょう。血糖値は定期的に測定し、体の変化を正確に把握します。

吐き気で水分も摂れない、血糖値が高いままで下がらない、意識がはっきりしないなどの場合は注意が必要です。医師に相談するか、夜間でも救急外来を受診しましょう。

糖質制限中の見直し

極端な糖質制限は、体に負担をかけます。ケトン体陽性に加え、倦怠感や吐き気などの体調不良を感じる場合、ダイエット方法が合っていない可能性があります。

糖質を摂らない極端なやり方ではなく、玄米や芋類など質の良い糖質を少量摂ることも検討しましょう。ケトン体は尿と一緒に排泄されるため、水分不足は腎臓に負担をかける可能性があります。十分な水分補給を心がけましょう。

栄養バランスはタンパク質だけでなく、体の調子を整えるビタミンやミネラルも大切です。野菜や海藻、きのこ類などもバランス良く取り入れましょう。無理せず、食事内容を見直すことが大切です。食事内容について不安な場合は、医師や管理栄養士に相談し、安全な方法を見つけましょう。

再発を防ぐための生活管理

再発を防ぐためには、日々の生活管理が大切です。食事・水分管理、体調不良時の備え方などについて解説します。

食事・水分管理

再発を防ぐための基本は、食事と水分管理です。体がエネルギー不足や脱水状態にならないよう、日々の生活で以下の点を心がけましょう。

  • 1日3食、規則正しく食べる
  • 栄養バランスを意識する
  • 極端な糖質制限は避ける
  • のどが渇く前に、こまめに水分補給する
  • 水やお茶を中心に摂る

炭水化物は体の主要なエネルギー源です。タンパク質は体をつくる材料となり、ビタミンやミネラルは体の調子を整えます。1日3食バランス良く摂ることが、安定した体へのエネルギー供給となります。

極端な糖質制限は、筋肉量の低下や腎臓への負担を招く可能性もあります。脱水状態になると、血中のケトン体の濃度も上がりやすくなるため、意識して水分を摂る習慣をつけましょう。水分は、水や麦茶など糖分やカフェインの少ないものがおすすめです。スポーツドリンクやジュースは糖分の摂りすぎにつながります。

体調不良時の備え

体調不良時は、自己判断せず医師から指示されたインスリン対応をします。水分や炭水化物は可能な範囲での摂取を心がけましょう。

体調の確認方法として、血糖値や体温だけでなく、市販の尿ケトン試験紙でケトン体を確認する方法があります。手軽な一方、ご家庭での尿検査は目安の一つでしかありません。糖尿病性ケトアシドーシスの進行で増加する「β-ヒドロキシ酪酸」は直接測定できないためです。病院での血液検査による評価が必要です。

普段からの体調の変化をこまめに確認することが大切です。体調不良が続くまたは悪化する場合は、病院で総合的に判断してもらいましょう。

まとめ

尿検査でケトン体が出る原因は、食事制限や体調不良など一時的なエネルギー不足によるものがあります。尿糖も陽性の場合は、糖尿病の可能性があり、注意が必要です。喉の渇きや体重減少、倦怠感などの初期症状を確認しましょう。症状が進行すると糖尿病性ケトアシドーシスとなり、意識障害を伴う場合は救急対応が必要です。

健診でケトン体を指摘された場合は、ご自身の体と向き合う大切な機会です。食事や運動、アルコールの摂り方など生活習慣を振り返りましょう。健診結果の内容を確認し、糖尿病に関する数値や気になる症状があれば、医師に相談してください。

糖尿病治療中の方は、医師の指示のもと、体調不良時はシックデイルールに沿った対応をします。再発を防ぐために、日々の生活管理で食事や水分摂取を心がけ、自己判断で治療の中断は避けましょう。

イーヘルスクリニック新宿院では、糖尿病の有無や治療状況に応じて生活指導や治療をご提案し、継続的にサポートします。不安な症状や結果にお悩みの方は、まずはご相談ください。

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